著者
山下 匡将 早川 明 伊藤 優子 杉山 克己 志水 幸 武田 加代子
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.171-185, 2017-03-31

〔目的〕レジデンシャル・ソーシャルワーク・インディケーターのうち「利用者満足度」の導入が,ワーカーにもたらす影響について検討する。〔方法〕ワーカー2名に,約2か月間にわたって「利用者満足度」を記録してもらい,半構造化面接および質的内容分析の手法を用いて,「語りのヴァリエーション」,「定義」,「概念」,「カテゴリー」をコーディングした。〔結果〕111の語りのヴァリエーション,8つの概念,【インディケーターとの出会い】および【インディケーターへの葛藤と適応】ならびに【インディケーターがもたらした変化】の3つのカテゴリーが構成された。〔考察〕表情や身体状況とは相対的に独立した何らかの利用者満足度を意識的に考える機会を設けることで,ワーカーは意図的・積極的に入居者を気に掛けるようになり,"ケアワーカーとは異なる視点"をより明確にしていく傾向が看取された。
著者
小野澤 正喜 小池 庸生 周東 聡子 泉水 清志 三浦 哲也 伊藤 優子 櫻田 涼子 幸田 麻里子 金子 義隆 藤原 愛 大島 宗哲
出版者
育英短期大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

グローバル化の中で外国人との接触が増え、日本人の異文化に関する意識に大きな変容が生じている。異文化との共生の中、群馬県の青年層が異文化をどのように捉え価値観を見いだしているのか調査を行った。調査では、地域のコミュニティよりも学校生活における友人関係が、異文化に対し強く影響を与えている傾向が見られた。
著者
井出 政芳 山本 玲子 宇野 智江 鈴木 祥子 伊藤 優子 早川 富博 加藤 憲 天野 寛 宮治 眞
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.726-744, 2014 (Released:2014-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

過疎の進行する中山間地に住まう高齢者の<この場所>に係わる愛着を評価するために, 質問票による調査を行なった。質問票は, 高齢者の主観的幸福感測定のために汎用される古谷野による生活満足度尺度K (9項目)と, 今回独自に作成したトポフィリア (場所愛) に係わる質問項目 (6項目) の計15項目から成る。僻地巡回検診において, 調査主旨を説明し了解を得た有効回答者120名 (平均年齢: 74.5±9.5歳) の回答について因子分析を行ない以下の結果を得た。 ①居住地別愛着度得点には有意差を認めなかったが, 居住地別生活満足度得点には有意差を認めた (p<0.001; ANOVA)。一方, 年齢と生活満足度との間には有意な相関を認めなかったが, 年齢と愛着度得点との間には有意な正の相関を認めた (r=0.234, p<0.01)。生活満足度, すなわち主観的幸福感は年齢によらず居住地の影響を受けるが,逆に場所への愛着度は居住地によらず年齢の影響を受けることが示唆された。 ②トポフィリアに係わる質問6項目の因子分析により, 2因子が抽出された。一つの因子は<この場所>から離れたくないパブリックな感情を, もう一つの因子は<この場所>が好きとは言えないプライベートな感情を意味している, と解釈できた。 ③ (a) 生活満足度尺度, (b) トポフィリア, および (c) 「<この場所>を離れて仕事をしたいと思ったことがあるかどうか」の質問の三つ組を指標として, 居住地別に対象者の心情を評価すると, 主観的幸福感 (a) も, <この場所>に対する愛着度 (b, c) も, ともに低い地域が同定された。これらの地域は, 通院困難性の甚大な地域内に存在し, 通院介助・在宅介護・施設入所など高齢者の医療福祉に係わる対応において, 心情面についての配慮が特に必要であると考えられた。
著者
小林 政広 吉永 秀一郎 伊藤 優子 篠宮 佳樹 相澤 州平 岡本 透 釣田 竜也
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.333-373, 2018

茨城県城里町に位置する桂不動谷津流域における2001年から2014年の降水および渓流水の主要溶存成分濃度および流入量についてまとめ、各年の平均値の変化傾向を解析した。降水中の非海塩性硫酸イオンおよび無機態窒素イオンの流入量はともに変動しながら減少する傾向が認められた。渓流水中の硫酸イオン濃度は2011年までほぼ一定であったが2012年および2013年の間伐施業時に上昇した。硝酸イオンは間伐前減少傾向にあったが間伐以降上昇に転じた。間伐時の濃度上昇はカリウムイオンおよびカルシウムイオンでも認められた。ケイ素濃度は年平均値の変動が小さく、緩やかに上昇する傾向が認められた。
著者
岡本 透 伊藤 優子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

