著者
チョウ ケツテイ 須山 聡 鈴木 博 府川 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.147, pp.59-64, 2007-07-12
被引用文献数
1

MIMO-OFDM移動無線伝送システムにおいて,周波数選択性フェージング環境における伝送特性の改善と送信信号のピーク電力の低減を同時に実現できるサブキャリア位相ホッピング選択マッピング(SPH-SLM)を,非線形入出力特性を有する送信電力増幅器のある伝送系に適用し,送信信号スペクトラムおよびパケット誤り率(PER)における改善効果を明らかにする.SPH-SLMは,各サブキャリアの位相を回転させ,誤り訂正符号による周波数ダイバーシチ利得を向上する.また,位相を回転させるパターンを複数用意し,ピーク対平均電力比(PAPR)を最小にするパターンを選択する.具体的には,4×4MIMO-OFDMシステムにおいて,SPH-SLMによりPAPRを抑えた信号を送信電力増幅器に入力し,非線形歪が送信スペクトラムや伝送特性に及ぼす影響について計算機シミュレーションを行う.位相パターン数U=16のSPH-SLMを用いることにより従来のMIMO-OFDMに対してCCDF=10^<-3>においてPAPRが3.1dB低減できることを示す.また,帯域外スペクトラムにおいて,入力バックオフ(IBO)を8dBとしたときSPH-SLMにより20MHzにおける帯域外幅射電力を5dB以上抑えられることを示す.さらに,伝送特性においては,R=1/2のQPSKとR=3/4の16QAM,64QAMにおいてSPH-SLMによりPERが改善され,非線形歪の影響をほとんど受けないIBOの下限はSPH-SLMでは6dBであることを示す.