著者
興野悠太郎 米澤拓郎 野崎大幹 小川正幹 伊藤友隆 中澤仁 高汐一紀 徳田英幸
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2014-MBL-70, no.26, pp.1-7, 2014-03-07

本論文では,着脱可能な電線によって充電,給電しながら上空をセンシングするプラットフォームである EverCopter を提案する.バッテリー駆動による UAV(Unmanned Aerial Vehicle) は,地上の障害物を気にする事無く,広大な範囲をセンシングできる事が最大のメリットであるが,バッテリー容量による制限を受けてしまう.EverCopter は以下の 2 つの特徴により,長時間かつ広範囲なセンシングを可能とする.まず,複数に接続された EverCopter の一方は,地上の電源装置に接続され,給電されている.このことで,それぞれの EverCopter はバッテリー無しで飛行する事ができるため,半永久的な飛行が可能となる.また,末端の EverCopter はバッテリーを備えており,任意のタイミングで着脱が可能である.よって,UAV 本来の自由なセンシングも可能である.
著者
勝治宏基 米澤拓郎 中澤仁 高汐一紀 徳田英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.17, pp.1-7, 2013-10-29

近年,センシングデバイスの小型化,低価格化により,ウェアラブルセンサを利用して人の行動を取得する事が容易になった.それにより,私達の日々の生活行動を自動的に取得,蓄積するライフログが幅広く研究される様になった.本研究では,自分と他人の一日の行動から二人の似た行動を類似行動として生成するシステム Synchrometer を提案する.生成した類似行動は行動改善や医療,介護,新しいコミュニケーションの生成など,様々な場で利用する事が可能である.Recently, because of miniaturization and low cost of the sensing devices, obtaining human behavior became more easier . Therefore, lifelog, which is getting and storing our daily life activities, became to be studied widely. In this study, we propose the system Synchrometer which create a similarity as similar-activity from two people's daily activity. Similar-activity have a possibility to use to behavioral improvements, medical, nursing, generating new communication and so on.
著者
岩田 あきほ 川島 寛乃 河野 慎 中澤 仁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.4I4GS7e01, 2021 (Released:2021-06-14)

本研究ではフィギュアスケートの動画からステップシークエンスのエレメントの自動判別に取り組む.フィギュアスケートにおいて,全ての演技の採点は一つ一つのエレメントの判定と出来栄えの評価によって構成されており,審判の目視によってすべて行われている.しかし,エレメントの判定と評価を同時に行うことは審判にとって負担となっている.そこでエレメントの判別を自動で行うことで審判の負担が軽減し,審判は出来栄えの判定に注力できる.本研究ではエレメントの判別を動画の分類問題として定式化し取り組む.そのためにデータセットを作成する必要があるが,フィギュアスケートの特性上,望ましくない性質をもってしまう.そこで、この性質を扱う手法を適用した畳み込みニューラルネットワークを用い,エレメント認識を行う.実験では,フィギュアスケートデータセットにおける手法の有効性を検証し,その結果を報告する.
著者
西山 勇毅 柿野 優衣 中 縁嗣 野田 悠加 羽柴 彩月 山田 佑亮 佐々木 航 大越 匡 中澤 仁 森 将輝 水鳥 寿思 塩田 琴美 永野 智久 東海林 祐子 加藤 貴昭
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.1630-1643, 2021-10-15

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大にともない,多くの大学ではキャンパス内での感染予防のために,キャンパスの封鎖とインターネット越しに授業を配信するオンライン授業が導入され,学生たちは自宅から授業に参加している.このような在宅中心の新しい生活様式は,感染予防効果が見込める一方で,運動不足による二次的な健康被害が懸念される.新しい生活様式における大学生の身体活動の実態,特に学生の属性や時間帯ごとの身体活動量とその内容を明らかにすることは,二次的な健康被害を予防するうえで必要不可欠である.そこで本研究では,日常生活中の身体活動データ(歩数と6種類の行動種別)を大学生が所有するスマートフォンを用いて自動収集し,大学生の身体活動量を明らかにする.身体活動データは,必修の体育授業を履修する大学1年生305名から10週間収集した.その結果,通学(7時から10時)や教室での授業,課外活動(11時から24時)の時間帯における歩数の減少と静止時間の長時間化が明らかになった.本結果は,新しい生活様式における大学生活が平日の身体活動量の低下を招く可能性を示唆する.
著者
礒川 直大 西山 勇毅 大越 匡 米澤 拓郎 中澤 仁 高汐 一紀 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.5, pp.1-8, 2015-05-04

