著者
カイザー シュテファン
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.35-50, 2005-01-01

本稿は、開港のころ横浜居留地で発生した横浜ダイアレクトの唯一まとまった資料であるExercises in the Yokohama Dialectについて、出版状況を当時の資料により検討し、初版が1873年に出たことなどを明らかにした。また、横浜ダイアレクトの使用者・使用場面について当時の資料を参考に考察し、少なくとも1861年以降の横浜で外国人と日本人の接触場面における商談などが双方向のピジン日本語で行われたこと、そのピジン語を記述した資料としてExercisesが信頼性のある文献であることを確認した。さらに、後世の日本語文献で取り上げられている「横浜言葉」とその資料として使われた「異国言」などの資料を検討し、開港当時の日本人が英語のピジンを話していた証拠とすることができないことを主張した。
著者
カイザーシュテファン
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.91, pp.13-20, 1995-09-15

非漢字圏出身留学生の漢字学習者は、ほぼ全員アルファベット系文字体系を使う文化圏で育っている以上、表音的機能が中心に文字をとらえる彼らに効率よく漢字を学習させるためのデータベースは漢字の表音性に関するデータを用意することが考えられる。しかも、短期間に多くの漢字を学習する必要のある大学生の場合、体系的な学習の仕方が要求される。以上二つの理由から、漢字の表わす情報の中でもっとも体系的である音符にもっと注目する必要がある。ところが、日本語と違って、中国語・英語その他多くの言語は押韻の習慣があり、その言語習慣を利用して形声字の音符における類音などの学習に役立つと考えらる。本研究ではまず、表音性の強いアルファベットの大体系が一般に理解されるよりも広い地域で使われることを証し、漢字の表音性がどんなものかを検討する。さらに中国語・英語の押韻文化を比較し、漢字学習者に対して行った漢字音の押韻把握のためのアンケート調査の結果とその問題点について検討する。International students from non-kanji backgrounds almost without exception come from cultures where alphabet-type writing systems are used, and therefore tend to view writing as a system that matches the sounds of a language. Furthermore, they need to learn a fairly large number of kanji in a relatively short time. For both these reasons, the most systematic aspect of kanji, the arrangement of phonetic indicators, deserves more attention in the teaching of kanji. Furthermore, unlike Japanese, both Chinese and English (as well as a large number of other languages) make use of rhyme in various ways. In this paper, I first show that alphabet-type writing systems are used more widely than usually thought, and look at the nature of the phoneticity of kanji. I then proceed to a comparison of rhyme in Chinese and English, which shows a number of similarities, and discuss the results of a pilot questionnaire on learners understanding of rhyming sets, with a view of utilizing it for the systematic acquisition of phonetic indicators.
著者
カイザー シュテファン
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.31-47, 2008-01-01

後世の評価がかんばしくないシーボルトの日本語記述書Epitome Linguae Japonicaeをとりあげ、先行史上の位置付けを試みる。シーボルトが自らリストしている参照文献との関連を検討すると、シーボルトの記述に影響を及ぼしたものとして確認できるのはツンベルグの旅行記の仏訳本のみであることが判明した。ただ、日本語のローマ字転写法ではケンペルの著作物の影響が見られることも両者の比較により判明する。シーボルトはケンペルの方法を踏襲しながらも改善・整理し、より体系的なシステムにした。ツンベルグの日本語記述と比較すると、シーボルトはツンベルグを引用しながらも誤りや誤植などを修正し、記述内容をデータにもとづき修正しているだけでなく、ツンベルグより体系的に日本語を記述している。くわえて、ツンベルグにはみられない、言語学的なとらえ方も見られ、「先人の研究より進んでいない」という後世の評価は不当であることを示した。
著者
カイザー シュテファン
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.35-50, 2005-01-01 (Released:2017-07-28)

本稿は、開港のころ横浜居留地で発生した横浜ダイアレクトの唯一まとまった資料であるExercises in the Yokohama Dialectについて、出版状況を当時の資料により検討し、初版が1873年に出たことなどを明らかにした。また、横浜ダイアレクトの使用者・使用場面について当時の資料を参考に考察し、少なくとも1861年以降の横浜で外国人と日本人の接触場面における商談などが双方向のピジン日本語で行われたこと、そのピジン語を記述した資料としてExercisesが信頼性のある文献であることを確認した。さらに、後世の日本語文献で取り上げられている「横浜言葉」とその資料として使われた「異国言」などの資料を検討し、開港当時の日本人が英語のピジンを話していた証拠とすることができないことを主張した。
著者
カイザー シュテファン Stefan Kaiser 筑波大学文芸・言語学系 University of Tsukuba
雑誌
世界の日本語教育. 日本語教育論集 = Japanese language education around the globe ; Japanese language education around the globe (ISSN:09172920)
巻号頁・発行日
no.5, pp.155-167, 1995-04-28

中国の文字体系と比べて、全体としての日本の文字体系は「世界の文字」の中で従来あまり注目されず、文字学ではむしろ漢字から発達した仮名文字に興味が集中した。 本稿は文字のタイポロジーとその問題点を概観してから、中国の体系と3大表語文字体系であるエジプト、シューメル、マヤの体系との相違点の分析を行なう。とくに、3システムにおける象形文字内部に表音性が備わっていないことや、それにともなって同じ象形文字が補音符などとして早い段階で使われるようになった点に注目する。それに対して、中国の漢字が量 的に他のシステムと比べて圧倒的に多い事実は、その文字に内在する表音性によるもので、他のシステムのような文字の表音的使用が発達しなかった。以前から一部の人がいっているように、中国の漢字は形態素音節文字というべく、表語文字ではない。その考えの正当であることは最近の実験の結果 でも確認できる。 日本のシステムにおける漢字は、中国の場合と違って基本的に一字多音である。そこでエジプト、シューメル、マヤの体系と同様に多読字の読み方は文脈に頼るだけでなく、送り仮名など表音文字で補助的に示す傾向がある。エジプト、シューメル、マヤの文字体系を表語文字と呼ぶなら、日本語のシステムもその範疇に入れることになるが、同じ漢字を使う中国語のためには別の分類が適当である。
著者
吉岡 亮衛 藤田 剛志 カイザー シュテファン 寺田 光宏 シェーファー ゲルハルト ラングレット ユルゲン ザイタース ヒルデガルト
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

日本とドイツの高校1年生を対象に、アンケート調査を実施した。調査の内容は、人生の意味に対する理解、科学的概念の理解と自分と周りの関係の理解についてである。結果から、日本の高校生はドイツと比べて、人生の意味に対する意識が希薄で、科学的知識や自分自身のとらえ方が単純であることが分かった。