著者
内田 慎一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.754-761, 2011-10-05 (Released:2019-06-14)
参考文献数
54

1986年の高温超伝導体の出現は物性物理学の眺望を一変させてしまった.それ以前の超伝導研究を振り返るとともに,高温超伝導が促した分光手法の飛躍的な発展により明らかになった特異な常伝導,超伝導状態など実験の進展を述べる.研究が進むとともに新たな謎も生まれメカニズムの解明を阻んでいる.ドープされたモット絶縁体から生まれる超伝導は,基本的にはd波クーパー対のBCS理論の枠組みで理解されるが,従来の超伝導研究では意識することのなかった競合相との共存,巨大なゆらぎ等が物性に大きく関わっていることがわかってきた.
著者
ウィロックス ラルフ 河村 彰星 内田 慎一 山本 智 沖野 友哉 黒田 真也
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.15-17, 2011-07

「可積分系」/「PとNP」/「臨界温度と秩序パラメータ」/「星間分子雲」/「アト秒パルス」/「システム生物学」
著者
内田 慎一 藤森 淳 浦辺 徹郎 砂村 倫成 坪野 公夫 須藤 靖 三河内 岳 佐藤 哲爾 二宮 哲平
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース (ISSN:21873070)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.5-9, 2013-03

退職にあたって/内田慎一先生を送る/定年の今送る「手紙~拝啓十五の君へ~」/浦辺徹郎先生を送る/時代はまわる/坪野公夫先生を送る/宮本正道先生を送る/前へ!/定年後の8万時間
著者
内田 慎一 永長 直人
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.182-186, 2003-03-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
26

銅酸化物の高温超伝導体にはフォノンが関与せず,電子間の強い相互作用が主役であると信じられてきた.最近,高温超伝導体中の電子が,明らかにフォノンと強く相互作用しているという光電子分光の実験結果がNature誌(2001年8月)に発表された.また,MgB2やC60での高温超伝導の報告は,フォノンの役割が決して無視できないことを示唆している.銅酸化物において,フォノンが無視されてきた経緯,フォノンがかかわっていると考えられる実験事実,そして,強い電子相関の下で,電子-格子相互作用をどのように考えればよいかについて述べる.
著者
内田 慎一 藤森 淳 浦辺 徹郎 砂村 倫成 坪野 公夫 須藤 靖 三河内 岳 佐藤 哲爾 二宮 哲平
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース (ISSN:21873070)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.5-9, 2013-03

退職にあたって/内田慎一先生を送る/定年の今送る「手紙~拝啓十五の君へ~」/浦辺徹郎先生を送る/時代はまわる/坪野公夫先生を送る/宮本正道先生を送る/前へ!/定年後の8万時間
著者
五神 真 宮野 健次郎 十倉 好紀 永長 直人 宮野 健次郎 宮下 精二 鹿野田 一司 内田 慎一 内野倉 国光 花村 栄一
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究(COE)
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的は、固体中の電子が、そのスピンと電荷さらに格子系の自由度を通じて互いに強い相関を保ちながら運動することによって生じる多彩な物質相に注目し、その多体量子系としての物理学と外場や光による相の制御を利用した新しいエレクトロニクスを開拓することであった。遷移金属酸化物、有機系固体、半導体など幅広い物質系を対象とし、物質開発、物性測定、レーザー分光、X線光学さらに理論を互いに連携させながら研究を推進した。その結果、従来の物性物理学研究では伝導や磁性といった低エネルギーの物性と光領域の高エネルギーの物性が同じ土俵の上で議論される機会はなかったが、この両者の融合を図ることで、独自の研究領域を世界に先駆けて創始することができた。これにより、従来の一体問題の発想では捉えられない新規の現象を次々に発見し、それをきっかけとして、強相関電子系の磁気的性質、伝導、光学応答、非線形光学応答に関する知見とそれを記述する理論研究が格段に進歩した。本研究により、高品質の遷移金属酸化物結晶作製技術の確立、テラヘルツ領域から紫外線領域にわたる超高速分光技術の確立などの技術基盤整備をメンバーの強い連携のもとで進めた。これらを用いて、光誘起金属絶縁体転移の発見、金属絶縁体転移と超伝導機構の関連、軌道量子(オービトン)の発見、超高速光制御機能の発見などの成果を上げた。これらの成果は従来の半導体エレクトロニクスを超える次世代エレクトロニクスにつながる新しい工学を拓く成果であると言える。本研究によって、この東京大学の研究チームを世界的研究拠点としてアピールすることができた。この成果を踏まえ、国際研究拠点として本研究をさらに発展させるため平成13年4月に東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センターが発足した。