著者
冨澤 かな 木村 拓 成田 健太郎 永井 正勝 中村 覚 福島 幸宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.129-134, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

東京大学附属図書館U-PARL(アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門)は,本学所蔵資料から選定した漢籍・碑帖拓本の資料画像をFlickr上で公開している。資料のデジタル化とアーカイブ構築のあり方を模索した結果,限られたリソースでも実現と持続が可能な,小さい構成でありながら,広域的な学術基盤整備と断絶せず,高度な研究利用にも展開しうる,デジタルアーカイブの「裾野のモデル」を実現しうる方策として選択したものである。その経緯と現状及び今後の展望について,特に漢籍・碑帖拓本資料の統合メタデータ策定,CCライセンス表示,OmekaとIIIFを利用した研究環境構築の試みに焦点をあてて論ずる。
著者
冨澤 かな
出版者
人間文化研究機構地域研究推進事業「現代インド地域研究」
雑誌
現代インド研究 (ISSN:21859833)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.49-76, 2013-02

本稿は「インドのスピリチュアリティ」なる像の形成を問うものである。それは「オリエンタリズム」の典型とも見えるが、インドの側からも西洋への対抗上有効な語彙として用いられてきた。ヴィヴェーカーナンダの普遍宗教論にもこの語彙は大きな役割を果たしている。いわゆる「肯定的オリエンタリズム」の一種と思われるが、しかしその用例を見ていくと、必ずしもいわゆるオリエンタリズムの構図におさまらないことがわかる。オリエンタリズムの核は、差別や蔑視よりむしろ、西洋が東洋について語りその本質を規定するという不均衡な構図こそにある。しかし、19 世紀の「スピリチュアリティ」の用例には、西洋の規定に対する東洋の反応という構図におさまらないものが見て取れる。この語彙の現代的用法は東西が入り交じる関係の中から編み出され、そしてそこにはむしろ、オリエンタリズム的二元論を崩し止揚するような意義が求められていたと考えられるのである。This paper will examine the construction of the image of "the spirituality of India." This is quite a popular image and is seen as a typical example of Orientalism. It has certainly functioned as a counter image towards the hegemony of the rational and materialistic West. For example, Swami Vivekananda used this term in explaining his idea of universal religion and it seems a good example of so-called "Affirmative Orientalism." Examining the usages of this term in detail, however, we can see that it does not always fit the common scheme of Orientalism. The core of Orientalism is not the negative evaluation of the East, but the uneven scheme by which the West defines the East. Even Affirmative Orientalism can be seen as an inverted response to the active call from the West. However, in the use of the term "spirituality" around the 19th century, we cannot find a simple "call and response" between the West and the East. It seems that the modern use of this term was elaborated not by the initiative of the West, but by an intermingling between the West and the East, and that a significant function of that usage was to deconstruct the Orientalistic dichotomy itself.
著者
池澤 優 近藤 光博 藤原 聖子 島薗 進 市川 裕 矢野 秀武 川瀬 貴也 高橋 原 塩尻 和子 大久保 教宏 鈴木 健郎 鶴岡 賀雄 久保田 浩 林 淳 伊達 聖伸 奥山 倫明 江川 純一 星野 靖二 住家 正芳 井上 まどか 冨澤 かな
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、欧米において成立した近代的宗教概念とそれに基づく宗教研究が、世界各地、特に非欧米社会においてそのまま受容されたのか、それとも各地域独自の宗教伝統に基づく宗教概念と宗教研究が存在しているのかをサーヴェイし、従来宗教学の名で呼ばれてきた普遍的視座とは異なる形態の知が可能であるかどうかを考察した。対象国・地域は日本、中国、韓国、インド、東南アジア、中東イスラーム圏、イスラエル、北米、中南米、ヨーロッパである。

1 0 0 0 IR はじめに

著者
秋山 聰 冨澤 かな
出版者
東京大学グローバルCOEプログラム「死生学の展開と組織化」
雑誌
死生学研究 (ISSN:18826024)
巻号頁・発行日
no.12, pp.275(2)-276(1), 2009-10-31

公開・国際シンポジウム 死生と造形文化Ⅱ「礼拝像と奇跡 -東西比較の試み」
著者
冨澤 かな 木村 拓 成田 健太郎 永井 正勝 中村 覚 福島 幸宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.129-134, 2018

<p>東京大学附属図書館U-PARL(アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門)は,本学所蔵資料から選定した漢籍・碑帖拓本の資料画像をFlickr上で公開している。資料のデジタル化とアーカイブ構築のあり方を模索した結果,限られたリソースでも実現と持続が可能な,小さい構成でありながら,広域的な学術基盤整備と断絶せず,高度な研究利用にも展開しうる,デジタルアーカイブの「裾野のモデル」を実現しうる方策として選択したものである。その経緯と現状及び今後の展望について,特に漢籍・碑帖拓本資料の統合メタデータ策定,CCライセンス表示,OmekaとIIIFを利用した研究環境構築の試みに焦点をあてて論ずる。</p>
著者
冨澤 かな
出版者
人間文化研究機構地域研究推進事業「現代インド地域研究」
雑誌
現代インド研究 (ISSN:21859833)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.49-76, 2013-02

本稿は「インドのスピリチュアリティ」なる像の形成を問うものである。それは「オリエンタリズム」の典型とも見えるが、インドの側からも西洋への対抗上有効な語彙として用いられてきた。ヴィヴェーカーナンダの普遍宗教論にもこの語彙は大きな役割を果たしている。いわゆる「肯定的オリエンタリズム」の一種と思われるが、しかしその用例を見ていくと、必ずしもいわゆるオリエンタリズムの構図におさまらないことがわかる。オリエンタリズムの核は、差別や蔑視よりむしろ、西洋が東洋について語りその本質を規定するという不均衡な構図こそにある。しかし、19 世紀の「スピリチュアリティ」の用例には、西洋の規定に対する東洋の反応という構図におさまらないものが見て取れる。この語彙の現代的用法は東西が入り交じる関係の中から編み出され、そしてそこにはむしろ、オリエンタリズム的二元論を崩し止揚するような意義が求められていたと考えられるのである。