著者
呉 炳宇
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.893-898, 1995-04-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
15

帯状疱疹患者52例を針灸で治療し, 49例の患者 (対照群) は漢方薬で治療した。鎮痛効果の尺度として視覚的表現スケール (VAS) を用いた。針灸群は東洋医学の症状鑑別法に基づき, 証による本治法的な針を実施した。それと共に, 皮膚病変部の周囲を取り囲む針治療を実施し, 次いで灸を30分間行った。漢方薬群は肝胆湿熱型には龍胆潟肝湯を投与し, 肝鬱気滞型には逍遥散を投与し, 脾経湿熱型には胃苓湯を与えた。針灸群では, 平均3.8回の治療後に痛みが消えたが, 漢方薬群では, 鎮痛効果の発現に平均5日かかり, しかも3例では無効であった。鎮痛効果の発現率は針灸群で有意に良好であった。針は経絡の気と血を疏通することにより痛みをコントロールすると考えられる。針はまた免疫機能を高めてウイルスの活動を抑制し, それにより鎮痛効果を現すとも考えられる。針灸は帯状疱疹患者の痛みを有意に改善させた。針灸は鎮痛作用を有するといえる。