著者
吉井 匡 伊東 裕司
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

刑事手続過程において医学的知見の誤用や曲解が指摘されることがあるが、指摘が妥当なら、それは刑事手続過程から排除される必要がある。上記問題意識の下、研究代表者は、小児医学の知見であるタナー法を児童ポルノ事件で年齢推定に用いるべきではないとの立場から、国内初の研究論文を2016年に発表したが、これには批判も寄せられた。そこで、これまで以上に、国内外の研究動向の精査、他の医学的知見との比較、小児科医への調査等を行い、先行研究の正当性を裏付ける。そして、本研究で得られた知見は、タナー法を巡る問題に限らず、広く刑事手続過程における医学的知見の取扱いに対する、理論基盤の構築にも貢献することとなる。
著者
山内 佑子 高橋 雅延 伊東 裕司
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.83-92, 2008 (Released:2017-06-02)

認知インタビュー(Cognitive Interview:以下CI)は認知心理学の実験的知見をもとにFisherとGeiselmanによって開発された記憶促進のための事情聴取方法である。想起方法としてCI技法を用いない標準インタビュー(Standard Interview:以下SI)とCIの2条件を設けて比較した従来の研究では、CIはSIよりも正確な情報を引き出すことが明らかにされている。本研究では2つの実験において、CIの有効性に及ぼす目撃者の性格特性の差異の影響を検討した。すなわち、参加者を向性テストの結果によって外向性高群と外向性低群に分けた後、銀行強盗の短いビデオを呈示した。実験1ではSI条件とCI条件を比較した。実験2では全員がCIを受ける前に、CI技法による想起の経験か、CI技法によらない想起の経験のいずれかを行った。その結果、CIの有効性は目撃者の性格特性によって影響を受けることが明らかとなった。これらの結果についてはCIにおけるラポール形成の面から考察した。
著者
三浦 大志 伊東 裕司
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
巻号頁・発行日
pp.11, 2011 (Released:2011-10-02)

目撃者が犯人を識別する際、複数の容疑者の中から一人を選択するラインナップ手続きに比べ、単独の容疑者が犯人であるかを判断する単独面通し手続きは誤同定判断が増加すると言われているが、日本では単独面通し手続きを用いた実証研究はほとんどなされていない。本研究では、容疑者は真犯人 である、という思い込みを操作するために、難しい、または簡単な容疑者選定作業を経験した後で、ビデオを見て貰い、それから犯人識別を行って貰った。その結果、単独面通しよりラインナップの方が誤同定判断が多く見られた。またラインナップ群において、簡単な容疑者選定作業を経験した群の方が、難しい作業を経験した群より危険な誤同定判断が多い傾向が見られた。事前の経験が作り出した「写真群の中にきっと犯人はいるだろう」という思い込みが、ラインナップにおける比較判断を増加させ、その結果、誤同定を増加させることが示唆された。
著者
山内 佑子 高橋 雅延 伊東 裕司
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.83-92, 2008-08

認知インタビュー(Cognitive Interview:以下CI)は認知心理学の実験的知見をもとにFisherとGeiselmanによって開発された記憶促進のための事情聴取方法である。想起方法としてCI技法を用いない標準インタビュー(Standard Interview:以下SI)とCIの2条件を設けて比較した従来の研究では、CIはSIよりも正確な情報を引き出すことが明らかにされている。本研究では2つの実験において、CIの有効性に及ぼす目撃者の性格特性の差異の影響を検討した。すなわち、参加者を向性テストの結果によって外向性高群と外向性低群に分けた後、銀行強盗の短いビデオを呈示した。実験1ではSI条件とCI条件を比較した。実験2では全員がCIを受ける前に、CI技法による想起の経験か、CI技法によらない想起の経験のいずれかを行った。その結果、CIの有効性は目撃者の性格特性によって影響を受けることが明らかとなった。これらの結果についてはCIにおけるラポール形成の面から考察した。
著者
伊東 裕司
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.10-15, 2015 (Released:2017-06-02)

手続き二分のされていない日本の裁判員裁判において、裁判員の事実認定判断は、量刑判断のための証拠などによる不適切な影響を受けることはないかについて論じる。われわれの研究室で行われた、被害者の意見陳述の裁判員に対する影響についての3つの実験について検討した。模擬裁判実験の結果は、裁判員の事実認定判断が被害者の意見陳述の不適切な影響を受ける可能性があること、この可能性は裁判員に対する説示や審理からの時間の経過によって除去しきれないことが示唆された。我々の研究は、一般に、量刑判断のための証拠が裁判員の事実認定に不適切な影響を与えることを示すものと考えられる。手続き二分に関する議論においては、このような実証的なデータを十分に考慮すべきである。
著者
伊東 裕司 高山 博 日比谷 潤子 渡辺 茂
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
no.98, pp.p123-139, 1995-01
被引用文献数
1

