著者
竹村 博一 永田 基樹 井上 俊哉 湯川 尚哉 藤澤 琢郎 阪上 智史 友田 幸一
出版者
JAPAN SOCIETY FOR HEAD AND NECK SURGERY
雑誌
頭頸部外科 = Journal of Japan Society for Head and Neck Surgery (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.125-129, 2009-10-30
参考文献数
11
被引用文献数
2

症例は33歳男性,ロケット花火が口腔内で爆発し受傷,頸部腫張を自覚し近医受診,頸部皮下気腫,縦隔気腫,咽頭熱傷の診断にて救急搬送された。当初呼吸状態も安定していたため保存的に治療を行っていたが,左側下咽頭側壁から後壁にかけての粘膜の浮腫が著明となり,また壊死が加わり,進行した。画像診断では,咽頭後間隙を中心とした深頸部膿瘍の形成が認められ,さらに縦隔内にまで進展していることが指摘されたため,頸部外切開によるドレナージを行ったところ,花火の爆発片を咽頭後間隙内に認めたため,これを除去した上,周囲の壊死組織の切除,咽頭裂傷部の縫合と共に,縦隔及び胸腔ドレナージを行った。術後,局所処置,抗生剤投与を継続して行い,改善した。<br>本症例は救命し得たが,開胸による縦隔ドレナージを要する結果となり,受傷当日の頸部外切開等の早期対応が必要な症例であったと考えられた。
著者
井上 俊
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.36-47, 2020 (Released:2021-05-29)
参考文献数
27

日本の社会学は、第二次世界大戦後、1950~60年代にかけて急速に発展した。当時の主流は農村社会学と家族社会学、そして学説研究であった。戦後、GHQの方針もあって、日本社会の近代化・民主化が大きな課題とされ、社会学はとくに「いえとむら」に残る前近代性の実態解明と克服に貢献することを期待された。その意味で、当時の社会学には実践的・政策学的な関心が強かった。学説研究に関しては、米国社会学の影響が強まり、パーソンズやマートンらの構造-機能主義、リースマンやミルズらの大衆社会論などが紹介され、広く受け入れられた。1970年代に入ると、それまで大きな影響力を持っていた構造-機能主義とマルクス主義がともに弱体化し始め、シンボリック・インタラクショニズムや現象学的社会学など多くの新しい観点が登場し、研究テーマも多様化する。大衆社会論を引き継ぐような形で情報社会論、消費社会論、脱工業社会論なども盛んになり、80年代にはいわゆるポストモダニズムの潮流が形成され、90年代以降のグローバル化の進展とあいまって、「(欧米)近代市民社会の自己認識の学」としての社会学のあり方を脅かす。一方、80年代以降やや敬遠され気味であった実践的・政策学的関心は、バブル崩壊、オウム真理教事件、自然災害と原発事故などを契機に再び活性化した。日本の社会学のこうした歴史と現状を踏まえ、ブラヴォイの「パブリック社会学」論やジャノヴィッツの「工学/啓発モデル」論を参照しながら、社会学的知の多様性と社会学のディシプリンとしての曖昧性の擁護について最後に触れたい。
著者
井上 俊也
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.93-100, 1998-09-30 (Released:2010-07-27)
参考文献数
18

After World War II, the GHQ (General Headquarters) reformed economic policies in Japan. The most important policy was the ban on pure holding companies. Holding companies have been banned by the Antimonopoly Law since the end of World War II to prevent a resurgence of conglomerates, such as the prewar and wartime "zaibatsu", which wielded huge financial power. But in the 1990's, thanks to the movements of deregulation under the recession and the global competition, many persons have come to support the existence of the holding company system in Japan. After a long period of the ban, under the revised Anti-monopoly Law, Japanese corporations have been allowed to set up holding companies since December 1997. This removal of the ban on the holding company system will activate the Japanese economy including the professional football clubs established in the 1990's. Their establishment synchronized with the start of the J. League (Japan Professional Football League). Most of the Japanese professional football clubs derive from companies'football clubs and the subsidiaries of big companies which are the operating parent companies. The big companies sponsor their football clubs in order to participate in the professional league. But being subsidiaries of operating companies, the Japanese football clubs can not realize the ideal of the J. League because of their status. The management of the football club is neither based on the community nor on the profession. The synergy with the operating parent company is not enough. If the holding company system is approved in Japan, Japanese professional football clubs will be able to take advantage of the flexible equity and the empowerment leadership of the management and solve the present problems.
著者
井上 俊雄
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.124, no.3, pp.343-346, 2004 (Released:2004-06-01)
参考文献数
8
被引用文献数
7 11

