著者
中澤 弥子 三田 コト
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.167-179, 2004-02-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
28
被引用文献数
2

文献調査および長野県在住の消費者を対象としたアンケート調査を行い以下の結果を得た.(1) 生イカの購入割合が最も高かったが, 塩イカ, 煮イカの購入も維持されており, 北・東信に比べ南・中信地方で多く利用されるという地域性も認められた.(2) 塩イカ, 煮イカは, 普段から日常食として用いられており, 塩イカは酢の物, 粕和えやサラダに, 煮イカは刺身や酢の物などの和え物に多く用いられていた.(3) 30歳代以上の年齢層に比べ, 20歳代以下の塩イカ, 煮イカについての購入割合や食経験, 現在の摂食状況はやや低い傾向が認められたが, 今後も食べ続けたいとする回答は20歳代以下でも8割以上と多かった.(4) 郷土料理が伝承される重要な要因として, 子どもの頃からの母親の手料理による食経験に加え, 手軽に料理できること, 今の時代に見合うおいしさであることが示された.
著者
中澤 弥子 佐藤 晶子 小木曽 加奈 吉岡 由美 鈴木 和江 高崎 禎子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.113, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】長野県では、一年を通じて家の最大の節目を年取りの行事とする傾向が強く、年神棚にご馳走をお供えし、一年の無事の感謝と新しい年の豊作を祈り、家族揃ってご馳走で祝う習慣1)がある。本研究では長野県の大晦日と正月の行事食の継承の実態と現在の特徴について、平成21~22年度調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学 行事食・儀礼食」で行った調査結果を基に明らかにすることを目的とした。 【方法】アンケート回答者のうち、長野県内に10年以上住み、現在も住んでいる人および現在長野県内に住み、他県に10年以上住んだ経験はあるが、行事食に長野県の影響を受けている人の正月と大晦日のデータ(計686人)を集計し分析を行った。 【結果】回答者の年齢層は、10~20代50%、30~40代33%、50代13%、60~80代4%であった。大晦日の認知度は99%、行事食の経験が98%と高く、年取りの祝い料理については、喫食経験ありが67%で、毎年食べるが53%を占めた。年越しそばは喫食経験ありが90%と高く、毎年食べるが57%、毎年ではないが食べるが19%と高率であった。鮭料理の喫食経験ありは62%で毎年食べるが35%、鰤料理の喫食経験ありは54%、毎年食べるが23%であり、現在も鮭や鰤などの年取り魚が年取りの祝い料理として食されていた。その他、海なし県である長野県において肉料理の回答は少なく、刺身、数の子、握り寿司などの海産物がご馳走として好まれ食されている様子がうかがわれた。1)「聞き書 長野の食事」、p348、農山漁村文化協会 (1986)
著者
中澤 弥子 吉岡 由美 高崎 禎子 小木曽 加奈 小川 晶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.224, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】長野県の家庭料理の特徴を探ることを目的として、おやつについて分析した。本発表では、長野県各地で大切に作り継がれている多様なおやつについて報告する。【方法】平成25~28年にかけて全県的な現地調査を実施した。調査方法は、主に聞き取り法で行い、可能な場合は、食材や料理、加工品の実物を撮影し、試食を行った。【結果】長野県では、農作業など共同で行う仕事の合間や日常、お茶の時間を設けて(「お茶にする」という。「まあ、お茶でも一杯・・・」から始まる)、主に日本茶におやつ(お茶請けと呼ぶことが多い)を多種類準備して、みんなで楽しく共食・休息する習慣が現在も残っている。「からっ茶を出す」(お茶請けを出さない)と恥ずかしいという文化があり、季節の漬物や煮物、煮豆、粉もの、果物のお茶請けがつきものである。お茶は注ぎ足し、注ぎ足し、何杯もお客に召し上がっていただく。 お茶請けとして地域の産物が生かされていた。漬物では、お葉漬には全県に分布する野沢菜漬をはじめ、地域の漬け菜も用いられており、その他、こしょう漬(信濃町)、すんき(木曽地方)など、他ではみられない加工法の漬物がある。以前に比べ作る量は減ったと話す人が多かったが、各種漬物が発達していた。粉ものでは、おやき(焼き餅)をはじめ、うすやき、にらせんべい、はりこしなど、煮豆では、ひたし豆、くらかけ豆、黒豆、紫花豆の煮豆、おなっとうなど、煮物ではかぼちゃのいとこ煮、大根引き、いなごの佃煮など、果物では、あんずのシロップ漬、かりんの砂糖漬、柚餅子、雲龍巻(柿巻)など、様々に工夫された季節を感じるお茶請けが、家族や近隣の人々、人寄せ(集まり)利用され、人々の交流を担っていた。
著者
中澤 弥子
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 = Journal of Nagano Prefectural College (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.61-74, 2016-03