2014年9月27日に長野県と岐阜県境に位置する御嶽山山頂の西〜南西斜面の地獄谷谷頭部で水蒸気噴火が発生した。その後、噴火活動は低下したものの、噴煙の発生は現在も継続している。降水および渓流水の水質に対する御嶽山の噴火の影響を把握するため、降水を週一回、渓流水を月一回程度の頻度で採水し、水質のモニタリングを行っている。火口の南東に位置する降水採水地点では、冬の季節風が強まると火山ガスの影響と見られるpHの低下、塩化物・硫酸イオン濃度の上昇が生じた。噴火と同時に噴出した火口噴出型泥流に起因する土石流が発生した長野県王滝村濁沢川では、土石流の発生直後から渓流水水質に著しいpHの低下とECの上昇が生じた。その後、積雪期にはpHが上昇し、ECが低下して安定したが、融雪期以降は増水時にpHが低下した。一方、火山灰降灰域である火口の東側では、2015年の梅雨期以降増水時に著しくpHが低下する渓流が認められるようになった。これらのことは、御嶽山周辺の流域における火山噴出物の渓流への流入は、積雪に覆われている状況では抑制され、積雪に覆われていない状況では降雨によって促進されることを示していると考えられる。
著者
伊藤 優子 三浦 覚 加藤 正樹 吉永 秀一郎
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.275-278, 2004-08-16
被引用文献数
12

関東(一部東北を含む)・中部地方の1都12県において80地域,270地点の森林流域における渓流水のNO_3^-濃度を測定した。これらの調査地点におけるNO_3^-濃度は0.00〜8.45mg L^<-1>の範囲で,中央値は1.06mg L^<-1>であった。渓流水中のNO_3^-濃度は,関東平野周辺部において濃度の高い地点が分布する地理的な偏りが認められた。このような分布傾向は,従来から関東地方のいくつかの小流域でNO_3^-濃度が高いことが指摘されていることと調和的である。また,関東平野周辺部以外の愛知県でも局所的にNO_3^-濃度の高い地点が認められた。これらの地点は幹線道路や都市域周辺近傍に位置する。これらの結果から気候要因,地形的要因などの非人為的要因に加えて,大都市圏から排出される汚染大気の移流による森林流域への窒素の高負荷という人為的要因により,森林からのNO_3^-流出が増大していると考えられる。
著者
MINH DUC Nguyen THOI NHAM Nguyen 笠井 良次 伊藤 優子 山崎 和男 田中 治
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.2010-2014, 1993-11-15
被引用文献数
6

From rhizomes and roots of Panax vietnamensis HA et GRUSHV., Araliaceae, commonly known as Vietnamese Ginseng, two new acetylated saponins named vina-ginsenoside-R1 (13) and vina-ginsenoside-R2 (15) were isolated. On the basis of chemical and spectral data, 13 was formulated as monoacetyl 24(S)-pseudo-ginsenoside-F_<11> and 15 was proved to be monoacetyl majonoside-R2.Besides the two new saponins and β-sitosteryl-3-O-β-D-glucopyranoside, sixteen known saponins were also isolated and identified. Dammarane saponins : ginsenoside-Rh_1 and 20(R)-ginsenoside-Rh_1 (1), ginsenosides-Rg_1 (2), -Re (3), -Rd(6), -Rb_3 (7), -Rb_2 (8), -Rb_1 (9), pseudo-ginsenoside-RS_1 (=monoacetyl ginsenoside-Re, 4), notoginsenosides-R1 (5) and -Fa (10). Ocotillol-type saponins : pseudo-ginsenoside-RT_4 (11), 24(S)-pseudo-ginsenoside-F_<11> (12), majonosides-R1 (16) and -R2 (14). Oleanolic acid saponins : ginsenoside-Ro (=chikusetsusaponin V, 17) and hemsloside-Ma3 (18), a saponin previously isolated from a cucurbitaceous plant, Hemsleya macrosperma C. Y. WU.Despite having large horizontally elongated rhizomes, the underground part of this plant contains mainly dammarane saponins and a small amount of oleanolic acid saponins. In addition, the yield of ocotillol-type saponins, especially majonoside-R2,is surprisingly very high (more than 5% and ca. half of the total yield of saponin). This characteristic saponin composition has made Vietnamese Ginseng an interesting species among Panax spp.