著者
高橋 真治 呉屋 朝幸
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.2081-2086, 2015 (Released:2016-02-29)
参考文献数
23

シートベルト症候群は,交通事故の際にシートベルトによって腹部が強く圧迫されることにより発症し,腰椎骨折と小腸損傷などの腹腔内臓器損傷が同時に引き起こされることがある.外傷性小腸穿孔は診断が難しく開腹を決定するのに時間が掛かることがあるが,腰椎骨折を合併している場合は高率に腹腔内臓器損傷が合併することが知られている.そのため,腹部所見や画像検査所見で開腹が必要な所見が得られなくても,腰椎骨折を認めた場合は積極的に腹腔内臓器損傷を疑い,開腹のタイミングを逃さないことが重要である.
著者
池田 登顕 井上 俊之 菊谷 武 呉屋 朝幸 田中 良典 呉屋 弘美 佐野 広美 庄司 幸江 須藤 紀子 長島 文夫 藤澤 節子 佐藤 博之
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.185-189, 2016-03-01 (Released:2021-12-10)
参考文献数
17

在宅医療・緩和ケアカンファレンス(以下、本会という)は、北多摩南部医療圏にて多職種連携推進研修を開催してきた。今回、阿部らが開発した「医療介護福祉の地域連携尺度」を一部本地域に合わせて改変したものを用いて、本会の取組みを客観的に評価した結果、有用な知見が得られたので報告する。 調査は、75名を対象とし多職種が集まる本会以外の研修会への参加頻度も含め、過去3年間で、「本会の研修会参加6回以上」、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」、「多職種連携の研修会参加6回未満」の3群に分け、連携尺度スコアをKruskal-Wallis検定にて検証した。post-hoc testとしては、Scheffe法を用いた。 最終的に、15%以上の欠損値が存在した1名を除外した、74名の回答を分析した。過去3年間において、「本会の研修会参加6回以上」、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」、「多職種連携の研修会参加6回未満」の3群間における連携尺度スコアのKruskal-Wallis検定の結果、有意差がみられた。また、多重比較の結果「本会の研修会参加6回以上」群の連携尺度スコアは、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」群および「多職種連携の研修会参加6回未満」群と比較して有意に高かった(P<0.001)。 地域での多職種連携推進には、その地域で開催されている研修会へ年2回以上の参加が推奨されると考えた。
著者
田中 良太 吉田 治 松田 実 福島 久喜 花岡 建夫 呉屋 朝幸 関 恒明
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.1222-1225, 1997-06-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
15

注入法による豊胸術後乳癌の1例を経験したので報告する.症例は52歳女性, 23年前に注入法による両側豊胸術を受けた.左乳房および左腋窩部腫瘤を触知し増大してきたため当院外来を受診した.造影MRIにて左乳房に腫瘤像が描出され,腫瘤辺縁に輪状濃染像が認められたため乳癌を疑った.腫瘤摘出生検を施行し病理学的に浸潤癌との診断が得られたので定型的乳房切除術を施行した.組織学的には充実腺管癌,鎖骨下リンパ節転移陽性と診断された. 造影MRIが注入異物と乳癌との識別に有用であった.
著者
河内 利賢 武井 秀史 塚田 久嗣 相馬 孝博 輿石 義彦 呉屋 朝幸 竹内 弘久 跡見 裕
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, 2005

症例は57歳の男性, 呼吸困難を主訴に当院を受診した. 2002年4月に進行胃癌にて胃全摘術の既往がある. 6月28日, 当院を受診し, 胸部Xpにて左肺の過膨張像を認めた. 翌日のCTにて左無気肺と気管分岐部〜主気管支周囲リンパ節の腫大による左主気管支狭窄像を認め, 胃癌の縦隔リンパ節再発による, 気道狭窄と判断した. 気管支鏡所見では左主気管支に気管分岐部よりリングの部位に全周性の狭窄を認めた. 同部位の組織診断にて胃癌の縦隔リンパ節再発を確認した. 呼吸困難にてPS3と全身状態が悪化したため, 6月30日, 姑息的に左主気管支にUltraflex Covered Stentを挿入, 留置した. 7月1日, 胸部Xpにて左無気肺の改善を認めた. その後, 一旦退院し, TS-1を含む化学療法を施行した. PS1と全身状態も改善し, 3か月間の自宅療養が可能となった. 姑息的にStent挿入を行い, QOLの改善を認めた症例を経験したため, 報告する.