著者
福生 吉裕 佐藤 朋子
出版者
日本未病システム学会
雑誌
日本未病システム学会雑誌 (ISSN:13475541)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.105-109, 1999-08-31 (Released:2010-09-09)
参考文献数
9

目的: 喫煙によるレプチンへの影響について検討を加えた。対象: 1日20本以上2年以上の喫煙歴を有する者と非喫煙者でBMI, 体脂肪率, 各種血清脂質, 血清レプチン濃度を測定した。結果: 喫煙群 (T) (n=96) と非喫煙群 (C) (n=395) 間のBMIに有意差はなかった。このBMIの一致した両集団で体脂肪率を検討すると, C群は27.6±8.2%, T群では24.0±6.7%と喫煙群で有意の減少を示した。体脂肪率へ影響を及ぼす各種パラメーターをC群で重回帰分析で求めると, レプチンが最も強い相関を示した。しかし喫煙群では非喫煙群よりこの相関は低下を示した。レプチン濃度はT群では4.5±2.9ng/mL, C群では7.1±4.8ng/mLで喫煙群で有意に低下していた。脂肪細胞よりレプチンが産生されることより [レプチン/体脂肪率] を検討すると, 喫煙群では体脂肪からのレプチン産生が有意に減少していた。結論: 長期喫煙により体脂肪率は減少することがBMIの一致した集団で判明した。またレプチン濃度も喫煙で低下することより, [レプチン/体脂肪率] を検討すると喫煙群で有意の低下がみられた。このことは喫煙は脂肪細胞からのレプチン産生を抑制すると示唆された。同一BMIにもかかわらず喫煙群で低レプチンであることはレプチンの感受性が増していると示唆された。
著者
佐藤 朋子
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は、精神分析の創始者フロイトによる生物学の知見の援用や生物学からの語の借用に注目し、彼独自の心理学的言説、なかでも情動の問題の錬成におけるそれらの意義を検討し、その一部を明らかにした。とくに痛み、喪、不安などの不快な情動について後期の彼が行った身体的次元の問いの提起がトラウマをめぐる思索の深化を伴っていることを明確にした。また二〇世紀ヨーロッパ思想史の観点から彼の情動概念の重要性を指摘した。