著者
及川 佐枝子
出版者
三重大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

食品に含有するナノ粒子の消化器系における炎症反応の誘導作用を解明するため、ヒトマクロファージ様細胞THP-1および大腸腺癌細胞Caco-2を用い、ナノ粒子曝露による生存率の変化、活性酸素種(ROS)および炎症性サイトカインの産生について解析を行った。二酸化チタンのナノ粒子曝露により、ROSおよび炎症性サイトカインIL-1βの産生が増加する傾向が認められた。また一次粒径が同程度でも、酸化亜鉛の方が二酸化チタンより細胞の生存率の低下およびROSの産生を誘導する事が認められ、粒子の種類により細胞毒性作用、炎症反応誘導の機構に違いがあることが示唆された。
著者
及川 佐枝子 市原 学 久保 雅敬
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、近年化粧品や食品などに広く利用されている二酸化チタンや酸化亜鉛のナノ粒子について、THP-1マクロファージ様細胞および大腸癌細胞Caco2を用いて炎症反応の誘導および炎症性疾患増悪作用の検討を行った。その結果、二酸化チタンのナノ粒子による炎症反応誘導作用は、ルチル型よりアナターゼ型で強く認められた。また、THP-1マクロファージ様細胞において、酸化亜鉛のナノ粒子により粥状動脈硬化進行の原因とされるマクロファージ泡沫化の促進が認められたが、二酸化チタンのナノ粒子では認められなかった。酸化亜鉛ナノ粒子はマクロファージの泡沫化を促進し、粥状動脈硬化症を増悪する可能性が示唆された。