著者
井上 近子
出版者
拓殖大学経営経理研究所
雑誌
拓殖大学経営経理研究 = Takushoku University research in management and accounting (ISSN:13490281)
巻号頁・発行日
no.112, pp.57-77, 2018-03-28

ファッション小売業を取り巻く環境は,注視すべき状況にある。グローバル化の波に乗って,世界の小売業が日本市場に進出して店舗展開を行っている。そのため,ファッション小売業者は競合店の脅威に対して注意を払いながら,常に消費者行動の変化に適応する必要に迫られている。消費者の購買動向を絶えず注視し,その動きに適合したマーケティング活動を展開することが重要な着眼点である。近年,マーケティング・プロモーションに代わって,マーケティング・コミュニケーションという言葉が多く使われるようになっている。店舗において商品を販売する際には,売り手と買い手との相互コミュニケーションは不可欠である。マーケティング・コミュニケーションの人的販売は,小売業が繁栄を続けていくために説得力がある要素であると考えられる。売場の販売員は,来店してくれた顧客に対して,時間をかけてじっくりとコミュニケーションを図り,納得して頂き,満足の行く接客をしなければならない。顧客がその商品を十分に納得し,そこから購入に至る行動は,コミュニケーションを通した反応プロセスである。その販売員の基本動作と顧客の購買心理を8つの段階に分け,各段階について解説を行った。人的販売は,ファッション小売業がマーケティング目標達成のために用いられる重要なプロモーション・メゾッドであるといえるだろう。本稿は,小売業における販売員と消費者がコミュニケーションを取りながら,消費者の購買意欲を高めるための販売・接客のプロモーション活動に対する調査・研究を試みたものである。