魚を飼い,その水槽を鑑賞することは,我々の生活に潤いと落ち着きを与えてくれる.観賞魚を飼育する上で水槽内の環境や魚の体調管理が重要となるが,観賞魚は自分の状態を飼い主に伝えることができないため,飼い主が魚の状態に基づきインタラクティブに飼育することは難しい.本研究では,観賞魚の位置情報をもとに水槽背面のディスプレイに観賞魚の状態を表示することで,飼い主に水槽内の環境や観賞魚の体調などの情報を伝えるシステム "Aqua Mapping" を提案する.本システムにより水槽を介した観賞魚とユーザのインタラクティブな飼育環境を提供する.
著者
栄元 優作 江頭 和輝 河野 慎 西山 勇毅 大越 匡 米澤 拓郎 高汐 一紀 中澤 仁
雑誌
研究報告高齢社会デザイン(ASD) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2017-ASD-9, no.16, pp.1-7, 2017-08-17

近年,食習慣の悪化による肥満が社会問題となり,継続的な食習慣の改善手法が求められている.継続して日々の習慣を変えるには動機の維持向上が重要であり,ユーザの同期を持続させる手法として,ゲームのメカニズムを用いたゲーミフィケーション手法が提案されている.ゲーミフィケーション手法の 1 つである 「競争手法」 は,歩数などのユーザの行動量を可視化し,他者との優劣を意識させることで,動機の維持向上を促す.しかし食事分野では,食事指標として知られるカロリー値の正確な算出が難しく,計算には労力がかかるため,競争の適用が困難である.本研究では本問題を解決するために,ユーザ間で食事の健康度合いを競わせるシステム 「HealthFight」 を構築し有効性を評価する.本システムは食事画像を共有するソーシャルメディアであり,投稿した食事画像の 「ヘルシーさ」 をユーザ間で競わせる.競争相手は食事ごとに更新されるため,ユーザは食事ごとに違った楽しさを感じられ,継続した利用が見込める.本システムによる食習慣の変化を評価するため,7 人の被験者に対して 20 日間の実験を行った.その結果,他者の評価を気にしやすい被験者の食生活は,健康的になる傾向が見られた.
著者
皆川 昇子 中澤 仁 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ASN, 知的環境とセンサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.166, pp.1-5, 2014-07-23

GPSやセンサ搭載のモバイル端末の普及により,多くの端末から収集した位置,環境,ユーザ情報を解析し,様々な統計情報を取得可能なモバイルセンシングが注目を集めている.しかし,データを提供したユーザのプライバシが侵害される恐れがある.そのため,プライバシ保護手法の提案と評価を行う.本提案手法は次の特徴を持つ.端末側はセンシングデータとは異なるデータをある規則に従い選択し,サーバへ送信する.サーバ側はその規則を利用して実際の統計情報を再構築できる.このとき,サーバは個々の端末のセンシングデータを知り得ないため,ユーザのプライバシが保護される.さらに,既存手法と比較し,再構築における精度が向上することをシミュレーションにより示す.
著者
中澤 仁 米澤 拓郎 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.418, pp.249-254, 2015-01-26

ウェブ空間には、大気汚染物質量や渋滞情報、駐車場の空き情報などを初めとして、現実空間に関連した膨大な量のデータが存在する。しかし多くのそれらはウェブ空間に埋没していて、容易にアクセスできない上に、定期的に更新されて古いデータが消えていく。このような、ウェブ空間に埋没した有益なデータ(ウェブ埋没データ)を発見、発掘、および再生するために、我々はSensorizerアーキテクチャに関する研究を進めている。同アーキテクチャでは、クラウドソーシングを活用してウェブ埋没データを発見し、ヘッドレスウェブブラウザを用いて周期的なスクレイピングを実現した上で、XMPPを用いて抽出されたデータを配信する。本稿では、Sensorizerアーキテクチャの概要を述べた上で、実現可能なアプリケーションと評価について述べる。
著者
中澤 仁 米澤 拓郎 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.418, pp.249-254, 2015-01-26

