著者
伊東 一郎
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.767-796, 1982-03-30
著者
伊東 一郎 Ichiro Ito
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.767-796, 1982-03-30

This article presents a comparative-historical analysis of thewerewolf belief among the Slavic peoples. It concludes by advancingthe following hypothesis: that among the Slays there existed aritual transformation into wolves by the young warriors society andthat from the 10th century, after this ritual had disappeared, it wasrecalled via folkloric and ethnographic motifs, viz: (1) the werewolfbelief connected with the cult of magician and spread chiefly amongthe Western and Eastern Slays; (2) the folkloric motif of the"Shepherd of Wolves" occurred mainly among the Southern Slays;and (3) disguising as wolves by groups of young people during theWinter Ritual, which was a characteristic chiefly of the SouthernSlavs.
著者
岸 玲子 伊東 一郎 石津 澄子 原渕 泉 三宅 浩次
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.241-250, 1991-07-20
被引用文献数
5

メチルブロマイド(MB)の人体に対する影響についての報告は少なく,特に長期暴露の影響を適当な対照と比較して調べた報告はほとんど見られない.本研究は現場での健康管理やスクリーニングに役立たせる目的でMB作業者の自覚症状についてのケース・コントロール研究を行った.対象は某MB製造工場でMB取扱い歴のある者全員(56名)である.対照は同工場内に暴露歴のない作業者が少なかったため国鉄および関連企業の170名の中から性・年齢(±3歳以内)で1対1にマッチさせ選んだ.自覚症状77項目についてサインテストによりMB群と対照の比較を行った.作業者のMB取扱い歴は6.7±7.4年(Range:1〜25年)であった.MB作業者の平均年齢は40.6±14.0(Range:18〜62年)であった.サインテストによる対比較で有意の差が認められた質問項目別に訴え率をみると,作業中(当日や翌日)に見られた症状では「手がかゆい」,「刺激で鼻がつんつんしたり鼻水が出る」,「手に水疱ができたり赤くはれたりする」の各項目の訴えが多かった.最近(6か月以内)またはそれ以前の症状では「身体がだるい(最近)」,「立ち上がるとフラフラすることがある(以前)」,「食欲がない(以前)」,「いやな夢をよくみる(最近)」,「めまいがしたりぐらぐらする(以前)」,「指先や足裏の感じが鈍い,しびれる(最近・以前)」等の訴え率が高かった.現在MB取扱い者(37名)と過去にMB取扱い歴のあった(19名)を比較すると大きな差は認められず,同様の傾向を示したが,作業中の自覚症状では,「現在MB取扱い者」では前掲の3症状がいずれも対照に比べ有訴者が多かったものの,「過去取扱い者」では「手がかゆい」の項目のみ有意差が見られた.普段の症状では,逆に「現在取扱い者」のほうが有意差のあった項目が少なく,「めまいがしたりぐらぐらする(以前)」のみ有意であった(p<0.02).「過去取扱い者」では「つまずきやすい(最近)」,「いやな夢をよくみる(最近・以前)」,「身体がだるい(最近)」,「指先や足の裏がしびれる(最近・以前)」,「身体の感覚がおかしい(以前)」,「暗いところでは見づらい(最近)」の各項目でMBを以前に使用していた者のほうに強く症状が見られた.ケース群とコントロール群の病名の頻度に大きな差異はなく,年齢も±3歳以内でマッチしているので本調査で認められた自覚症状の出現頻度の差は,基礎疾患による差異や年齢による差とは思われず,MB長期暴露による影響の現われと思われる.現在MB取扱い作業者の尿中Br濃度は18.9±10.4μ9/mlであった.尿中Br濃度と暴露年数の間には関連は見られなかったが,暴露年数と自覚症状の間では有意の関連が認められた.