発表者は、文化庁の派遣事業で平成26 年度文化庁文化交流使として、ヨーロッパ7 か国(フランス、ドイツ、ポーランド、ハンガリー、イタリア、スロバキア、イギリス)で約2 か月間、日本の食文化を紹介する文化交流活動を行い、ならびに各国の学校給食や食農教育の取組み等について調査した。本研究の目的はヨーロッパ7か国の学校給食についてその特徴をまとめ、日本の学校給食や食育活動に資する資料を得ることである。 見学した学校給食の共通点としては、食堂で食事を行っており、小学校では低学年の次に高学年が食べる等、学齢順に時間帯をずらして食堂を利用していた。また、配膳は、職員が行っていた。学校給食の内容は、各国の食文化や現状を反映していた。
著者
中澤 弥子 三田 コト
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.167-179, 2004-02-15

文献調査および長野県在住の消費者を対象としたアンケート調査を行い以下の結果が得た.(1)生イカの購入割合も最も高かったが,塩イカ,煮イカの購入も維持されており,北・東信に比べ南・中信地方で多く利用されるという地域性も認められた.(2)塩イカ,煮イカは,普段から日常食として用いられており,塩イカは酢の物,粕和えやサラダに,煮イカは刺身や酢の物などの和え物に多く用いられていた.(3)30歳代以上の年齢層に比べ,20歳代以下の塩イカ,煮イカについての購入割合や食経験,現在の摂食状況はやや低い傾向が認められたが,今後も食べ続けたいとする回答は20歳代以下でも8割以上と多かった.(4)郷土料理が伝承される重要な要因として,子どもの頃からの母親の手料理による食経験に加え,手軽に料理できること,今の時代に見合うおいしさであることが示された.
著者
中澤 弥子 鈴木 和江 小木曽 加奈 吉岡 由美
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 = Journal of Nagano Prefectural College (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.25-31, 2008-12

Saku Carp which grows in clean and cold rivers is characterized by a firm body and a week odor. Saku Carp has been eaten throughout Nagano prefecture. In this study, characteristics of Saku Carp sashimi were measured for smell, taste and texture using an organoleptic test and instrumental analysis. For this study, a carp from Fukushima and a Saku Carp were compared. A sashimi piece of about 3 millimeters thickness was used in the organoleptic test. The organoleptic test was conducted by 41 junior college students and teachers evaluating appearance, taste and texture. A 3 millimeter thick piece of dorsal meat was used for the physical property measurement. The physical property measurement used a cylindrical plunger of a diameter of 3 millimeters using a creep meter (Yamaden RE-330005). In evaluations of appearance, the carp from Fukushima was more transparent and smooth than the Saku Carp. In an evaluation of taste, the umami of the Saku Carp was weaker than the carp from Fukushima. In an evaluation of odor, significant difference was not recognized. In the instrumental analysis, the Saku Carp was found to be more firm than the carp from Fukushima. This finding agrees with local opinion and advertising claims.
著者
新保 みさ 尾関 彩 草間 かおる 中澤 弥子 笠原 賀子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.177-184, 2022-06-01 (Released:2022-07-06)
参考文献数
10