ウェブ空間には、大気汚染物質量や渋滞情報、駐車場の空き情報などを初めとして、現実空間に関連した膨大な量のデータが存在する。しかし多くのそれらはウェブ空間に埋没していて、容易にアクセスできない上に、定期的に更新されて古いデータが消えていく。このような、ウェブ空間に埋没した有益なデータ(ウェブ埋没データ)を発見、発掘、および再生するために、我々はSensorizerアーキテクチャに関する研究を進めている。同アーキテクチャでは、クラウドソーシングを活用してウェブ埋没データを発見し、ヘッドレスウェブブラウザを用いて周期的なスクレイピングを実現した上で、XMPPを用いて抽出されたデータを配信する。本稿では、Sensorizerアーキテクチャの概要を述べた上で、実現可能なアプリケーションと評価について述べる。
著者
中澤 仁 由良 淳一 岩本 健嗣 横山 浩之 徳田 英幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.399, pp.149-154, 2009-01-15

無線センサノードを,ユビキタスサービスにおける様々な用途に広く利用するためには,多くの無線センサノードと協調的に動作しながら情報を交換する機能を,人々がいつも持ち歩いている携帯デバイスにおいて動作させることが重要である.本稿では,携帯電話上でユビキタスセンサネットワークアプリケーションを動作可能とするための技術として開発した,(1)センサ情報トランシーバ,(2)センサ情報収集ソフトウエア,および(3)Zigbee環境情報センサについて報告する.利用者は,センサ情報レシーバを携帯電話に装着し,所望のアプリケーションをダウンロード,インストールするだけで,周囲の無線センサノードを利用したユビキタスサービスを享受できる.従って本技術は,今後のセンサネットワークならびにユビキタスサービスの普及に資するものである.
著者
牧野 青希 橘 直雪 大越 匡 中澤 仁
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2022-OS-154, no.4, pp.1-8, 2022-03-07

クラウドサーバ型コンピューティングの普及に伴い,アプリケーションプログラムの実行にサーバレスアーキテクチャ(Function as a Service, FaaS)を採用できるようになった.この FaaS プラットフォームでは,一つの物理マシンの上で複数のユーザアプリケーションをホストし,アプリケーション同士の隔離のために Docker 等の Linux コンテナ環境や仮想マシンを用いることが多い.しかし,コンテナや仮想マシンの構築処理(コールドスタート)によるオーバヘッドは大きく,AR/VR/MR,自動運転車など,常に低遅延性を要求する用途で問題となる.その対処としてコンテナ・仮想マシンを常に準備状態にすることは,より多くのメモリ空間を消費し続け,ホスト可能なアプリケーション数の減少につながる.この問題の回避のために,コンテナに代わって WebAssembly を採用する試みがあるが,コンテナに比べて処理速度に劣る.そこで本研究では,準備状態のコンテナ環境を減らしながら短い応答時間を安定して実現する方式として,コンテナと WebAssembly を切り替えながら処理を行う手法を提案する.提案手法では,構築を含めたコンテナの処理時間,WebAssembly の処理時間をそれぞれ記録し,より早く応答できる方式を推測・選択する.これにより,コンテナのコールドスタートの問題,WebAssembly の処理速度の問題を同時に解決する.この提案手法のプロトタイプ実装における評価実験では,コンテナのみ・WebAssembly のみでの実行方式に比べて,常に適切な切り替えを行えること,応答時間に対するコールドスタートによる影響が減少すること,また準備状態で待機するコンテナ数が減少することが確かめられた.
著者
中澤 仁 望月祐洋 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.2573-2584, 1999-06-15
参考文献数
19
被引用文献数
2

