著者
金丸 麻衣 峠岡 理沙 山里 志穂 堀田 恵理 益田 浩司 加藤 則人
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.38-41, 2019 (Released:2019-08-13)
参考文献数
13

20歳代,女性。両上下眼瞼の紅斑を主訴に当科を受診した。患者はマスカラを日常的に使用していた。使用していた各種化粧品,外用薬,点眼薬,およびジャパニーズスタンダードアレルゲンによるパッチテストを施行したところ,マスカラ,フラジオマイシン,ペルーバルサム,ロジン,香料ミックスが陽性となった。マスカラの成分別パッチテストを行ったところ,カルナウバロウが陽性となった。カルナウバロウは化粧品や各種ワックス製品に含まれる他,食品や医薬品の添加物として用いられるが,接触皮膚炎の報告は非常に少ない。カルナウバロウに含まれるケイ皮酸がペルーバルサムと香料ミックスとも共通することから,マスカラに含まれたカルナウバロウ中のケイ皮酸によってアレルギー性接触皮膚炎を発症した可能性を考えた。また,外用薬に含まれた硫酸フラジオマイシンに対するアレルギー性接触皮膚炎も合併していた。パッチテストでロジンにも陽性を示し,香料アレルギーの可能性が示唆された。 (皮膚の科学,18 : 38-41, 2019)
著者
上田 幸子 服部 淳子 益田 浩司 加藤 則人 佐々木 和実 峠岡 理沙
出版者
一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
雑誌
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌 (ISSN:18820123)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.316-321, 2017-10-31 (Released:2017-12-07)
参考文献数
10

35歳, 女性。初診の1年前より, まつ毛エクステンション専門店にて, 1ヵ月ごとに施術を受けていた。初診の1ヵ月前, 施術後に両眼瞼の腫脹が出現したが, 数日で軽快した。初診2週間前, 左側のみ施術を受けたところ, 翌日左上眼瞼の紅斑腫脹と流涙が出現し, 精査を希望して当科を受診した。施術の際に使用した洗浄液や接着剤などの製品と, ジャパニーズスタンダードアレルゲンおよびアクリル樹脂シリーズアレルゲンを用いてパッチテストを行ったところ, 人工まつ毛の接着剤, 硫酸ニッケル, ラノリンアルコールで陽性を示した。さらに接着剤の成分でのパッチテストを施行し, 主成分であるエチルシアノアクリレート (ECA) で陽性であった。今回使用した物品に硫酸ニッケル, ラノリンアルコールは含まれておらず, ECAによる接触皮膚炎と診断し, ECAの使用を避けるように指導した。その後, 皮疹の再燃はない。
著者
菊地 克子 五十嵐 敦之 加藤 則人 生駒 晃彦 金久保 暁 照井 正
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.13, pp.2763-2770, 2019-12-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
50

皮脂欠乏症は乾皮症と同義であり,加齢により生じる老人性乾皮症や皮膚機能が未成熟である乳幼児に生じるもののほか,アトピー性皮膚炎や魚鱗癬あるいは糖尿病や慢性腎臓病などの疾患に併発すると共に,一部の抗がん剤や放射線治療などに伴っても生じる.皮膚乾燥はしばしば瘙痒を伴い,搔破によって湿疹などの状態になることから,セルフメディケーション製品を含めた保湿剤による治療を疾患や病態に合わせて行う必要があるものの,明確な治療基準は存在しない.そのため,治療に関する指針が定められることが望まれる.
著者
中川 有夏 田嶋 佐妃 浅井 純 竹中 秀也 加藤 則人 山田 稔
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.415-420, 2014 (Released:2015-05-02)
参考文献数
36

47歳,女性。ウガンダに渡航して7日目に右前腕屈側にそう痒を伴う紅色丘疹が出現した。帰国後,紅色丘疹が増加したため渡航20日目に近医皮膚科を受診した。副腎皮質ステロイド含有軟膏の外用を開始したが,右肩と腰部の紅色結節が増大し疼痛を伴うようになったため,渡航24日目に当院を受診した。数日後紅色結節の中心に虫体を認め,局所麻酔下に4匹の虫体を摘出した。虫体はクロバエ科のヒトクイバエの3齢幼虫と同定した。摘出1ヶ月後,潰瘍は上皮化し,その後症状の再燃は認めていない。ヒトクイバエは衣服や布団などに付着した虫卵を介して寄生する。寄生を予防するためにはヒトクイバエの生息地域への渡航後は衣服にアイロンをかけることが重要であり,ハエ症を疑った際には,身近な人の渡航歴も聴取する必要があると考えた。(皮膚の科学,13: 415-420, 2014)
著者
加藤 則人
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.229-232, 2007-04-15 (Released:2009-03-13)
参考文献数
4

コーチングとは「ゴールを達成したり、ゴールまでの障害を打開するための答えや能力は、その人自身が持っている」という前提のもとに「相手が望むゴールに到達するために、その人自身の意志に基づく自発的行動を引き出し、その行動を継続させ、よりよい方向に向かっていくようサポートすること」を意味する。コーチは上の立場から指導や指示を行うのではなく、傾聴、質問、要約、提案の4つのスキルを用いて、相手の自発的な目標設定や目標に向かうための行動プランを引き出し、その成果を確認する、というプロセスを繰り返す伴走者の役割を担う。コーチングのスキルはスポーツやビジネスだけでなく、対等な関係で患者のニーズと自主性を引き出し、患者自らの意志で選択して行動をするように導く、医療コミュニケーションの手段としても、大変有用である。アトピー性皮膚炎のような慢性疾患では、患者自身の治療意欲を高めることが、治療の成果を上げる上で重要である。医療においては、答えは医師が持っていることがほとんどであるが、医師から押しつけられたゴールや指示と違い、患者自身が導き出した目標に向かうための自発的な行動の方が、格段に患者の意欲が高まり、治療の成果や患者満足度が上がることが期待される。(オンラインのみ掲載)
著者
加藤 則人
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.1414-1415, 2018 (Released:2018-12-13)
参考文献数
13