【目的】本報告の目的は,管理栄養士養成課程におけるオンラインによる海外プログラムについて報告し,その評価を行うこととした。【活動内容】長野県立大学健康発達学部食健康学科の2年生30名に10日間のオンラインによる海外プログラムを実施した。研修先はニュージーランド(以下,NZ)で,プログラムの内容は英語,専門分野(Nutrition 1:NZの伝統菓子の講義・調理実演や調理実習,Nutrition 2:NZの管理栄養士とのセッション,Nutrition 3:栄養の基礎知識・NZの食文化や食生活指針等に関する講義),その他(学生交流など)などだった。プログラム終了後,目標達成度,国際的な視野の向上,NZの栄養・食の課題を説明できるか,海外プログラムの満足度を調査した。【活動成果】全日程に出席した者は27名(90%)だった。調査の回答者は26名(87%)で「海外の栄養士・管理栄養士の活動の現状を説明できる」という目標を達成できた・ほぼ達成できたと回答した者は23名(88%),オンラインによる海外プログラムに満足した・少し満足したと回答した者は23名(88%)だった。満足度に影響したことには現地の学生等との交流や調理実習や試食等の体験をあげた者が多かった。【今後の課題】今回実施したオンラインによる海外プログラムでは,機材や人員,時差,通信のトラブル等の課題があったが,プログラムの目標達成度や満足度は高かった。
著者
中澤 弥子
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
no.70, pp.61-74, 2015

発表者は、文化庁の派遣事業で平成26 年度文化庁文化交流使として、ヨーロッパ7 か国(フランス、ドイツ、ポーランド、ハンガリー、イタリア、スロバキア、イギリス)で約2 か月間、日本の食文化を紹介する文化交流活動を行い、ならびに各国の学校給食や食農教育の取組み等について調査した。本研究の目的はヨーロッパ7か国の学校給食についてその特徴をまとめ、日本の学校給食や食育活動に資する資料を得ることである。 見学した学校給食の共通点としては、食堂で食事を行っており、小学校では低学年の次に高学年が食べる等、学齢順に時間帯をずらして食堂を利用していた。また、配膳は、職員が行っていた。学校給食の内容は、各国の食文化や現状を反映していた。
著者
中澤 弥子 吉岡 由美 髙﨑 禎子 小木曽 加奈 小川 晶子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】長野県の家庭料理の特徴を探ることを目的として、主菜について分析した。本発表では、その特徴を表し、昭和30年頃から長野県各地で大切に作り継がれている主菜について報告する。<br>【方法】平成25~28年にかけて全県的な現地調査を実施した。調査方法は、主に聞き取り法で行い、可能な場合は、食材や料理、加工品の実物を撮影し、試食を行った。<br>【結果】「海なし県」である長野県の伝統的な主菜に用いる食材には、海水魚、淡水魚や貝、凍み豆腐、鶏肉、馬肉、山肉、昆虫など、種々の食材が利用されてきた。主菜に用いる食材の多くは、単品ではなく、季節の畑作野菜や山菜、茸などと共に煮物にして多く利用された。例えば、身欠き鰊と寒干し大根などの野菜の煮物は、田植えや人寄せ(人が集まる機会)などのご馳走として利用された。海水魚では、年取り魚(大晦日、年越しの食事につける魚)には鮭と鰤が多く利用され、鰯や秋刀魚等がご馳走や日常食で食されてきた。淡水魚では、鯉がうま煮、あらい、鯉こく、から揚げ、すずめ焼きなど様々な料理で利用され、年取り魚をはじめ、行事食としても多く利用されてきた。鮒の甘露煮、わかさぎの甘辛揚げ、たにしの味噌汁なども、季節の日常食として食されてきた。凍み豆腐は、寒冷な気候を利用した保存食として煮物や味噌汁をはじめ、いろいろな料理で食されてきた。家で飼っている鶏をつぶして鶏肉を行事食などに利用した。馬肉は、伊那・飯田で多く食され、馬刺しをはじめ伊那・飯田では馬のモツを醤油や味噌などで煮込んだ「おたぐり」と呼ばれる煮物などで食してきた。猪や鹿、熊などの山肉は、焼き肉や煮物などで利用した。また、魚肉ソーセージや竹輪が煮物やサラダなどに多く利用された。
著者
中澤 弥子 佐藤 晶子 小木曽 加奈 吉岡 由美 鈴木 和江 高崎 禎子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.113, 2011