既存アプリケーションのホスト透過的な移送を実現する ホスト透過型オブジェクト移送モデルを提案する. 本モデルは プロセス移送や分散ウィンドウシステムにはないプラットホーム独立性を提供し さらにオブジェクトを単位として移送の粒度を柔軟に制御できるのが特徴である. 本研究で Java 言語によって実現したホスト透過型オブジェクト移送システム Mogul は 既存アプリケーションコードに対する変更をともなわずに ホスト透過的なアプリケーション移送を実現する. Mogul では アプリケーションを移送可能オブジェクトとホスト依存オブジェクトとに動的に分離し それらの間のメソッド呼び出しをリダイレクトする 動的メソッドリダイレクションによって透過性を確保している. 本論文では アプリケーション移送の実現手法を比較検討したうえで Mogul の機能および特徴を示し 実装と評価について報告する.This paper proposes a transparent object migration model which enables existing applications to migrate between hosts without depending on platforms. The key issues are transparency and reusability of existing applications to exploit application mobility for mobile computing. In this research, we have developed an object migration system named Mogul with Java. Using Mogul, existing applications can migrate transparently Without changing their code. The novelty of Mogul is Dynamic Method Redirection which provides applications transparency. In this paper, at first, some conventional approaches for migration are presented with discussion of their features. Then we describe design and implementation of Mogul, and finally, usability of Mogul is discussed based on the result of evaluations.
著者
石黒照朗 興野悠太郎 中澤仁 高汐一紀 徳田英幸
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2013-UBI-40, no.4, pp.1-6, 2013-10-29

近年,加速度センサや特殊なカメラを用いて運動技能を評価し,技能の向上を支援するシステムが研究開発されている.しかし,既存のシステムは運動技能の評価やそれを元にアドバイスを提示する間接的支援が主であるため,ユーザの自己認識上の限界を超えるパフォーマンスを引き出すものではない.医学の分野では,偽薬 (プラセボ) を処方しても,薬だと信じ込む事で何らかの改善が見られる事をプラセボ効果と呼んでいる.本研究では,その同効果を用いてパフォーマンスの向上を支援するシステムを提案するため,握力を題材にしてパフォーマンスにプラセボ効果が与える影響についての可能性を検証し,その応用についても議論する.
著者
米澤 拓郎 中澤 仁 徳田 英幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.187-192, 2011
参考文献数
9

現在,ユーザの行動支援を行うため状況依存サービス(コンテクストアウェアサービス)の研究開発が盛んである.コンテクストアウェアサービスは,機器の自動制御などユーザの要求を先回りして解決することが可能であるが,もしコンテクストが正確に認識されずに機器が誤制御されたり,正確に制御されたとしてもそのサービスの存在を知らないユーザにとっては急に機器の状態が変化することに対して不快感を示す可能性も考えられる.本研究では,環境内に存在するコンテクストアウェアサービスの情報をユーザに伝達するため,どういうユーザの行動がどういう機器の挙動変化につながるか,その情報を直感的に伝達する"未来予知メタファを用いた情報伝達インタフェース"を提案し,実現する.
著者
沖原 周佑 本木 悠介 中澤 仁 大越 匡 陳 寅
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2021-UBI-70, no.3, pp.1-8, 2021-05-27

気象情報は多くの人々の生活に影響を与えるもので,人間社会の経済活動や,個人の生活に欠かせない一種のインフラとしての側面を持つ.既存の降雨情報の取得において,情報の粒度,リアルタイム性,測定機器の構造に課題がある.本研究ではスマートウォッチを用いた参加型降水センシングシステムを提案する.このシステムにより,これらの課題を解決し,信頼性と精度のある気象情報を共有することを目的とする.このシステムは設備の整備コストなしに,人が傘をさすという行為のなかに極めて自然に埋め込むことができる.本論文ではこのシステムの実現に向けて,傘への降水の衝撃をスマートウォッチで計測し,降水の程度を分類することは可能なのかを検証した.検証の結果,適切なデータの処理を施すことで,より正確に分類可能であることが明らかとなった.
著者
大村 昇平 谷村 朋樹 大越 匡 中澤 仁
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-67, no.29, pp.1-6, 2020-09-22

