著者
宮田 昌伸 水永 光博 佐賀 祐司 谷口 成美 金子 茂男 八竹 直
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.1071-1078, 1990-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

正常成人女性36名の58回の排尿について, Uroflow Diagnostic Interpretation (UDI) の排尿パラメーターと排尿量の関係を解析した. 最大尿流量率 (Qmax) と排尿量の中央90%に対する平均尿流量率 (QM90) は, 排尿量400mlまでは直線的に増加した. 排尿時間 (T100) は100~400mlの排尿量ではこれに依存せず一定範囲の値をとり, 全体でも21秒を越えるものはなかった. 排尿量の中央90%に要する排尿時間 (T90), 最大尿流到達時間 (TQmax), Qmax から排尿量の95%までの所要時間 (Tdesc) は排尿量に依存しなかった. 尿流量率の最大増加率 (dQ/dT max) と膀胱容量が40mlに達した時点の計算上の膀胱壁収縮速度 (dL/dT40) は排尿量に依存して増加する傾向が見られた. 20名の神経因性膀胱患者の25回の排尿のうち84.0%, 21名の慢性膀胱炎患者の27回排尿のうち66.7%にT100の延長が見られ, これらはすべてT90の延長を伴っていた. 他のパラメーターでは正常女性と患者間の差もしくは患者群間の差が明らかではなかった. 排尿時間は女性排尿のパラメーターとして有用である.
著者
金子 茂男 水永 光博 宮田 昌伸 八竹 直 栗田 孝 Bradley William E.
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.81, no.12, pp.1889-1895, 1990
被引用文献数
6

勃起不全の精査のために受診した105名の患者について基礎疾患と Rigiscan による夜間陰茎硬度腫脹連続測定所見との関係について検討した. 夜間陰茎硬度腫脹連続測定所見 (以後 Rigiscan パターン) を正常, 硬度不均一, 硬度腫脹不一致, (硬度持続) 短時間, 低硬度, 平低の6型に分類した. 患者の基礎疾患は基礎疾患なし11名, 中枢神経系疾患15名, 循環器系疾患29名, 糖尿病35名 (インスリン依存14名, 非依存21名), アルコール依存5名, 悪性腫瘍7名, Peyronie 病3名であった. 基礎疾患なし群では Rigiscan パターン正常64%であり, 心因性勃起不全と考えられる症例が過半数を占めた. 循環器系疾患群では低硬度型41%, 平低型35%と硬度・腫脹が低下した症例が多いのにたいし, 中枢神経系疾患群では短時間型が60%と最も多く, 低硬度型47%, 平低型7名であり, 両者間に Rigiscan パターンの違いを認めた. 糖尿病群ではインスリン非依存患者がさまざまな Rigiscan パターンをとるのにたいし, インスリン依存患者では低硬度型, 平低型が多かった. 夜間陰茎硬度腹脹連続測定法はそのパターンの解析と他の検査結果との総合的な判定により, 器質性勃起不全と心因性勃起不全の鑑別診断のみならず器質性勃起不全の原因疾患の診断にも役立つことが期待される.
著者
金子 茂男 八竹 直 宮田 昌伸 水永 光博 渡部 嘉彦 谷口 成美 井内 裕満 松田 久雄 栗田 孝
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.955-960, 1991-06-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
21
被引用文献数
1 3

陰茎硬度周径連続測定法を本邦において臨床応用するにあたり, 正常人における夜間陰茎勃起現象の解析とその安全性について検討した.本邦正常成人16名 (年齢24~44歳, 平均31.1歳) を対象とし, 陰茎硬度周径連続測定にはRigiScan™を用いた. 測定部位は環状溝から約5mm陰茎根部寄り (遠位側) と根部 (近位側) の2箇所である. 陰茎の平均最小周径は遠位側で62.7mm, 近位側で65.4mmであり, 勃起時の平均最大周径は遠位側で102.5mm, 近位側で108.6mmであった. 周径が10mm以上のびたときを勃起とすると約1時間20分に1回の頻度で勃起が生じており, この勃起の平均持続時間は遠位側で23.0分, 近位側で38.3分であった. 10分以上持続した硬度の最大値は遠位側で82.9%, 近位側で85.4%であった. 1例に測定部位の一部に発赤を認めたが処置を必要とするような副作用はなかった. RigiScanによる陰茎硬度周径連続測定は簡便, 安全かつ客観的に夜間陰茎勃起現象をとらえることができ, 今後勃起不全の診断, 治療効果の判定に役立つものとおもわれる.
著者
金子 茂男 水永 光博 宮田 昌伸 八竹 直 松田 久雄 杉山 高秀 朴 英哲 栗田 孝
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.1361-1366, 1991-11

