著者
大槻 健太 金谷 文則 山口 浩 親富祖 徹 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.340-343, 2020
被引用文献数
1

<p>【目的】髄内釘(ナカジマメディカル社 ニューストレートネイル®)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】髄内釘を用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった75例75肩(男性21肩,女性54肩)を対象とした.年齢は35~91歳(平均70歳),骨折型は2-part 33肩,3-part 29肩,4-part 13肩,経過観察期間は6~53カ月(平均13.4カ月)であった.調査項目はX線学的評価,ROM(屈曲・外旋・内旋)とした.合併症,年齢,骨折型とROMについて検討した.【結果】平均ROMは屈曲119°,外旋39°,内旋4.2点であった.合併症発生率は20%(骨頭壊死6肩,大結節障害3肩,螺子骨頭穿破2肩,螺子逸脱・骨頭壊死と螺子逸脱の合併・内反変形各1肩)であった.年齢と屈曲・外旋角度で負の相関関係を認めた.骨折型は各part骨折間ではROMに明らかな有意差を認めなかったが,75歳以上の4-part骨折では有意に屈曲が低下していた.【結語】髄内釘の治療成績は比較的良好であったが,高齢者で術後ROMは低下していた.</p>
著者
親富祖 徹 金谷 文則 山口 浩 大槻 健太 当真 孝 呉屋 五十八 喜友名 翼 森山 朝裕 當銘 保則 前原 博樹
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.344-348, 2020

<p>【目的】上腕骨近位部骨折用DePuy-Synthes社製PHILOS<sup>TM</sup>プレート,(以下PHILOS)を用いて手術を行った上腕骨近位端骨折の治療成績を報告する.【対象および方法】PHILOSを用いて手術を行い6カ月以上経過観察可能であった65例65肩(男性16肩,女性49肩),年齢は20~87歳(平均64歳),骨折型(Neer分類)は2-part 27肩,3-part 31肩,4-part 7肩,観察期間6~64カ月(平均15カ月)であった.調査項目は自動肩関節可動域(屈曲・外旋・内旋:内旋のみJOAスコアに基づき点数化),骨癒合,合併症であり,年齢・骨折型と関節可動域に関する検討を行った.【結果】平均肩関節可動域は屈曲116°,外旋29°,内旋3.8点であった.合併症発生率は35%であった.年齢と屈曲・外旋可動域で負の相関関係を認めた.4-partでは屈曲可動域が有意に低下していた.【結語】PHILOS固定例では年齢と屈曲と外旋で負の相関関係を認め,4-part骨折では有意に屈曲が不良であった.</p>
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 前原 博樹 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.56-59, 2019

<p>三角筋断裂を伴う広範囲肩腱板断裂の治療にはしばしば難渋する.我々は三角筋断裂を伴う広範囲腱板断裂の2例を経験したので報告する.症例1 69歳女性.5年前から右肩痛を自覚.1年前より近医受診で内服,ステロイド注射を行っていた.3カ月前に突然右肩挙上困難出現,MRIで三角筋断裂を合併した広範囲肩腱板断裂を指摘され当科を紹介.初診時身体所見は右肩痛を認め自動肩関節可動域屈曲20度,外旋30度,内旋Th8でJOAスコアは45点であった.腱板一次修復術と三角筋修復術を施行し,術後64カ月で自動肩関節可動域屈曲105度,外旋65度,内旋Th8,JOAスコア86.5点へ改善を認めた.症例2 82歳女性.3年前より右肩痛,可動域制限を自覚.1週間前より誘因なく右肩関節腫脹,皮下出血を認め近医受診.三角筋断裂を伴う広範囲腱板断裂を認め,手術目的に当院紹介.初診時身体所見は肩痛を認め自動肩関節可動域屈曲0度,外旋10度,内旋Hip,JOAスコアは25点であった.腱板修復術に大胸筋移行術を併用し,三角筋修復術を施行し,術後12カ月で自動肩関節可動域屈曲65度,外旋45度,内旋L1,JOAスコア58点へ改善傾向を認めた</p>
著者
比嘉 勝一郎 金城 英雄 前原 博樹 島袋 孝尚 中島 慶太 當銘 保則 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.636-640, 2018

<p>Langerhans cell histiocytosis(以下LCH)は,Langerhans細胞の増殖を特徴とする原因不明の疾患で,骨腫瘍全体の1%以下と稀である.今回,われわれは脊椎に発生したLCHの3例を経験したので報告する.【症例1】13歳男児.1ヵ月半前から胸背部痛があり受診した.Xp上T2椎体は圧潰し,PET-CTでT2・T9・S1椎体にFDGの集積がみられた.T2椎体の生検を行い単臓器多病変型のLCHと診断した.化学療法を行い,初診後4年の現在,再発はない.【症例2】8歳女児.1ヵ月前から両季肋部痛があり受診した.Xp上T9椎体は圧潰し,PET-CTで同部位にFDGの集積がみられた.生検を行い単臓器単病変型のLCHと診断した.BP製剤の内服を行い,初診後1年4ヵ月の現在,再発はない.【症例3】27歳男性.2ヵ月前から頚部痛と右上肢のしびれがあり受診した.MRI上C7椎弓右側に信号変化があり,PET-CTで同部位にFDGの集積がみられた.生検を行い単臓器単病変型のLCHと診断,初診後7ヵ月の現在,経過観察中である.</p>
著者
喜屋武 諒子 當銘 保則 前原 博樹 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.667-670, 2018

