著者
高橋 亮介 有泉 陽介 岸根 有美 冨田 誠 小田 智三
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.6, pp.817-824, 2017-06-20 (Released:2017-07-15)
参考文献数
32
被引用文献数
1

背景: 扁桃周囲膿瘍は重症な合併症を生じる可能性から適切な対応を要する. 目的: 当地域の扁桃周囲膿瘍の原因菌と薬剤耐性を評価する. 化膿性扁桃炎治療後に扁桃周囲膿瘍へ進展した頻度と処方抗菌薬の関連を検討する. 対象と方法: 2010年4月から2016年3月の扁桃周囲膿瘍214例の前医抗菌薬を, また2010年4月から2014年3月の119例の原因菌と薬剤耐性を診療録から記述した. 次に2010年4月から2016年3月の化膿性扁桃炎397例の扁桃周囲膿瘍進展頻度について過去起点コホート研究を施行した. さらに化膿性扁桃炎, 扁桃周囲膿瘍既往有無での解析も施行した. 結果: 扁桃周囲膿瘍への前医処方はセファロスポリン系37% (31/84処方), キノロン系抗菌薬25% (21/84処方) であった. 膿汁培養ではレンサ球菌属67% (98/66株), 嫌気性菌13% (13/98株) であった. 全検出菌の45% (42/94株) がキノロン系抗菌薬に耐性を示した. 化膿性扁桃炎へのキノロン系抗菌薬処方群が他抗菌薬処方群と比較し, 治療後に扁桃周囲膿瘍へ進展した頻度が有意に高値 (リスク比11.8, p=0.032) であった. 既往がある症例の検討も同様の結果であった. 結論: 化膿性扁桃炎, 扁桃周囲膿瘍の既往がある化膿性扁桃炎へのキノロン系抗菌薬投与は慎重を要することが示唆された. 今後さらなる検討が望まれる.
著者
林 邦好 冨田 誠 田中 豊
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.89-101, 2008-01-31 (Released:2017-05-01)
参考文献数
11

主成分分析(PCA)は,変量の次元を縮約する多変量統計解析の代表的な手法である.主成分の意味付けをするために,固有ベクトルを解釈することになるが,特に主成分数を多くとる場合など,しばしば主成分の解釈が困難な状況に遭遇する.解釈を容易にするために,因子分析の場合のように軸を回転させることができれば便利である.先行研究では,主成分係数を回転対象とする方法と主成分負荷量を目転対象とする2つの立場がある.本論文ではPCAを次元縮約の方法と捉え,縮約された低次元空間の中で解釈し易いように座標軸を導入するという立場で,Jolliffe(1995)の提唱した3つの基準化の方法及び回転対象として主成分係数・主成分負荷量のどちらを選ぶかという問題を整理し,2組の実データ及び因子分析モデルに従って生成した人工データに適用して数値的検討を行った.その結果,基準化3(分散が1に等しくなるように基準化した場合)では,主成分負荷量を直交回転する方が対比が形成されにくく,く1つの軸に1つの意味が付与できることが明らかになった.
著者
冨田 誠
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.1021-1030, 2002-03-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
冨田 誠
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.927-933, 1991-11-05
被引用文献数
7

乱れた媒質中において電子波が持つ量子的コヒーレンスは, 電子のアンダーソン局在やコンダクタンス揺らぎを引き起こす. 最近, この電子の振舞に厳密に対応のつく現象が光の領域で明らかにされつつある. 光のアンダーソン局在を実現させる可能性が追求されるとともに, スペックルとして知られている光の揺らぎと電子系でのコンダクタンス揺らぎとの間の高い類似性も認識される様になってきた. 超短時間パルスの発生など光独自の実験手法を生かしたアプローチは, 電子を初めとするランダム系での波動の輸送現象の解明にむけて新しい展開を促すかもしれない.
著者
北川 源四郎 椿 広計 藤田 利治 津田 博史 西山 慶彦 川﨑 能典 佐藤 整尚 土屋 隆裕 久保田 貴文 藤田 晴啓 奥原 浩之 村上 政勝 片桐 英樹 宮本 道子 曽根原 登 冨田 誠 笛田 薫 蓮池 隆 宮原 孝夫 安藤 雅和
出版者
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では,科学的情報収集に基づく社会価値選択,価値を決定する構造モデル導出,価値のモデル上での最適化,最適化された価値の社会への還元からなる情報循環設計を科学的政策決定の統計数理科学的枠組みと位置づけ,政策の科学的決定に資する統計数理体系構築を目的とした.本研究を通じて,公的ミクロ情報分析統計基盤の確立,情報循環加速ツールの開発,時空間可視化ツールの開発を達成し,同成果を自殺予防対策研究,観光政策研究,産業環境政策研究に応用し,それぞれの政策立案に資する新たな知見を得るとともに,データに基づく政策を提言した.