著者
保田 時男
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.85-98, 2012 (Released:2013-03-18)
参考文献数
26
被引用文献数
2

本稿では,社会学者によるパネルデータの収集と管理に関して,日本の調査環境が直面するいくつかの方法論的な課題を提示し,その理想像について考察する.パネルデータの収集については,3つの論点を示した.第1に,パネル調査においても回顧法の視点が必要なことを主張した.第2に,カレンダー面接が正確な記憶の取り出しに役立つことを説明した.第3に,computer assisted interview(CAI)が多方面に有効性を発揮することを示した.次に,パネルデータの管理に関する2つの論点について議論した.第1に,データクリーニングの問題を取り上げ,Fellegi and Houtの原則に沿った手続きの重要性を主張した.第2に,分析者にとってユーザビリティの高いデータを構築することまでが,調査設計者の役割であることを訴えた.最後に,これらの論点の中で,CAIの導入がもっとも重要で,パネルデータの理想的な収集・管理を議論するための要石であることを訴えた.
著者
保田 時男 宍戸 邦章 岩井 紀子
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_129-2_136, 2008-11-30 (Released:2009-01-05)
参考文献数
9
被引用文献数
2

日本の社会調査の回収率は2005年以降に急落している。大規模調査の回収率を短期的に改善するためには、調査員の行動の適切な把握が不可欠である。本稿では、そのための手段として訪問記録の活用を提案する。すべての訪問について、その日時と、訪問時に接触できた人を記録しておけば、調査員の行動とその結果を概括することができる。JGSS-2005~2006における訪問記録の分析結果は、その有効性を如実に表している。訪問記録から、JGSS-2006における回収率の改善は、調査対象者の協力的な反応と調査員の粘り強い訪問によってもたらされたことがわかった。また、若年女性の回収率が改善していない原因が、集合住宅の居住者の増加による接触成功率の低下にあることや、調査対象者の家族については協力的態度が喚起されていないことなどが明らかになった。大規模調査の回収率を改善するには、このような事例研究の積み重ねが重要である。
著者
保田 時男
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.89-95, 2011-04-30

NFRJ-08 Panel (全国家族調査パネルスタディ ; National Family Research of Japan, 2008-2012 Panel Study)は,学会員の有志によって進められているパネル調査プロジェクトである.この調査はNFRJ08(第3回全国家族調査)の回答者のうち継続調査への協力を応諾してくれた者を対象としており(最終的に1879名),2009年1月のNFRJ08を第一波として,1年ごとに2013年1月の第5波までの実施を予定している.本レポートでは,NFRJ-08Panelの(とくに第2波の)調査票をどのような意図と手続きで設計したかを順に説明する.調査票の設計においては,クリーニングの方法も一つの大きなポイントとなったので,第5節ではクリーニングの手続きについても簡単に説明する.このような裏方の手続きは公になりにくいが,実際的に調査研究を行う際には重要なプロセスである.学会で共同利用されるデータの収集過程を周知するとともに,類似の調査プロジェクトの参考資料となることを企図している.
著者
保田 時男
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.89-95, 2011-04-30

NFRJ-08 Panel (全国家族調査パネルスタディ ; National Family Research of Japan, 2008-2012 Panel Study)は,学会員の有志によって進められているパネル調査プロジェクトである.この調査はNFRJ08(第3回全国家族調査)の回答者のうち継続調査への協力を応諾してくれた者を対象としており(最終的に1879名),2009年1月のNFRJ08を第一波として,1年ごとに2013年1月の第5波までの実施を予定している.本レポートでは,NFRJ-08Panelの(とくに第2波の)調査票をどのような意図と手続きで設計したかを順に説明する.調査票の設計においては,クリーニングの方法も一つの大きなポイントとなったので,第5節ではクリーニングの手続きについても簡単に説明する.このような裏方の手続きは公になりにくいが,実際的に調査研究を行う際には重要なプロセスである.学会で共同利用されるデータの収集過程を周知するとともに,類似の調査プロジェクトの参考資料となることを企図している.
著者
稲葉 昭英 石原 邦雄 嶋崎 尚子 渡辺 秀樹 永井 暁子 西野 理子 石原 邦雄 嶋崎 尚子 渡辺 秀樹 田中 重人 藤見 純子 永井 暁子 西村 純子 神原 文子 保田 時男 澤口 恵一 福田 亘孝 田渕 六郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、1999年と2004年に行われた全国家族調査に引き続く第3回調査(NFRJ08)を計画・実施し、公共利用データを作り上げることを目的とする。2008年11月~12月に、日本の全国(島嶼部を除く)に居住する28歳から72歳までの男女を対象に9,400人を層化二段無作為抽出によって抽出、2009年1月~2月に訪問留め置き法に実査を行い、5,203名から回収票を得た(回収率55.4%)。