著者
片渕 竜也 井頭 政之 古林 徹 尾川 浩一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ホウ素中性子補足療法におけるオンライン線量評価システムとしてピンホールカメラを開発する。本研究では、実証試験を行うためのピンホールカメラシステムを構築した。加速器中性子源からの中性子ビームを用いて実験を行った。中性子ビームを水ファントムに照射し、中性子ホウ素の核反応で発生するガンマ線を検出した。中性子ホウ素反応率の空間分布を再構成するための測定を行った。十分な空間分解能で反応率空間分布を得ることができた。
著者
永井 泰樹 板橋 隆久 嶋 達志 高久 圭二 井頭 政之 大崎 敏郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

長寿命r-過程核^<187>Reとその娘核^<187>Osとの存在比^<187>Re/^<187>Osから宇宙年齢を推定する上で、^<187>Osがs-過程でも合成されるため^<187>Reのみの崩壊による^<187>Osの量の精度よい評価が重要である。その量はσ_γ(A)×N(A)=一定=σ_γ(^<186>Os)×N(^<186>Os)=σ_γ(^<187>Os)×N(^<187>Os)の関係から評価できる。{σ_γ(A)及びN(A)は夫々質量Aの核の中性子捕獲反応断面積及び存在量}。そのためσ_γ(^<186>Os)及びσ_γ(^<187>Os)の測定が不可欠であるが、特に問題はσ_γ(^<187>Os)である。s-過程が進行する恒星内温度では^<187>Osの第一励起状態(10keV)を通して中性子保護反応が進行するため励起状態のσ_γ(^<187>Os)の値も極めて重要である。我々は、σ_γ(^<186>Os)、^<187>Osの基底状態のσ_γ(^<187>Os)に加え励起状態(3/2^-)のσ_γ(^<187>Os)を知るため類似の構造を持つ変形核^<189>Os{基底状態(3/2^-)}の中性子捕獲反応断面積σ_γ(^<189>Os)を高感度のNaI(Tl)検出器を用い即発ガンマ線法により測定しその解析を行った。その結果従来に無い高精度で断面積を決定できた。得られた値は過去の値と10-20%異なる。又ガンマ線エネルギー分布を測定できたので^<187>Osの励起状態のσ_γ(^<187>Os)を推定する上で重要な知見を得た。更に^<187>Osの基底状態及び第一励起状態への弾性散乱及び非弾性散乱断面積の測定を新たに構築したLiガラス検出器4台を用い従来に無い高精度で測定した。これらの結果Re-Os対による宇宙年齢の高精度の推定に大きな貢献ができた。
著者
齊藤 正樹 井頭 政之 鈴木 正昭 関本 博 赤塚 洋 飯尾 俊二
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

使用済み燃料中に存在するプルトニウム以外の超ウラン元素は、現在、高レベル放射性廃棄物として長期間管理が求められているが、大きな中性子捕獲断面積を持つため、原子炉内に初期に装荷することにより、初期の余剰反応度を抑えつつ、中性子によって核変換し、新しい核分裂製物質に変換され、長期間原子炉内は核分裂を維持することが可能となる。本研究では、これらの超ウラン元素を適切に原子炉内に再装荷することにより、長期間新燃料補給の必要のない超長寿命原子炉(軽水炉・重水炉・高速炉)の成立性に関する研究を実施した。その結果、^<237>Npを軽水炉及び重水炉に装荷した場合、燃焼度150-200GWd/tを持つ長寿命炉心が成立すること、また、6種類の冷却材(軽水、重水、Heガス、CO_2ガス、ナトリウム、水蒸気)を選択し、長寿命特性及び炉心の安全特性に及ぼす中性子スペクトルの影響について系統的に検討を行った結果、黒鉛減速Heガス冷却の場合がその特性を良く発揮することがわかった。また、^<237>Npと同様な中性子工学的性質を有する^<241>Am等を軽水炉に装荷した場合、約100GWd/tの高燃焼度が達成できることを確認した。また、いずれの場合も使用済燃料中に^<238>Puが多く生成されるため、核拡散に対して高い抵抗性を持つPuが生成されていることがわかった。また、核燃料交換や反応度制御が一切不要となる可能性のある原子炉燃焼概念(核反応敵に活性な領域が自立的に移行する燃焼方式)について検討し、約400GWd/tの高燃焼度を持つ高速炉炉心の可能性を確認した。また、関連する解析コードの改良や核反応データベースの整備を行った。