著者
黒田 加奈子 クロダ カナコ KURODA Kanako
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.16, pp.42-51, 2008-03

北部イタリアのコムーネであったパドヴァによって建造された市庁舎兼裁判所であるパラッツォ・デッラ・ラジョーネの存在意義について再検討を行う。従来の研究史ではあまり問われることのなかった、北中部イタリアの各コムーネに共通するトポスとしての公共建築群の位置づけからパドヴァのそれを捉えなおすことにより、その特異性を明らかにする。また、共和国条例集等の同時代史料の精読によって、パラッツォ・デッラ・ラジョーネというタームの含む意味と問題性について論じる。同時に、都市の中心において市民と密接にかかわる場の状況を史料分析から明らかにする。