【<B>目的</B>】長野県では、一年を通じて家の最大の節目を年取りの行事とする傾向が強く、年神棚にご馳走をお供えし、一年の無事の感謝と新しい年の豊作を祈り、家族揃ってご馳走で祝う習慣<SUP>1)</SUP>がある。本研究では長野県の大晦日と正月の行事食の継承の実態と現在の特徴について、平成21~22年度調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学 行事食・儀礼食」で行った調査結果を基に明らかにすることを目的とした。<BR>【<B>方法</B>】アンケート回答者のうち、長野県内に10年以上住み、現在も住んでいる人および現在長野県内に住み、他県に10年以上住んだ経験はあるが、行事食に長野県の影響を受けている人の正月と大晦日のデータ(計686人)を集計し分析を行った。<BR>【<B>結果</B>】回答者の年齢層は、10~20代50%、30~40代33%、50代13%、60~80代4%であった。大晦日の認知度は99%、行事食の経験が98%と高く、年取りの祝い料理については、喫食経験ありが67%で、毎年食べるが53%を占めた。年越しそばは喫食経験ありが90%と高く、毎年食べるが57%、毎年ではないが食べるが19%と高率であった。鮭料理の喫食経験ありは62%で毎年食べるが35%、鰤料理の喫食経験ありは54%、毎年食べるが23%であり、現在も鮭や鰤などの年取り魚が年取りの祝い料理として食されていた。その他、海なし県である長野県において肉料理の回答は少なく、刺身、数の子、握り寿司などの海産物がご馳走として好まれ食されている様子がうかがわれた。<BR><SUP>1)</SUP>「聞き書 長野の食事」、p348、農山漁村文化協会 (1986)
著者
中澤 弥子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.2024, 2009

<BR>【目的】長野県松本市梓川地区(旧梓川村)では、平成15年に第三セクターによる発芽玄米の加工場が設立され、農村女性グループを中心に発芽玄米による米の消費拡大と健康な地域づくりが行われてきた。既報<SUP>1) </SUP>において、梓川地区全戸を対象とする発芽玄米の摂取に関するアンケート調査の結果を報告した。本研究では、発芽玄米を長期摂取している梓川地区住民を対象とし、日常的な発芽玄米の長期摂取が健康に及ぼす影響を検討することを目的とした。<BR>【方法】松本市梓川支所および農村女性グループの協力を得て、梓川地区内で中高年を対象とし、留め置き法によるアンケート調査を平成20年2~3月に行った。梓川特産発芽玄米の摂取期間、摂取量、摂取頻度、摂取方法、調理上の工夫、健康への影響および基本健康診査結果等について調査した。<BR>【結果】アンケート配布数は91、有効回答数72、有効回答率は79.1%であった。回答者は、性別では女性が多く73.6%を占め、平均年齢は67.4±7.9歳であった。発芽玄米の摂取頻度は、「ほとんど毎日食べる」が68.1%、ご飯として食べる場合の白米:発芽玄米の割合は2:1~4:1が72.2%、加水量は白米と同様が62.5%、通常の水加減より多めが37.5%だった。摂取による体調(健康状態)の変化については、「よい変化があった」の回答が54.2%、その内容は「便通がよくなった」が89.7%(N=39)でその多くから回答された。基本健康診査においては、高血圧症・高脂血症の改善傾向、総コレステロール値の減少傾向などを示す対象が存在した。<BR>1)中澤弥子:日本家政学会第59回大会、岐阜(2007)
著者
吉岡 由美 小木曽 加奈 中澤 弥子
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
no.62, pp.45-52, 2007
被引用文献数
2

長寿県である長野県に居住している人々は、淡水魚、特に鯉を食している経験が高い。今回は上田市近郊の給食施設従事者について淡水魚の食習慣に関するアンケート調査を行った。その結果、「ウナギ」や「ニジマス」、「アユ」、「ワカサギ」、「鯉」などの養殖が盛んな淡水魚については知名度も豊富で食経験も高かったが、「ハヤ(ウグイ)」、「カジカ」と言った、いわゆる手に入りにくい魚については知名度及び食経験が低かった。一方、「ヤマメ」、「ハヤ」、「フナ」、「ドジョウ」などの淡水魚は年齢が下がるほど食べられていない傾向が認められた。「フナ」は上田市近郊の南東に位置する佐久地方でよく食べられているが、上田市近郊では徐々に食されなくなってきているという現状が示唆された。「鯉」の料理(調理方法)について認知されている主要なものは「鯉こく」、「あらい」、「甘露煮」、「うま煮」であった。「鯉」は「小学生以前」に「母親の手料理」によって好むと好まざるとにかかわらず正月や年とりなどの「行事」のごちそうとして摂取される背景が示唆された。しかし、「あらい」については年代が下がるにつれて食経験が下がっており、「鯉」を生に近い状態で食べるためその生臭さ、泥臭さや触感、小骨の多さから若年層では敬遠する傾向があると考えられた。
著者
吉岡 由美 小木曽 加奈 中澤 弥子
雑誌
長野県短期大学紀要 = Journal of Nagano Prefectural College
巻号頁・発行日
vol.62, pp.45-52, 2007

