著者
上垣 豊
出版者
龍谷大学龍谷紀要編集会
雑誌
龍谷紀要
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.59, 2012-03-09 (Released:2012-04-02)
著者
白鳥 義彦 岡山 茂 大前 敦巳 中村 征樹 藤本 一勇 隠岐 さや香 上垣 豊
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

研究課題として設定した、①「大衆化」と「卓越化」との二律背反の相克、②高等教育の「自由化」政策の影響、③リベラル・アーツと教養教育、という3つのテーマを軸に日仏両国の比較研究を進めた。日本およびフランスのいずれの国においても、さまざまな「改革」の動きの一方で、ともすれば見過ごされているようにも見受けられるのは、「改革」を通じてどのような高等教育を目指すのか、あるいはまた、その新たな高等教育を通じてどのような社会を目指すのか、といった本質的、理念的な問いである。研究代表者および研究分担者は、こうした根本的な問いを共有しながら、それぞれの具体的な研究テーマに取り組んで研究を進めた。
著者
大前 敦巳 岡山 茂 田川 千尋 白鳥 義彦 山崎 晶子 木方 十根 隠岐 さや香 上垣 豊 中村 征樹
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

大学は都市の発達とともに拡大発展を遂げてきた。両者の間にどのような歴史的関係性を築いてきたか、学際的な観点から問い直すことが、今日世界的に注目されている。本研究は、中央集権の近代国民国家を形成した日本とフランスを対象に、都市との相互浸透性の中で大学が拡大し、学問が変容してきた歴史をたどり、大学人にとどまらない重層的な行為者との関わりを考慮に入れた国際比較を企てる。その基底に潜在する学問的無意識を、日仏の経路依存性の違いをふまえながら省察し、今日のグローバル化する共通課題に対し、大学のユニバーサリズムとローカリズムを両立させる持続的発展がいかに可能になるか、国際的な議論と対話を展開する。
著者
上垣 豊
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.p612-648, 1995-07

最近の研究によれば、一九世紀もなお、フランス貴族は財産を保持し、根強い社会的な影響力を維持し、革命後の社会にも適応能力を示したとされる。本稿ではこのような研究動向を踏まえつつ、一九世紀における貴族と国家の関係を論じた。そのなかでも七月革命による貴族制度の実質的解体に注目し、近世貴族制の特徴である「公式のエリート」としての貴族の属性がこれ以後失われることを強調した。また帝政と復古王政の「新旧エリート」の融合政策は旧貴族内部で進んでいた統合の動きと矛盾していたことを明らかにし、さらに七月革命後顕著となる「偽貴族」現象を貴族の国家からの自立との関連で論じた。ただし、名門、あるいは富裕な貴族は立身出世し、国家の要職につくことを望み、富裕でない貴族に関しては副収入源として官職に頼らざるをえなかった。貴族の近代国家への統合はむしろこうした形で進んだのであろう。
著者
上垣 豊
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.p766-795, 1987-09

個人情報保護のため削除部分あり過去復古的で、前時代的と思われがちな正統王朝派であるが、七月王政期には近代社会への適合を試みる努力がかなり精力的に行なわれていたのである。とくに、自由を擁護し、選挙権の拡大を求め、ナシオンへの奉仕を公言する潮流が存在したことは注目すべきである。しかし従来フランスの研究者は、こうした主張をデマゴギーとして片付け、その政治思想の分析を怠ってきた。最近になってシャンギーとリアルの二人の研究者が正統主義のより近代的な像をうちだし、通説の修正を迫っているが、逆に彼らの論では正統王朝派の反革命性が不鮮明になっている。本稿の諜題は、正統王朝派内の革新的潮流を代表する、自由正統王朝派のナシオン観と、選挙改革案の分析を通じ、彼らの近代性は、反革命プランの近代化―ナショナリズムと全体主義的要素―の中に求めるべきことを明らかにすることである。
著者
上垣 豊
出版者
日本西洋史学会
雑誌
西洋史学 (ISSN:03869253)
巻号頁・発行日
no.162, pp.p71-87, 1991
著者
上垣 豊
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.45-62, 2014-09-30

20世紀初頭のフランスで、師範学校廃止の是非を巡って論争が行われた。廃止論は、民主的な単線型教育体制をめざす議論と一体となっていたが、同時に、初等教育に対する中等、高等教育のヘゲモニーを確保し、国民統合の強化によって階級対立を抑え込もうとする意図があった。だが、それは教養の水準の向上などによって自信を深め、共同生活を通じて団体精神を強め、さらに階級意識を持つにいたった初等師範学校出身者を先頭にした初等教員から激しい反発を招くことになる。
著者
上垣 豊
出版者
龍谷大学龍谷紀要編集会
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.137-152, 2013-03

本稿は、19世紀のフランスにおけるカトリック若者運動について、近年の研究をもとに、社会事業と学校教育との関わりで、概観を試み、研究上の課題を整理しようとしたものである。1886年に創設されたカトリック青年会 (Association catholique de la jeunesse francaise、以下ACJFと略) はカトリックの自律した若者運動として、その後大きく発展する。本稿ではACJFの創設と、それ以前からあったサン=ヴァンサン=ド=ポール協会 (Societe de Saint-Vincent-de-Paul、以下SVP協会と略) やカトリック労働者サークル事業団の影響関係、系譜関係を探り、イエズス会の関与も含め、ソシアビリテ(社会的結合関係)の変容という視点からカトリック・エリートの若者運動を検討し直した。その結果、学習集団としてのコンフェランス (conferences)、イエズス会経営学校内に組織された聖母信心会の重要性、俗人とカトリック教会との関係の見直し、SVP協会の民主的な組織にたいして、サークル事業団の軍隊的規律の問題などが、課題として浮かび上がってきた。