著者
中村 洋一
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.72-83, 2011 (Released:2017-02-17)
参考文献数
28

大規模日本語テストの実現可能性を考える時,コンピュータ適応型テスト(CAT)には,大きな貢献が期待できる。コンピュータ適応型テストとは,コンピュータを使い,個々の受験者に適する項目を適宜判断しながら出題し,効率よく受験者の能力を測定するテストで,その原理は,視力検査によく似ている。本稿では,まずその原理と,それを可能にするテスト理論の項目応答理論を概観し,コンピュータ適応型大規模日本語テストの開発を進めていくための,基本的な課題を考察する。一般的な課題として,言語能力の構成要素,学習行動目標の設定,分割点・到達基準の設定,アイテムバンクの構築言語テストに関する啓蒙をとりあげる。次に技術的な課題として,マルチメディア・テスティング,移植性とアクセス可能性の高い日本語特有の表示方法の確立,項目バンキングソフトウェアの開発,総合的なCATシステムのプログラム開発をとりあげる。
著者
菅 幹雄 中村 洋一 居城 琢
出版者
法政大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

経済センサス-活動調査の個票データを用いて全市区町村の産業連関表を推計する。本推計では市区町村別産業小分類別「事業所の売上(収入)金額試算値」の個票データを用いて、全国表の市区町村分割を行う。なお推計においては本社部門と現業部門を分割する。このとき本社活動の範囲は、複数事業所を有する企業の本社で発生している事業活動以外の生産活動(管理活動及び事業活動を補助する活動)とする。さらに全市区町村の産業連関表を社会会計行列(SoclalAccounting Matrlx, SAM)へ拡張する。これにより、市区町村レベルでのEBPM(Eyidence Based PoIlcy Making、事実に基づく政策策定)の実現を目指す。
著者
阿部 貞夫 和泉 秀彦 嶋田 明子 中村 洋一
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.559-567, 1974
被引用文献数
3

抗ヒスタミン剤を中心とした抗アレルギー剤治療にて調節しえない蕁麻疹症例はかなりの数にのぼる。今回, それらの難治性のあるいは遷延化した蕁麻疹症例にたいして使用したHistaglobinの効果を明らかにする目的で100治験例の治療経過の分析を試み, 治療の目安ともいうべき2, 3の集計結果をえたので報告すると同時に, Histaglobinの作用機序についてもいくらかの考察を試みた。結果1) 明かな改善がみられた92症例中88例(95.7%)に4本以内の注射で効果がみられた。2) 93症例について調べた総注射使用本数は, 39例が5本以内, 30例が6~10本以内であつておよその必要本数が明らかにされた。3) 以上を総括すると有効90例, やや有効4例, 無効0, 経過不明6例であつた。4) 忌むべき副作用はまつたくみられなかつた。
著者
中村 洋一
出版者
環太平洋産業連関分析学会
雑誌
産業連関 (ISSN:13419803)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.16-29, 2009-10-31 (Released:2015-03-28)
参考文献数
7

最近の日本においては,国民経済計算や産業連関表を中心とする包括的な経済統計の信頼性の向上のため,それらの推計方法や相互の関連について改革を 進めることの必要性が認識されている.とくに経済センサスの活動調査が 2011年を対象に初めて実施されることを受け,国民経済計算,産業連関表ともに推計の枠組みから見直すことが必要となっている.このため本稿では,国際 標準であ る国連の基準と日本の現行体系を比較し,主要国の経験を参考にしつつ,日本における改革の方向を探ることを目的とする.第1節で は国連の産業連関表の枠組みを概観する.第2節では日本の国民経済計算における産業連関表の取り扱いについて述べる.第3節では日本の産業連関表基本表と 国民経済計算および国際基準との関係について述べ,第4節では主要国の産業連関表について,国民経済計算との関連を中心に概観する.最後に結論を簡単に述べる.
著者
新井 宏朋 中村 洋一 生地 新
出版者
山形大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