Recently, research activities on the fields of the power system frequency controls are increasing, especially in connection with the deregulation of power systems. The main contribution to the generation controls required for the frequency controls comes from the thermal power plants with steam boilers. This article presents the fundamental features of MW response of the thermal power plants to be considered in dynamic simulations of the frequency controls, after reviewing the basis of the frequency controls in normal conditions of power systems. The features of the MW response are described in the aspects EDC operation, LFC operation and governor speed-droop operation.
著者
井上 俊
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.77-99, 1966-06-30 (Released:2017-12-28)

6 0 0 0 OA 社会学と文学

著者
井上 俊
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.2-14, 2008-06-30 (Released:2010-04-01)
参考文献数
29
著者
池田 登顕 井上 俊之 菊谷 武 呉屋 朝幸 田中 良典 呉屋 弘美 佐野 広美 庄司 幸江 須藤 紀子 長島 文夫 藤澤 節子 佐藤 博之
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.185-189, 2016-03-01 (Released:2021-12-10)
参考文献数
17

在宅医療・緩和ケアカンファレンス(以下、本会という)は、北多摩南部医療圏にて多職種連携推進研修を開催してきた。今回、阿部らが開発した「医療介護福祉の地域連携尺度」を一部本地域に合わせて改変したものを用いて、本会の取組みを客観的に評価した結果、有用な知見が得られたので報告する。 調査は、75名を対象とし多職種が集まる本会以外の研修会への参加頻度も含め、過去3年間で、「本会の研修会参加6回以上」、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」、「多職種連携の研修会参加6回未満」の3群に分け、連携尺度スコアをKruskal-Wallis検定にて検証した。post-hoc testとしては、Scheffe法を用いた。 最終的に、15%以上の欠損値が存在した1名を除外した、74名の回答を分析した。過去3年間において、「本会の研修会参加6回以上」、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」、「多職種連携の研修会参加6回未満」の3群間における連携尺度スコアのKruskal-Wallis検定の結果、有意差がみられた。また、多重比較の結果「本会の研修会参加6回以上」群の連携尺度スコアは、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」群および「多職種連携の研修会参加6回未満」群と比較して有意に高かった(P<0.001)。 地域での多職種連携推進には、その地域で開催されている研修会へ年2回以上の参加が推奨されると考えた。
著者
島 隆夫 長谷川 一幸 今里 元信 井上 俊司
出版者
公益財団法人海洋生物環境研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は洋上風力発電施設から発生する低周波水中音の魚類への影響を解明し,洋上風力発電施設の稼働に伴い必要となる環境アセスメントに必要となる知見を得る事を目的としている。本研究の結果,140 dB re 1 μPa/√Hzの100 Hz純音は遊泳行動や摂餌に一時的な影響を及ぼすが,マダイの摂餌リズム,摂餌量および成長,シロギスの性成熟,産卵行動,卵質,卵発生に顕著な影響は認められなかった。しかしながら,水中音に対する聴覚感度や反応は魚種によりさまざまであると考えられるため,洋上風力発電施設から放音される低周波水中音が海洋生物に及ぼす影響を把握するためにはさらなる知見の集積が必要である。
著者
井上 俊也
出版者
日仏経営学会
雑誌
日仏経営学会誌 (ISSN:09151206)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-12, 2018 (Released:2019-09-12)
参考文献数
5

日本とフランスは20世紀末から21世紀初めの25年間にサッカーワールドカップ、夏季オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップというメガスポーツイベントを開催しているが、これらのメガスポーツイベントに使用する大規模なスタジアムの建設とその利活用については大きな違いがある。 日本では多くのスタジアムがサッカーワールドカップのために建設されたが、その後のメガスポーツイベントで継続的に使用されているものは少ない。一方、フランスでは一連のメガスポーツイベントでは継続して同じスタジアムを使用している。 また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場として建設される新国立競技場については設計、建設段階にも問題が生じたが、定常的に使用するクラブがなく、オリンピック・パラリンピック後の利活用についても大きな課題となる。フランスでもサッカーワールドカップのメイン会場として混乱の末にスタッド・ド・フランスが新設された。このスタッド・ド・フランスもサッカーワールドカップ後に定常的に使用するクラブがなかったが、どのように課題を解決してきたかを取り上げ、日本のスタジアムの建設と利活用について提言する。
著者
北村 繁幸 浦丸 直人 井上 俊夫 鈴木 祐子 尾崎 ひとみ 杉原 数美 太田 茂
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第38回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.20067, 2011 (Released:2011-08-11)

