著者
中村 章二
出版者
愛知教育大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は, 大学の単位により取得する資格として「教員免許」を取り上げ, 教員免許を取得する学部と他の学部への質問紙調査により, 修学支援体制(CAP, GPA)の違いと資格取得コースの課題を検討したものである。調査の結果, 修得単位が過大とされてきた教育学部も, セメスター毎のCAP設定単位数は, 他の学部と大きな差は認められず, 教育学部特有の問題では無いことが明らかになった。しかし, 大学設置基準が定める1単位当たりの学習時間から観ると, 双方が過大なCAP設定であり, 学生の質が多様化している現在は, 学習成果の指標であるGPAを基に「個に合わせた指導(アカデミック・アドバイジング)」の導入が必要である。特に資格取得コースは, 社会的な資格を得るため, 教育の質を維持することは重要で有り, 資格取得に必須である「教育実習」の参加資格にGPAの活用を提言するものである。なお, 教員養成大学への訪問調査では, セメスター導入に伴う教育実習期間の変更や団塊世代の大量退職に伴う実践的な授業科目の設置等, 大学改革への対応を確認できた。また, 複数学部を持つ大学を訪問した際「学部の壁」を大きく感じることがあった。教員免許取得コースを持つ大学には「教職センター」の設置が求められているが, 資格取得コースとして質を維持・保証するためには, センターが主体的に学部を超えて活動することが求められる。また, 成績証明書へのGPA記載が少ないことや, 記載されている場合も修得した科目・単位のみであり, 「証明書上でGPAが確認できない」ことが多いことが判明した。これは, 社会的に証明書としての信頼を損なうもので, 担当する教務部門が教育システム(CAP, GPA)を理解し, 業務に反映させることが必要である。これらの研究成果は, 当面, 次により発表したが, 今後も学会や論文等により公表する予定である。大学教育改革フォーラムin東海2015(2015.3.7名古屋大学)第21回大学教育改革フォーラム(2015.3.13-14京都大学)