著者
松井 文 佐久間 美江 筒口 由美子
出版者
富山大学
雑誌
富山医科薬科大学看護学会誌 (ISSN:13441434)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.127-135, 2002-04

本研究では, 富山県の自殺率急上昇の要因を明らかにすることを目的とし, どのような自殺予防対策が効果的であるかを考察した.対象は富山県の自殺率を引き上げていると思われる中高年男性に絞り, 中高年男性の持つ特性, 社会情勢, 富山県の県民性の3つの側面から, 既存の研究報告を参考にして分析した.その結果, 富山県の中高年男性は既存のうつ病の病前性格には当てはまらないが, 職場主義・実力主義などの近年の不況では苦しい精神状態に立たされやすい県民性を持つことがわかった.それが, 危機に陥りやすい中高年期の特性とあいまって, うつ病を発症しやすく, そのため, 自殺に至りやすいということがわかった.よって, 富山県の中高年男性に対する自殺予防対策としては, 職場での精神保健対策を充実させることが効果的であることが示唆された.