著者
張 斌 田辺 聡 加藤 恵美 佐々木 徹 樋口 勝彦 小泉 和三郎 西元寺 克禮 三富 弘之 田辺 由美
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.151-155, 2002-04-30
被引用文献数
1

症例は53歳女性。平成13年8月,検診にて異常を指摘され上部消化管内視鏡検査を施行。十二指腸第2部に山田IV型のポリープを認めたため当院紹介受診となった。上部消化管造影検査では十二指腸第2部に長い茎を有する表面は平滑な山田IV型のポリープを認めた。上部消化管内視鏡検査にても同様の所見を認め,平成13年12月5日ポリペクトミーを施行した。組織学的には十二指腸粘膜固有層から粘膜下層浅層にかけてBrunner腺の増生が見られた。また,粘膜下層を主体に成熟した異型のない脂肪細胞と小血管の増生がみられ,平滑筋線維も錯綜して走行していたが,平滑筋芽細胞は見られず,過誤腫と診断した。十二指腸の過誤腫は非常に稀であり,文献的考察を含めて報告する。
著者
外山 久太郎 安達 献 三富 弘之 坂口 哲章 野登 誠 大川 博之
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.259-264, 1985-08-31

良性疾患例における,血清CA19-9が100U/ml以上の高値例について検討した。1)胆道疾患が10例で最も多く,次いで腎嚢胞3例,慢性膵炎2例,その他慢性肝炎,慢性関節リウマチ,慢性甲状腺炎合併子宮筋腫各1例であったが,血清CA19-9は100U/mlから最高4,300U/mlを示した。2)胆道疾患,慢性膵炎,慢性肝炎および尿路感染症を合併した腎嚢胞例は,術後あるいは臨床症状の改善するにつれて血清CA19-9値が下降した。3)胆汁CA19-9値は,胆道疾患は勿論,非胆道疾患例でも異常高値を示したが,このことは正常胆管上皮および胆嚢粘膜上皮がCA19-9を多量に産生,分泌することを示唆するものと思われた。本抗原は,癌組織のみならず種々の炎症性疾患の罹患組織でも多量に産生されることが示唆されるが,今後その局在部位および血中への逸脱機序の検討が必要である。
著者
三富 弘之 大井田 正人 勝又 伴栄 西元寺 克礼 岡部 治弥
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.317-320, 1989-06-30
被引用文献数
1

われわれは,近年開発されたpolyethylene glycol-electrolyte solutionを用いて72例に大腸内視鏡検査前処置を行い,本剤の腸管洗浄効果,安全性,服用後の症状,被検者の評価について検討した。本剤の腸管洗浄効果は良好で,投与前後の血液検査,血圧などは有意の変動はなく,安全性に関しては問題は認められなかった。服用後,腹部膨満感を訴える例が多かった。被検者はBrown変法よりも本法を好む傾向がみられた。他の下剤を併用することにより本剤の服用量を減量する少量投与法を考案した。この方法は腸管洗浄効果に優れている上,腹部膨満感を訴える例も少なく,さらに有用な前処置法であると考えられた。