【目的】パラベン類(p-hydroxyalkylbenzoates)は、抗菌作用を有し保存料として食品、化粧品、医薬品等の様々な製品に使用されており、とくに化粧品中では最も頻繁に使用されている防腐剤である。化粧品の特性上、直接皮膚に使用するため、接触皮膚炎などのアレルギー症状が問題となっており、化粧品成分中の防腐剤が感作性物質(アレルゲン)になることが懸念されている。本研究では、パラベン類のアレルギー反応及びアレルギー反応へのパラベン類の代謝の関与を明らかにすることを目的とする。 【方法】代謝実験に供したラット肝ミクロゾームはSD系ラット肝より調製した。被検化合物はラット肝ミクロゾームと共に反応させ、代謝生成物であるp-ヒドロキシ安息香酸をHPLCにて測定した。抗原性試験はモルモットの皮膚反応にて検討した。被検化合物のヒスタミン遊離実験には、Wistar系ラットの腹腔から精製したマスト細胞を用いた。被検化合物をマスト細胞と共に反応させ、遊離したヒスタミンをHPLCにて測定した。 【結果および考察】代謝実験では、ラット肝ミクロソームはパラベン類に対して加水分解活性を示した。ブチルパラベンにて感作したモルモットおいて、ブチルパラベンでは弱いながら皮膚紅斑が認められた。p-ヒドロキシ安息香酸では、濃度依存的なマスト細胞からのヒスタミン遊離作用が認められた。一方、ブチルパラベンでは、低濃度域ではヒスタミン遊離作用は認められないものの高濃度域では認められた。ブチルパラベンにおけるアレルギー反応の発症には、p-ヒドロキシ安息香酸への代謝反応の関与が考えられる。
著者
小黒 康裕 高橋 秀和 山下 雄一郎 菊池 伸 藤田 雅人 平山 聡 加納 大幹 橋本 栄 門間 玄三 井上 俊輔
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 35.17 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.19-22, 2011-03-15 (Released:2017-09-21)
参考文献数
3

0.25μm 1P3M CMOSプロセスを用いて,300mmシリコンウエハに202mm×205mmのCMOSイメージセンサを開発した.画素サイズ:160μm^2,画素数:160万画素であり,画素内電圧ゲインアンプ,列差動読み出し回路を搭載している.これにより,高感度(25Me^-/lx/s),低ノイズ(13e^-rms)を実現しており,低輝度でも鮮明な画像を撮ることができる.本報告では,300mmウエハサイズCMOSイメージセンサの概要およびセンサ性能について述べる.
著者
井上 俊明
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.382, pp.9-12, 2016-07

経団連に加盟する企業の就職面接解禁から1カ月。大手の選考は進んでいるが、中小企業の新卒採用は後ろにずれ込む見込みだ。そこで、注目したいのが、中小企業に役立ちそうな求人サービスが充実してきたことだ。
著者
井上 俊輔 加藤 久幸 飯塚 康治 山脇 正雄 櫻井 克仁 上野 勇武 小泉 徹 樋山 拓己 浅羽 哲朗 須川 成利 前田 敦 東谷 恵市
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.37-41, 2001
参考文献数
6
被引用文献数
9 5

一眼レフディジタルカメラ用, APS-Cサイズ総画素数325万のCMOSイメージセンサを開発した。画素サイズは10.5μm^□で, 埋め込み型フォトダイオードと4つのトランジスタより構成した, 完全電荷転送構造を採用し, 列毎に設けたノイズ除去回路で画素リセットノイズと固定パターンノイズを低減した。0.35μmルールCMOSプロセスをセンサ向けに専用化したプロセスを用い, 暗電流密度60pA/cm^2(60℃), ランダムノイズ0.27mVrms, 消費電力250mWを達成した。
著者
清水 俊幸 安島 雄一郎 吉田 利雄 安里 彰 志田 直之 三浦 健一 住元 真司 長屋 忠男 三吉 郁夫 青木 正樹 原口 正寿 山中 栄次 宮崎 博行 草野 義博 新庄 直樹 追永 勇次 宇野 篤也 黒川 原佳 塚本 俊之 村井 均 庄司 文由 井上 俊介 黒田 明義 寺井 優晃 長谷川 幸弘 南 一生 横川 三津夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.10, pp.2118-2129, 2013-10-01

スーパーコンピュータ「京」の構成と評価について述べる.「京」はスパコンの広範な分野での利活用を目指した10PFLOPS級のスパコンである.我々は,デザインコンセプトとして,汎用的なCPUアーキテクチャの採用と高いCPU単体性能の実現,高いスケーラビリティのインターコネクトの専用開発,並列度の爆発に抗する技術の導入,高い信頼性,柔軟な運用性,省電力性の実現を掲げ,2011年にそのシステムを完成させた.HPC向けCPU,SPARC64 VIIIfxと,スケーラビリティの高いTofuインターコネクトを専用に開発し,並列度の爆発に抗する技術としてVISIMPACTを実装した.冷却やジョブマネージャ等により,高い信頼性,柔軟な運用性,省電力性を実現した.「京」は2011年6月と11月にTOP500で世界一となった.また,複数のアプリケーションで高い実行効率と性能を確認し,スパコンとしての高い実用性を示した.