著者
深川 恵理 遠藤 文康 京野 陽子 服部 一紀
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.70-73, 2020-05-31 (Released:2021-02-10)
参考文献数
7

53歳タイ在住日本人男性.前立腺癌に対し当院泌尿器科でフォローされていたが,PSA上昇傾向あり,2015年6月に病勢評価目的の前立腺生検を企画され,入院2日前に帰国した.入院前日に術前検査として血液検査を施行したところ,CK 13,631IU/Lと異常高値が判明した.翌日の再検査ではCK 29,836IU/Lと更に上昇を認め,血清ミオグロビン 3,289.0ng/mL,尿中ミオグロビン 26,000ng/mL,CKアイソザイムはMM型が100%であった.後の問診により,帰国後入院するまでの2日間に公共温泉施設で電気風呂に入浴していたことが判明した.製造業者の推奨する電気風呂の入浴方法は「3分以内,1日2,3回」とされているところ,本症例は入院2日前に30分,1日前に60分と想定を遥かに超える長時間の入浴を行っていた.経過中腎機能障害は認めず,予定通り生検を施行した上で安静及び補液にて経過観察とし,CK値は入院2日目の42,355IU/Lをピークに改善傾向となり,入院5日目に5,979IU/Lまで低下を確認したところで退院となった.医中誌Webにおいて「電気風呂」の検索結果はわずか3件で,うち2件がCK上昇に関するもの,うち1件は電気風呂により植込み型除細動器が誤作動したという報告であった.過去の報告では入浴時間が長いほどCKの上昇を認めた.長時間の電気風呂の入浴は横紋筋融解症を来し,重篤な結果に至る可能性も懸念されることから,適正な入浴時間の啓発が必要である.
著者
深川 恵理 遠藤 文康 京野 陽子 服部 一紀
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.70-73, 2020

<p>  53歳タイ在住日本人男性.前立腺癌に対し当院泌尿器科でフォローされていたが,PSA上昇傾向あり,2015年6月に病勢評価目的の前立腺生検を企画され,入院2日前に帰国した.入院前日に術前検査として血液検査を施行したところ,CK 13,631IU/Lと異常高値が判明した.翌日の再検査ではCK 29,836IU/Lと更に上昇を認め,血清ミオグロビン 3,289.0ng/mL,尿中ミオグロビン 26,000ng/mL,CKアイソザイムはMM型が100%であった.後の問診により,帰国後入院するまでの2日間に公共温泉施設で電気風呂に入浴していたことが判明した.製造業者の推奨する電気風呂の入浴方法は「3分以内,1日2,3回」とされているところ,本症例は入院2日前に30分,1日前に60分と想定を遥かに超える長時間の入浴を行っていた.経過中腎機能障害は認めず,予定通り生検を施行した上で安静及び補液にて経過観察とし,CK値は入院2日目の42,355IU/Lをピークに改善傾向となり,入院5日目に5,979IU/Lまで低下を確認したところで退院となった.医中誌Webにおいて「電気風呂」の検索結果はわずか3件で,うち2件がCK上昇に関するもの,うち1件は電気風呂により植込み型除細動器が誤作動したという報告であった.過去の報告では入浴時間が長いほどCKの上昇を認めた.長時間の電気風呂の入浴は横紋筋融解症を来し,重篤な結果に至る可能性も懸念されることから,適正な入浴時間の啓発が必要である.</p>
著者
遠藤 文康 大脇 和浩 新保 正貴 松下 一仁 大山 雄大 新村 智己 京野 陽子 阿南 剛 小松 健司 服部 一紀
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.212-215, 2017

<p> モーセレーションで吸引困難な硬結 (beach balls, BB) の出現予測因子を検討. 対象 : 聖路加病院で2014/1-2016/6実施されたHoLEP症例でバーサカットによりモーセレーションされた248例. 方法 : 目的変数をBBの有無, 説明変数を年齢, BMI, PSA, 尿閉既往, 膿尿, Dutasteride内服, 前立腺推定容積, MRIでのnoduleの有無, 中葉の存在として統計学的検討を施行. 期間中に3種類のモーセレータチューブを使用しており, その影響も検討. 結果 : BB発生は20.6% (51/248). BB出現時モーセレーションは27分延長. 単変量解析ではPSA中央値 (BB無vs有=4.69 vs 6.84 p=0.016), 前立腺容積 (53.1 vs 81.9, p<.0001) が有意だったが, 多変量解析では容積のみ有意であった (OR 1.031, p<.0001). チューブは1世代に対し, 2世代でBBの出現が増加 (OR3.69, p=0.005). 前立腺容積のROC解析ではAUC0.743, カットオフ値は61ml (感度61.2%, 特異度78.45%) と算出された.</p>