正常成人の夜間の陰茎勃起現象は,1時間20~25分ごとに約20~40分間生じている.勃起時の陰茎の周径は約4 cm太くなり,硬さは約85%(RigiScanの硬度指標)であった.夜間陰茎硬度・周径連続測定方法によりインポテンスの診断,とくに器質性,機能性勃起不全の鑑別は信頼度の高いものになると思われる
著者
岡村 廉晴 徳中 荘平 八竹 直
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.1487-1493, 1991-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
13
被引用文献数
3 4

ヒト外尿道括約筋 (n=13) をATP-ase染色を用い組織化学的に検討した. 構成している筋線維型の割合 (遅筋型筋線維: 35.6~97.7%, 平成65.7%, 標準偏差16.6) には個体差があり, その比率と性別や年齢との間に一定の傾向を認めなかった.13例の平均筋線維径は, t検定上有意 (p<0.05) に, 遅筋型筋線維 (15.7~30.3um, 平均22.3μm) よりも速筋型筋線維 (19.2~42.4um, 平均27.8um) の方が太かった. 個々の症例毎に見た場合, 全男性10例は, 速筋線維の方が遅筋線維よりも有意に太い結果であった. 女性3例は, 両筋線維型の太さに有意差のない2例と, 男性症例とは逆に遅筋線維の方が, 速筋線維よりも有意に太い1例であった.構成している筋線維型の比率と太さとの間に一定の傾向を認めなっかた. 今回の検討から, ヒト外尿道括約筋には, 著しい個体差が存在する結果となった. また, 女性は少なく即断できないが, 性差の存在する可能性が考えられた.
著者
国方 聖司 加藤 良成 永井 信夫 八竹 直
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.p861-865, 1982-07

Seventy-two patients suffering from urethral stricture were treated at our clinic between May 1975 and December 1980. The clinical findings are reported. The common causes of the urethral stricture were trauma and infections, but iatrogenic (postoperative) cases have recently increased. Optical urethrotomy provided greater dilatation of the urethral stricture than the internal urethrotomy done using a Meisonneuve internal urethrotome. Optical urethrotomy is recommended for the treatment of urethral strictures because of the high success rate and safety.
著者
郡 健二郎 高田 昌彦 加藤 良成 片岡 喜代徳 井口 正典 栗田 孝 八竹 直
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.31, no.12, pp.2149-2159, 1985-12
被引用文献数
1

副甲状腺ホルモン(以下PTH)にも上位ホルモンが存在しないものかと考え,Ca代謝となんらかの関連性があり,かつ代表的な上位ホルモンである副腎皮質ホルモン(ACTH)を原発性副甲状腺機能亢進症など4群の疾患に投与したところ,興味ある結果を得たので,in vitroやラットを用いて実験を行った.対象は,副甲状腺摘除術を施行した原発性副甲状腺機能亢進症17例,Ca含有上部尿路結石患者7例,血清Ca値が11 mg/dl以上の高Ca血症を伴う悪性腫瘍患者7例と,正常対照群6例である.ACTH投与後の血清Caは,原発性副甲状腺機能亢進症では有意の上昇をみたが,他の群では変化がなかった.血清Caの上昇の割合はACTH投与前の血清Ca値と正の相関があり,投与前の血清ALP値と負の相関があった.ACTH投与前後のコルチゾール値やACTH値は4群間に差異がなかった.副甲状腺機能亢進症ではACTHの投与後,PTHが上昇傾向にあったが血清P,尿中Ca, Pは変化がなかった.摘除副甲状腺腺腫の培養液にACTHを添加したところ,PTH濃度は上昇傾向にあった.副甲状腺摘除ラットではACTH投与後血清Caは有意に低下し,副腎摘除ラットでは血清Caは有意に上昇した.以上からACTHにはコルチゾールを介すると思われる血清Ca低下作用の他に2つの機序による血清Ca上昇作用があることが考えられる.1つはACTHが直接刺激し,PTHの分泌による機序で,あと1つは骨に存在するPTHレセプターのうち,不活性レセプターに存在するPTHが,PTHと競合作用を持つACTHにより活性レセプターに移行するため骨吸収が生じる機序が文献的に推察された.ACTH投与にても高Ca血症を伴う悪性腫瘍患者では血清Caの上昇がみられなかったことから,高Ca血症の鑑別診断に役立つものと思われたParathyroid hormone (PTH) is strongly concerned with the pathogenesis of urinary stones. PTH is mainly regulated by the serum calcium concentration and not by other hormones, as is usually the case. We studied whether PTH is also regulated by adrenocorticotrophic hormone (ACTH) or not. ACTH (0.25 mg) was injected intravenously to 17 patients with primary hyperparathyroidism PHP, 7 patients with urolithiasis, 7 patients with malignant hypercalcemia, and 6 control subjects. Serum calcium was significantly increased in only PHP. The serum calcium increase rate showed a significant positive correlation with serum alkaline phosphatase, and a negative correlation with the preinjected serum calcium. PTH was slightly increased in all four groups. Serum cortisol and ACTH concentrations were not significantly different among the groups. PTH concentration in a culture medium of parathyroid tissues increased after ACTH addition. Serum calcium was significantly increased after ACTH injection in an adrenalectomized rat, and decreased in a parathyroidectomized rat. From our data and those of others, it appears that ACTH acts on the adrenal glands to decrease the serum calcium concentration, and might act directly on the parathyroid gland or bones to increase it.
著者
井口 正典 辻橋 宏典 永井 信夫 片岡 喜代徳 加藤 良成 郡 健二郎 栗田 孝 八竹 直
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.293-302, 1985
被引用文献数
1

