著者
兼平 孝
巻号頁・発行日
2014-10-19

食事はどうして楽しいの?(Why is having meal so joyful? ). 北海道大学歯学部講堂. 2014年10月19日(日) 9:30-12:30.
著者
児玉 高有 阿部 貴恵 兼平 孝 森田 学 舩橋 誠
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.52-61, 2010-12-15

近年,唾液中のアミラーゼ,コルチゾール,クロモグラニンAをストレスマーカーとして用いることが注目されている.しかし,これらの物質の経時的動態変化については不明な点が多い.そこで生体への刺激に対する唾液中のストレスマーカーの変動を定量し,その動態について調べた.さらに,これを歯科治療の術中や予後の評価に応用出来るかどうかについて検討を行った.外科的,内科的疾患のない成人男性61名から任意の時期に唾液採取管を用いて唾液を採取した.これらの被験者は,1)前腕肘部の静脈から真空採血管と注射針を用いて採血を行った者(30名),2)抜歯を施術した者(5名),3)抜歯を伴わない一般的な歯科治療のみを施術した者(26名)がいた.各被験者群において,採血前後および施術前後の唾液中のアミラーゼ,コルチゾール,クロモグラニンAの変動比の経時変化を分析した.アミラーゼとクロモグラニンAは採血前の時点においてすでに有意な増加を示し,心理的ストレスに対して反応することが示唆された.被験者は採血前の基準日におけるストレスマーカー量について高濃度群と低濃度群に大別された.このうち高濃度群は低濃度群と比べて,すべての上記ストレスマーカーの変動が少なく,ストレス応答系の活動が高まりにくい可能性が示唆された.歯科治療を行った場合,アミラーゼとコルチゾール濃度は初診時に比べ再診時には有意な低下を認め,また抜歯による有意な増加が観察された.これらの結果は,初診時の不安や恐怖が再診時には緩和されることによりストレスが減少したことを示し,一方,抜歯は強いストレスとして作用したことを示していると考えられた.本研究により唾液中のアミラーゼ,コルチゾール,クロモグラニンAは採血によるストレスに対してそれぞれ反応速度が異なり,さらにその変化率はもともとの唾液中ストレスマーカー量が多いか少ないかによって異なることが明らかとなった.また,これらのストレスマーカーは歯科治療の内容や受診回数によって動態が変化し,歯科治療の術中や予後の評価に応用出来ることが示された.
著者
葭内 朗裕 兼平 孝 栗田 啓子 竹原 順次 高橋 大郎 本多 丘人 秋野 憲一 相田 潤 森田 学
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.12-24, 2011-09-15

本研究は,北海道国民健康保険団体連合会(以下,"北海道国保連合会"と略)から提供を受けた平成19年5月のレセプトデータに基づき,北海道内の国民健康保険被保険者のうち,満70歳以上で歯科医療機関を含む医療機関を受診した者を対象に,現在歯数,欠損補綴状況,歯周病罹患状況と被保険者1人あたりの医科診療費との関連およびレセプト1件あたりの医科診療費から現在歯数と生活習慣病の罹患状況との関連について調べたものである.その結果,平均医科診療費は,1)現在歯が20歯未満の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べ,1. 2~1. 3倍,中でも現在歯数が0~4歯の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べ,1.4~1.6倍と有意に高いこと,2)歯の欠損部の補綴処置を受けていない高齢者は,受けている高齢者に比べ,1.1倍程度と統計学的に有意ではないがやや高い傾向にあること,3)重度の歯周病を有する高齢者は,歯周病がない,あるいは軽度の高齢者に比べ,統計学的に有意ではないが,1.1~1.3倍程度とやや高い傾向にあること,などが明らかとなった.また,生活習慣病による平均医科診療費(レセプト1件あたり)は,1)現在歯が20歯未満の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べて1.1~1.3倍,中でも現在歯数がO~4歯の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べて1.2~1.7倍と有意に高かった. 2)悪性腫瘍,糖尿病,高血圧性疾患,虚血性心疾患,脳血管障害では,現在歯が20歯未満の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べるとそれぞれ1.1~1.4倍,中でも現在歯数が0~4歯の高齢者は,20歯以上の高齢者に比べ,1.4~1.7倍といずれも有意に高かった.
著者
岡田 和隆 柏崎 晴彦 古名 丈人 松下 貴惠 山田 弘子 兼平 孝 更田 恵理子 中澤 誠多朗 村田 あゆみ 井上 農夫男
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.61-68, 2012-10-15 (Released:2012-10-19)
参考文献数
31
被引用文献数
2

サルコペニア(筋肉減少症)は 80 歳以上の高齢者の約半数にみられる加齢変化であり,顎口腔領域にも現れるといわれている。本研究ではサルコペニア予防プログラムに参加した自立高齢者を対象とし,介入前調査として栄養状態と口腔内状態および口腔機能との関連を明らかにすることを目的とした。自立高齢者 62 名(69〜92 歳,男性 27 名,女性 35 名)を対象者とした。口腔内状況と口腔機能に関する聞き取り調査は事前に質問票を配布して行い,口腔内診査と口腔機能評価は歯科医師が行った。聞き取り調査質問項目,口腔内診査項目,口腔機能評価項目と血清アルブミン値(Alb)との関連を検討した。Alb は 4.3±0.3 g/dl であり,対象者の栄養状態は良好であった。口腔機能に関する2つの質問項目,主観的口腔健康観,下顎義歯使用の有無において Alb に有意差が認められた。残根を除く現在歯数,現在歯による咬合支持数およびオーラルディアドコキネシス(ODK)の/ka/の音節交互反復運動において,Alb と有意な関連が認められたが弱い相関関係であった。義歯満足度,口腔清掃状態,上顎義歯使用の有無,口唇閉鎖力,RSST,ODK の/pa/および/ta/,口腔粘膜保湿度,唾液湿潤度では関連は認められなかった。自立高齢者では現在歯数,咬合支持,義歯の使用の有無,口腔の健康や機能に対する自己評価が良好な栄養状態と関連する可能性が示唆された。