<p>Giant cell-rich osteosarcoma(GCRO)は通常型骨肉腫の1~3%に発生する稀な疾患である.化学療法が著効した1例を経験したので報告する.症例は65歳,男性.1年前左膝関節痛を主訴に前医を受診した.単純X線像で左大腿骨外側顆の骨透亮像を指摘され,MRIで骨腫瘍疑いと診断された.その後通院の中断があり,6ヵ月後に疼痛が増悪したため前医を再受診し,単純X線像で病巣拡大を指摘され当院へ紹介された.当院で施行したFDG-PETで左大腿骨外側顆に高度集積を認め,切開生検の結果転移性骨腫瘍が疑われたため,初診から1ヵ月半後に広範切除術及び腫瘍用人工膝関節置換術を施行した.最終病理組織診断はGCROであった.術後1ヵ月に急速に増加増大する多発性肺転移を認め,NECO-95Jプロトコールに基づき化学療法を施行したところ著明な縮小効果が得られた.現在化学療法終了後1年6ヵ月経過し,再発転移を認めていない.</p>
著者
外間 敦 當銘 保則 前原 博樹 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.643-646, 2017

Chronic expanding hematoma(CEH)は画像上,悪性軟部腫瘍との鑑別がしばしば困難である.今回,悪性軟部腫瘍と鑑別を要したCEHの2例を報告する.【症例1】82歳,女性.3年前より徐々に増大する左大腿部腫瘤を主訴に近医を受診した.僧帽弁置換術の既往があり,ワーファリンを内服していた.MRIで左大腿直筋内に6×3×10cmのT1強調像で内部不均一な等~高信号,T2強調像で低~高信号の混在した不均一な信号を示し,造影MRIでは内部に造影効果が不均一な腫瘤を認めた.腫瘤切除術を施行しCEHと診断された.【症例2】56歳,男性.5年前に左臀部を鉄骨の間に挟まれた.その後より左臀部に腫瘤を自覚.腫瘤が増大したため近医を受診した.MRIで左殿部筋膜下に13×8.5×18cmのT1で低信号,T2で等信号と高信号が混在した信号を示す腫瘤を認めた.腫瘤切除術を施行しCEHと診断された.【考察】CEHの診断には画像所見とともに病歴や病理検査も含めて総合的に判断する必要がある.
著者
又吉 修子 當銘 保則 前原 博樹 喜友名 翼 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.641-644, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
11

傍骨性骨軟骨異形増生は,手足の短管骨に好発し傍骨性腫瘤を形成する疾患である.今回我々は,脛骨骨幹部に発生した傍骨性骨軟骨異形増生の稀な1例を経験したので報告する.症例は12歳,男児.1年前,サッカー中に右下腿前面を打撲した後より同部位に腫瘤を自覚した.腫瘤が徐々に増大し運動後の疼痛を認めるようになったため,近医を受診した.脛骨前面に発生した骨腫瘍を疑われ,精査目的に当科へ紹介された.右下腿中央内側に5 cm大の骨性隆起を認め,単純X線像で脛骨近位骨幹端から骨幹部にかけて辺縁整で台地状に隆起した骨腫瘍を認めた.MRIでは,T1強調像で低信号,T2強調像では腫瘍基部で低信号,隆起部では高信号を示す二層性の変化を認めた.腫瘍隆起部に造影効果を認めた.切開生検術を行い,傍骨性骨軟骨異形増生と診断された.腫瘍基部を含む切除術を施行し,現在術後1年2ヵ月で再発を認めず,切除部に骨形成を認める.
著者
田中 一広 前原 博樹 當銘 保則 上原 史成 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.328-330, 2016-03-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
5

初回術後多発肺転移と複数回局所再発を来し治療に難渋した右肘頭骨巨細胞腫にdenosumabが著効した1例を報告する.【症例】18歳,女性.右肘頭骨腫瘍にて当科紹介され,単純X線像,切開生検にて骨巨細胞腫の診断に至った.骨腫瘍掻爬,アルコール処理,自家腸骨移植施行後4ヵ月で肺転移を認め化学療法施行,zoledronateを投与した.術後9ヵ月で局所再発し再手術施行するも,計3度再発を来した.転移性肺腫瘍は徐々に増加,増大し初回手術後4年2ヵ月より肺炎,血胸を来すようになりdenosumabを投与開始した所,転移性病変は縮小し症状改善した.10ヵ月投与後に一旦休薬したが,再度転移性病変が増大したため投与を再開した.以降転移性病変は縮小傾向であり,現在術後6年2ヵ月経過している.