従来の成人病検診における眼底検査は働き盛りの脳卒中予知を主たる目的としていたが、高齢化社会においてはこれに加えて脳卒中による寝たきりや動脈硬化によるぼけ老人の予知が重要な課題となる。本研究では、まず最初に山形県F町における70〜75歳の在宅高齢者の眼底所見の有病率を検討した。Keith,Wagener分類O群は男39.3%、女39.8%、I群は男39.3%、女42.0%、IIa群は男18.9%、女12.7%、さらにK、WIIb群に相当する典型的な動脈硬化性網膜症が男2.5%、女5.5%に見られた。同時に実施したBenton視覚記銘検査との関連性を検討した結果、Keith,Wagener分類とBenton検査の正確数の間には統計的に有意の関連性は認められなかった。次に眼底所見を中心に血圧、心電図の循環器検査所見及びBenton検査の正確数、誤謬数等との関連について林の数量化III類を用いて検討した。第1軸は循環器所見の有無と解釈できたが、第2軸については解釈できなかった。また眼底所見はBenton検査の正確数、誤謬数と近接した関係は見られなかった。次いで、Y町で65〜74歳の在宅高齢者を対象に循環器検診5年後の日常生活動作、ぼけに関する症状等19項目の質問調査を実施した。Keith,Wagener分類と日常生活動作との関連では、全体的な傾向としてKeith、Wagener分類O,I群がIIa以上群に比較して良好な比率が高く複数の項目で有意差が認められた。ぼけに関する症状等については、各項目とも有意差は認められなかった。次に、この調査から精神科医のスクリーニングで痴呆の可能性が疑われた者(症例群と略)と対照群に柄沢式及び長谷川式簡易知能評価スケールを実施した。柄沢式では「ぼけあり)が症例群4.8%対照群0.01%であったが、長谷川式では症例群(平均26.3点、標準偏差6.4点)と対照群(28.0点、4.1点)に有意差は認めなかった。また両群の眼底K、WIIa以上出現率にも有意差を認めなかった。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。
著者
今井 新悟 伊東 祐郎 中村 洋一 酒井 たか子 赤木 彌生 菊地 賢一 本田 明子 中園 博美 西村 竜一 篠崎 隆宏 山田 武志 家根橋 伸子 石塚 賢吉 ファム ターンソン
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

日本語学習者のための日本語スピーキング能力をコンピュータ上で自動採点するテストシステムを開発した。インターネットを介して受験でき、時間と場所の制約を受けずに受験が可能である。音声認識技術を使い、受験者の発話から特徴量を抽出することにより、自動採点を実現している。項目応答理論を用い、受験者の能力に適合した難しさの問題を出題するアダプティブテストとなっており、少ない問題数で能力の判定ができる。
著者
伊東 祐郎 酒井 たか子 三枝 令子 谷部 弘子 村上 京子 中村 洋一
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の特色と意義本研究は、テスト開発過程に不可欠なテスト理論(「古典的テスト理論」と「項目応答理論」)を導入し、統計的分析を加えることによって、これまで日本では認識の低かった試験問題の精度を向上させられる実証的研究を行い、項目プール実現化へ向けての基盤研究を行った。また、テスト開発における項目プール化は、日本ではほとんどそのための研究が行われておらず、本研究を通して得られた知見は、今後のテスト開発の新たな方法として、具体的な形で多くの大学等で応用できるものとなった。本研究を通して開発したシステムは、次のような5つの機能を持つものである。(1)蓄積機能:作成した問題項目を、コンピュータ内に蓄積し、保存することができる。また、問題項目のほかに、過去の試験結果のデータや項目分析結果も蓄積できるので、将来の問題項目作成を効率よく行うことができる。(2)抽出機能:出題領域や評価対象領域、また困難度などの条件に基づき、必要な数の項目を抽出して試験問題を構成・作成することができる。(3)組み替え機能:抽出条件が同じでも、設問の組み合わせや選択肢の組み合わせが可能となるので、異なる試験問題を作成することができる。(4)加工機能:蓄積・保管されている試験や問題項目を、測定目的に応じて編集・加工・削除することができる。また、既に蓄積されている項目を基礎に、全く新しい問題項目を作成することができる。(5)製版機能:抽出された問題項目を、パソコン上でレイアウト・編集ができる。