データを収集する機器の進化に伴い,スポーツの世界でも多様な分析を行うことが可能になっている.しかし,分析に必要なデバイスは高価であるため,データ収集・分析の恩恵を受けることができるのは一部の人に限られている.この問題を解決するために,多くの人に普及しているスマートフォンで撮影された動画から,データを収集・分析できるシステムを提案する.提案するシステムでは,物体検出の手法を用いて選手とボールを検出し,その検出結果のコート上での位置を使用することでフットサルの試合を分析する.本研究では,システムの個別の技術精度と分析の精度という 2 軸で評価した.システム個別の評価項目は,選手とボールの検出精度,選手の分類の精度,分析の精度の評価項目は支配率の精度とし,実験を行った.選手とボールの検出精度は選手が mAPスコア0.81,ボールは mAP スコア 0.437 となり,選手分類の精度は高い精度を出すことができたが,1 クラス 30 %と低い精度になった.また,支配率に関しては,目視で判断した場合と大きな差はなかった.精度が低くなったものに関して考察した結果,小さな物体を検出するために更なる研究が求められるとわかった.
著者
岩田 あきほ 川島 寛乃 大越 匡 中澤 仁
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-67, no.27, pp.1-8, 2020-09-22

フィギュアスケートでは,全ての演技の採点は一つ一つの技の出来栄えの判定結果を複雑に組み合わせて行う.そのため採点に審判の主観が含まれる可能性が問題視されている.そこで本研究では,採点の適正化を支援する取り組みのはじめの段階として深層学習モデルを使って技(エレメント)の認識を行う.本論文ではフィギュアスケートの演技構成要素の一つであるステップシークエンスに着目し,動画からエレメントの判別を行うモデル SkateNet を提案する.また,独自に収集したフィギュアスケートの動画よりスケートデータセットを作成する.実験ではフレームごとにエレメントの認識を行い精度で評価する.その結果,背景などの余分な情報が含まれていると元動画からエレメントを推定し識別することは難しいことから,そのようなノイズをできるだけ除去することが重要であることがわかった.また,より詳細な下半身の関節座標の使用により精度が向上するであろうことが示された.
著者
本木 悠介 中山 誠 近藤 俊輔 石川 えり 神野 さくら 中澤 仁
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2020-UBI-66, no.3, pp.1-8, 2020-05-18

看板やデジタルサイネージなど,公共空間に設置される看板広告の内容を理解するためには看板広告内に含まれる物体情報や文字情報を基にする必要がある.しかし,看板広告を含む一般的な街中の風景を映した画像には,広告部以外の文字や物体の情報が多く含まれており,これらの情報は広告内からの情報を抽出するにおいて必要のない情報となる.本研究は,画像内から看板広告のみを対象として物体検出する.その際により優れた物体検出モデルを作成するために状況ごとや媒体ごとに物体検出に適した看板広告を調査することを目的とする.
著者
坂村 美奈 米澤 拓郎 伊藤 友隆 中澤 仁 徳田 英幸
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.2162-2174, 2016-10-15

市民参加型まちづくり(Participatory planning)とは,まちづくりの過程に市民を巻き込むことであり,実際の都市の中で起こっている問題を素早く発見,解決できる可能性が高い.市民参加型まちづくりを促進するためには市の職員と市民の間での日常的なコミュニケーションを活性化することが重要である.本研究の目的は,人々が日常的に持つモバイル端末やPC端末を通して情報をやりとりする参加型センシングを市民参加型まちづくりにも適用することである.既存の参加型センシングの例では,質問の内容カテゴリが限定的なものや,市民の意見収集,意見交換を行うための特定のアプリケーションのインストールが必要であるものが存在する.また,市民から提供された情報はプライバシ情報を除いたオープンな情報であることやシステムの操作が容易であることが望ましい.本研究ではこれらの課題を解決し,市民参加型まちづくりのための参加型センシングシステム,MinaQnを提案する.本研究ではMinaQnを2週間にわたって3都市(藤沢市・茅ヶ崎市・寒川町)の公式ホームページに組み込み,市の職員および市民に利用してもらう実証実験を行った.全体として1,000個以上の回答データと市の職員および市民からのフィードバックを得ることで,定性的および定量的な評価を行い,将来異なる地域や多くの市民に持続的に参加してもらうためにはどうすればよいか,これからの参加型センシングシステムのデザイン指針を示した.特に災害時において今後より多くの市民に位置情報を提供してもらうためには,質問の意図説明やプッシュ通知など市からの積極性が必要なことや,市の職員が実際に自由な質問設定をするために自治体の中あるいは市全体で議論し質問内容の枠組みを増やしていけるような取り組みや制度の策定が必要なことが分かった.