著者
森 伸一郎 古川 将也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.242-251, 2010

本論文の目的は,2009年12月17日から始まった伊豆半島沖群発地震を利用して,小規模アースダムとしてのため池堤体の地震観測を行い,微小震動レベルにおけるため池堤体の地震応答特性について明らかにすることである.対象ため池は谷池であり上下流の2つのため池が隣接し,2つの堤頂と基盤の3点で観測した.観測は19,20日の2日間行い,極微小から小地震による震度2の地震を含む微小振幅の30の地震動の記録を得た.その結果,振幅の大きく異なるフーリエスペクトルの地震動でも,基盤に対する堤頂のフーリエスペクトル比はおよそ一定の形状を示し,各堤体で固有の振動特性を示すことがわかった.また,地震時と微動のフーリエスペクトル比は類似しており,微動による調査法は有効性を確認できた.