食事が尿中排泄物質 (とくに蓚酸) に及ばす影響について検討した.<br>1) 健康成人男子9名に16時間の絶食の後普通食を与えると, Ca排泄量は食後2~4時間目にピークをしめし, 蓚酸は食後4~6時間目にはじめて有意に増加した. 食事負荷による食後6時間の増加分は, Ca 38.4%, 蓚酸11.8%, 尿酸7.1%, Mg 27.8%で, 普通食が尿中蓚酸排泄量に及ぼす影響はCaに比べてはるかに少なかった.<br>2) 健康成人男子11名に一定の朝食と, 昼食として標準食, 高蓚酸食 (標準食+ホウレンソウの油イタメ150g), 高蓚酸高蛋白食を負荷した. 高蓚酸食負荷により蓚酸排泄量は標準食の約2倍増加したが, 逆にCa, Mg排泄量は標準食の約半分に減少した. 高蓚酸高蛋白質食を負荷すると, 高蓚酸食負荷時に比べてCa排泄量は有意に増加し, 逆に蓚酸排泄量は有意に減少した.<br>3) 上記と同じ高蓚酸高蛋白食を absorptive hypercalciuria と診断した男子結石患者13名に負荷したところ, Ca排泄量は対照群より著明に増加していたが, 蓚酸排泄量には差がなかった.<br>以上の結果ならびに既報の結石患者の食生活調査成績 (日本栄養・食糧学会誌37:1~7, 1984) をもとに, 再発予防法としての食事指導の実際について具体的に述べた.
著者
金子 茂男 八竹 直 宮田 昌伸 水永 光博 渡部 嘉彦 谷口 成美 井内 裕満 松田 久雄 栗田 孝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.955-960, 1991-06-20
被引用文献数
5 3

陰茎硬度周径連続測定法を本邦において臨床応用するにあたり,正常人における夜間陰茎勃起現象の解析とその安全性について検討した.本邦正常成人16名(年齢24〜44歳,平均31.1歳)を対象とし,陰茎硬度周径連続測定にはRigiScan^<TM>を用いた.測定部位は環状溝から約5mm陰茎根部寄り(遠位側)と根部(近位側)の2箇所である.陰茎の平均最小周径は遠位側で62.7mm,近位側で65.4mmであり,勃起時の平均最大周径は遠位側で102.5mm,近位側で108.6mmであった.周径が10mm以上のびたときを勃起とすると約1時間20分に1回の頻度で勃起が生じており,この勃起の平均持続時間は遠位側で23.0分,近位側で38.3分であった.10分以上持続した硬度の最大値は遠位側で82.9%,近位側で85.4%であった.1例に測定部位の一部に発赤を認めたが処置を必要とするような副作用はなかった.RigiScanによる陰茎硬度周径連続測定は簡便,安全かつ客観的に夜間陰茎勃起現象をとらえることができ,今後勃起不全の診断,治療効果の判定 に役立つものとおもわれる.