実験1 方法 材料 手続き 被験者 結果および考察実験2 方法 材料 手続 被験者 結果および考察実験3 方法 材料 手続 被験者 結果および考察総合考察In this study, we examined intersubject agreement of the judgment whether a face and a voice were of the same person or not. In Experiment 1, we presented subjects photographs of six male models and their voices, and asked to make six pairs of a face and a voice that they thought as the same person's. In Experiment 2, subjects judged whether each of the 36 pairs of a face and a voice was obtained from the same person or not on sevenpoint scales. These two experiments revealed that the subjects judgments agreed considerably although some idiosyncrasy was suggested. In Experiment 3, subjects judged 12, traits such as masculinity and soberness, of each of the six faces and the six voices. Results of Experiments 2 and 3 showed that differences in the trait judgment correlate with judgment of face-voice matching. Common mechanisms underlying both judgment, are suggested.
著者
三浦 大志 伊東 裕司
出版者
慶應義塾大学大学院社会学研究科
雑誌
慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要 : 社会学・心理学・教育学 : 人間と社会の探究 (ISSN:0912456X)
巻号頁・発行日
no.73, pp.39-48, 2012

論文The revelation effect occurs when engaging in a cognitive task before making a recognition judgment increases the probability of old responses. The present study covered three main points. First, we investigated whether the revelation effect occurred in a between-participants design, using brand names' confidence ratings of knowing (C-ROKs). The following question was used for the C-ROKs: "How confident are you that you knew this brand in high school?" Second, we examined the duration of this effect. Finally, we also investigated whether the phenomenon of higher brand preference ratings, which has been considered a kind of example of the revelation effect, lasted for a certain amount of time. For these purposes, in an experiment, 60 participants were assigned to one of three conditions. All participants viewed a series of brand names and were asked to make C-ROKs. In one condition, participants made the C-ROKs immediately after solving an anagram task (anagram trial) in the first 30 trials. In the next 30 trials, they made only the C-ROKs (no-anagram trial). In the second condition, the order of blocks in the first condition was reversed. In the third condition, the anagram trial and the no-anagram trial were randomly assigned. After all 60 trials, the participants rated their preferences for the brands for which they had previously made C-ROKs.The results showed that the revelation effect occurred in a between-participants design. This is the first study to report the revelation effect when inserted tasks and a between-participants design were used. The results also showed that the revelation effect did not last for a certain amount of time. Moreover, they suggest that the phenomenon of higher brand preference ratings is temporary. These results suggest that the revelation effect is subtle and short-lasting. This means that the revelation effect may capture an instant distortion of memory, of which people are hardly aware in daily life.
著者
伊東 裕司
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

目撃者が,容疑者を含む複数の人物の顔を見て,目撃した犯人がいるか,いるとしたらどの人物かを判断するような揚合に,事前にその顔を思い出し言語記述することは,判断の正確さにどのように影響するだろうか。言語記述が顔の再認を妨害すること(言語隠蔽効果)を報告する研究がある一方,促進することを報告する研究,効果がないことを報告する研究もある。本研究では,顔の再認記憶に言語記述が及ぼす効果について,妨害,促進効果の生起条件,生起メカニズムを明らかにすることを目的とする。再認時に記憶の全体的,非分析的な側面が優位であれば妨害効果,部分的,分析的な側面が優位であれば促進効果が生じる,保持期間が長くなるなど記憶が衰えると部分的,分析的な側面が優位になるとするBEASモデル(Itoh,2005)の仮定を軸に3つの研究が行われた。第1の研究では,保持期間が長くなると顔の記憶の部分的,分析的な側面が優位になることが,コンピュータで合成した顔刺激を用いた再認実験から明らかになった。またこの優位性は,課題状況によって引き起こされる構えが原因である可能性が示唆された。前半部分はBEASモデルを支持し,後半部分は支持しないが,更なるデータの収集が必要であると思われる。第2の研究では,言語記述を要求されない場合でも自発的な言語記述が顔の記憶を妨害する可能性が示された。この現象に実際に言語がかかわっているかどうかについての検討を現在計画中である。第3の研究では,顔以外の記憶材料(雲,指紋)を用いて,符号化時に全体的,非分析的な側面と部分的,分析的な側面のいずれかに対する処理を,Navon図形を用いた課題によって促し,言語記述の効果を検討することで,モデルの仮定を検討した。モデルの仮定を支持するデータが得られたが,データ数が十分とはいえず,さらにデータを収集し,より確かな結論を得るべく,継続の研究を行っている。