長寿県である長野県に居住している人々は、淡水魚、特に鯉を食している経験が高い。今回は上田市近郊の給食施設従事者について淡水魚の食習慣に関するアンケート調査を行った。その結果、「ウナギ」や「ニジマス」、「アユ」、「ワカサギ」、「鯉」などの養殖が盛んな淡水魚については知名度も豊富で食経験も高かったが、「ハヤ(ウグイ)」、「カジカ」と言った、いわゆる手に入りにくい魚については知名度及び食経験が低かった。一方、「ヤマメ」、「ハヤ」、「フナ」、「ドジョウ」などの淡水魚は年齢が下がるほど食べられていない傾向が認められた。「フナ」は上田市近郊の南東に位置する佐久地方でよく食べられているが、上田市近郊では徐々に食されなくなってきているという現状が示唆された。「鯉」の料理(調理方法)について認知されている主要なものは「鯉こく」、「あらい」、「甘露煮」、「うま煮」であった。「鯉」は「小学生以前」に「母親の手料理」によって好むと好まざるとにかかわらず正月や年とりなどの「行事」のごちそうとして摂取される背景が示唆された。しかし、「あらい」については年代が下がるにつれて食経験が下がっており、「鯉」を生に近い状態で食べるためその生臭さ、泥臭さや触感、小骨の多さから若年層では敬遠する傾向があると考えられた。
著者
中澤 弥子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> 発表者は、文化庁の派遣事業で平成26年度文化交流使として、ヨーロッパ7か国(フランス、ドイツ、ポーランド、ハンガリー、イタリア、スロバキア、イギリス)で約2か月間、日本の食文化を紹介する交流活動を行った。本研究の目的は、その活動参加者を対象としたアンケート調査結果から、ヨーロッパ7か国の日本食文化への関心について明らかにすることである。<br><b>方法</b> ヨーロッパ7か国での日本食文化についての講演会及び日本食のワークショップ等、文化交流活動の参加者を対象に、日本食文化への関心等について各母国語(イタリアの食科学大学の学生は英語)でアンケート調査を行い、その結果について検討した。<br><b>結果</b> ドイツ・ベルリンで行った太巻き祭り寿司のワークショップの参加者24名のアンケート結果では、全員が「今日の講演会及びワークショップを楽しめた」、「食した日本食(太巻き祭り寿司・味噌汁・日本茶)はおいしかった」、「日本食の作り方を、また、機会があれば習ってみたい」及び「日本の食文化または日本食について関心がある」と回答した。好きな日本食には、寿司、刺身、天ぷら、味噌汁、ラーメン、うどんなどが自由回答され、日本食の好きなところとして、健康的、食して美味しいのみならず目でも楽しめる、様々な味覚が楽しめる、油脂が少なく重くない等が自由回答された。その他6か国の調査結果でも同じ傾向の回答が得られ、日本食文化への関心の高い参加者が多かった。
著者
小木曽 加奈 吉岡 由美 中澤 弥子
出版者
長野県短期大学
雑誌
長野県短期大学紀要 = Journal of Nagano Prefectural College (ISSN:02861178)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.33-38, 2008-12

Carp has been used as food for special occasion in Saku City, Nagano Prefecture. In our previous study, young people said the carp meat had a muddy odor or fishy smell. Therefore, the weak-point of carp is its taste and odor. In order to better utilize carp meat as a foodstuff the taste and odor was analyzed. In this study, the odor differences between raw and frozen carp meat were measured by a sensory evaluation and instrumental analysis. In addition, the odor differences due to the different parts of the carp meat were measured by instrumental analysis. The samples were subjected to sensory evaluations of odor by 22 trained panelists (ave. age was 23.4). And Multi Organoleptic System was used as an instrument for analysis. As the results, the analysis found the frozen sample was less odorous than the raw sample. In the raw sample, the odor was strongest closer to the head. Thus, considering which part of the carp body the meat came from is important. It was shown that frozen processing is useful to reduce raw and fishy odor.