著者
原田 眞澄 西尾 敏子
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.119-124, 2005-06-16

保育学生2年次生155名を対象に,アンケート調査を行った。約半数の学生は,ボランティアや実習で園児のプライベートゾーンに関する言動や行動を体験していた。これは,幼児に性の健康教育をする絶好のチャンスであるが,保育学生にはそういう意識が乏しく適切な対応ができにくいことがわかった。近年,幼児期から性の健康教育を始める必要性が認識されている。保育士は幼児期の子どもと密接な関わりをもつことから,その養成課程で今日的な性の健康教育のあり方について教育を行う必要性を感じた。
著者
原田 眞澄 谷本 満江
出版者
中国学園大学
雑誌
中国学園紀要 (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.131-135, 2006-06-16
被引用文献数
1

乳幼児期は基本的な生活習慣を確立していく段階であるが,夜遅くまで起きている習慣がつく子どもが急増してきている。保育所・幼稚園などでも園児の夜ふかしが問題視され,保育者は家族に早寝早起きするよう働きかけてはいるが,期待した成果が得られていないのが実状と思われる。早寝早起きの意義は大きく理想ではあるが,時代的背景を考慮すると限界も感じてしまう。それよりも,家族がおかれている環境の中で実現可能なことから改善していくという柔軟さも必要なのかもしれない。そこで,現代の子育てにおいて,子どもに少しでも良質な睡眠を提供するための手立てとはどのようなものかを検討したいと考えた。岡山県の保育所・幼稚園の5〜6歳児260名を対象に,2週間連続の睡眠リズムと就寝時の過ごし方に焦点をあてて,質問紙によるアンケート調査を実施した。睡眠リズムは週末に崩れやすく,就寝時までの過ごし方はテレビやビデオから光刺激を多く受けている特徴が明らかになった。今後は,こうした点にも着眼した保健指導を行う必要性が示唆された。
著者
原田 眞澄
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.51-58, 2015-06-16

おんぶや抱っこは単に搬送の手段としてではなく,子どもを育児するうえで肌と肌がふれあう温もりの伝わる関わり方で,大人と子どもの間に精神的つながりを深める効果に言及する者もいる。しかし,日本に特有の風習とされるおんぶひもを使ったおんぶは年々減少傾向であると感じられる。犬飼は1998年の研究で外出時の子どもの運搬方法におんぶひもを使ったおんぶは全体の6.5%と報告したが,現在はもう少し少ないと推測できる。一方保育所ではおんぶひもを使うことは多く,東日本大震災でも避難時に重宝した。私はこの違いに興味をもち,平成27年2月15日~3月23日の期間に,倉敷市立中央図書館,中国学園図書館の育児雑誌や育児書に関する情報収集と,インターネットやベビー用品売り場でおんぶひもに関する情報収集をおこなった。その結果,親世代に向けた育児雑誌の情報およびベビー用品売り場などにおんぶひもとういう表現は全くなくなっていて,抱っこやベビーカーによる育児が当たり前という印象を受けるものであった。少子化で,一人の親が子どもを抱っこできる余裕ができたことも背景として考えられる。育児雑誌でおんぶ兼用抱っこひもでおんぶをする場面が紹介され,親の立場からのメリットが紹介されていた。近年脳科学の分野でミラーニューロンが発見され,子どもをおんぶして大人のしていることを一緒に見ることが脳に良い刺激を与えることがわかった。今後は,子育て支援や保育学生への教育においてこの最新の情報提供をおこない,TPOに応じておんぶをすることの取り組みにつなげていきたいと考える。
著者
原田 眞澄
出版者
中国学園大学/中国短期大学
雑誌
中国学園紀要 = Journal of Chugokugakuen (ISSN:13479350)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.51-57, 2017-06-16

私は,タッチケアを特集する雑誌を見たことをきっかけに,どのようなものか興味をもった。タッチケアとはどのようなものなのか,肌に触れるスキンシップのことを指すのであろうか,抱っこやおんぶやベビーマッサージなども含むのであろうかと様々な疑問をもった。そこで,平成29年2月12日~3月16日の期間,タッチケア・抱っこ・おんぶをキーワードに中国学園図書館で文献検索を行った。その結果,タッチケアという言葉には狭義と広義があることがわかった。狭義では,アメリカマイアミ大学のTouch Research Institute のタッチセラピーを起源としたもので,1999年吉永により日本に伝えられたものをいう。一定の圧力をかけながら子どもの全身をゆっくりとマッサージするふれあいの方法であり,従来から言われてきたスキンシップや,赤ちゃんマッサージ全般を指しているものではないということがわかった。また,広義では子どもの体に(あるいは肌に)触れること全般(たとえば,子どもに対する整体や子どもの気持ちに寄り添ったスキンシップ,ベビーマッサージなど)が包括されていた。タッチケアとベビーマッサージを比較すると,目的や手技に大差はなかった。どちらも赤ちゃんの肌に指や手のひらで触れ,一定の圧力でマッサージしながらふれあえるものである。する側,される側のどちらにとっても情緒が安定する効果があることと親子の絆が深まることがわかった。しかし,タッチケアが未熟児・新生児も対象とする点で対象月齢が広いこと,資格取得・講習会などが無料で営利を目的としていない点で,ベビーマッサージと違うことがわかった。子どもは,抱っこやおんぶによって大人と広範囲に肌を接触してもらうこと,手のひらで優しくマッサージしてもらうこと,トントンとリズミカルに皮膚に刺激をされることなどを好む。「皮膚は露出した脳」といわれ,大きな意味がある。近年,スマホで子育てする親も少なからず見受けられるが,一緒にいるときには子どもと肌を密着すること,心地よい接触の仕方をすること,子どもの状態をしっかり感じ取ることが大切であることが分かった。