著者
土井 徹 林 武広
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.212-224, 2015 (Released:2016-02-24)
参考文献数
23
被引用文献数
1

The purpose of this study is to reveal how alien species are dealt with in textbooks about living environment studies, science, and biology from elementary to high school. From an analysis of students’ responses in lessons about alien species, possibilities and points to be noted for executing science lessons about biodiversity in elementary school were also examined. As a result, the following three points were identified.(1) The textbooks checked in this study have a total of 126 kinds of alien species, of which 10 are alien invasive species, and 23 are careful invasive species.(2) The textbooks have some description of how to cope with the problem of invasive species for most of alien invasive species; they also and have descriptons suggesting that their multiplication and release are encouraged, wheras there is little description about careful invasive species. (3)There are lessons that we had suggested to the students for proper understanding of alien species, indicating that lessons that encourage understanding of alien species in elementary school are possible. We have to examine opportunities and contents for doing so.
著者
土井 徹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 42 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.235-236, 2018 (Released:2019-06-15)
参考文献数
2

日本の小学校生活科の教科書にある学習後のアメリカザリガニの扱いに関する記述について調査した。その結果,約 30 年の間に,記述なしあるいは野外への放逐を推奨する記述から,野外放逐と飼育継続を選択させる記述を経て,飼育継続を推奨する記述へと変遷していることが明らかとなった。
著者
土井 徹 林 武広
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.79-86, 2015 (Released:2020-01-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究の目的は,小・中学校理科授業の円滑な接続を検討するための基礎資料を得るために,小・中学生の理科授業に対する認識と要望を明らかにすることにある。小学校6年生(以下,小学生),中学校2年生(以下,中学生)を対象に行ったアンケート調査の結果から,以下のことが明らかになった。① 小・中学校ともに,児童・生徒の情意面に配慮した教師のていねいな指導と問題解決が行われていることが推察される。相違点は,小学校では,一人で考えることと小グループで話し合うことが大切にされ,中学校では,受験への対応,新たな情報の提供,教師の「待つ」姿勢が大切にされている傾向が見られることである。② 理科授業への共通する顕著な要望は,「実験がしたい」である。小学生では発展的な内容への要望,中学生では刺激や面白さを求める要望が目立つ。③ 中学生の多くが理科の授業で困っていることは,学習内容の難しさであり,周りの人と相談させてほしいと思っている。
著者
高橋 満彦 大宅 裕紀 土井 徹
出版者
一般社団法人 日本環境教育学会
雑誌
環境教育 (ISSN:09172866)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.4_48-55, 2022 (Released:2022-08-04)
参考文献数
19

This paper analyzes how the management of wildlife (birds and mammals) is described in textbooks authorized by the Japan's Ministry of Education for use in elementary and middle schools. All of the textbooks authorized for Social Studies (24 items for elementary and 13 items for middle schools), Science (28 for elementary and 18 for middle schools), Life Environment Studies (17 items for elementary schools), and Technical Arts (thee items for middle schools) were investigated for discussion.  Wildlife management consists of multiple elements. Japanese wildlife policy originally focused on protective elements; however, with increasing wildlife damage, the Wildlife Act was revised in 2014 to define “protection” and “control” as dual values of wildlife management.  Through our research of textbooks, we found that they describe the “protection” of wildlife fairly well. However, the “control” of wildlife is mentioned or alluded to in only 16 items. Lethal control is discussed in only one textbook for middle school science.  The authors assert that the “control” of wildlife should be described in textbooks not only for the pupils to understand the current environmental policy, but also to comprehend the challenges towards agricultural and rural communities.
著者
土井 徹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.235-236, 2018

日本の小学校生活科の教科書にある学習後のアメリカザリガニの扱いに関する記述について調査した。その結果,約 30 年の間に,記述なしあるいは野外への放逐を推奨する記述から,野外放逐と飼育継続を選択させる記述を経て,飼育継続を推奨する記述へと変遷していることが明らかとなった。
著者
本島 茉那美 冨樫 千秋 土井 徹 境 俊子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.7-16, 2017-04-30 (Released:2017-08-14)
参考文献数
28
被引用文献数
2

本研究では,関東圏内200床以上を持つ病院46施設に勤務する既婚女性看護師632名を対象に,既婚女性看護師のワーク・ライフ・バランス(WLB)の満足感とその関連要因を明らかにするために,質問紙調査を実施した。分析にはχ 2乗検定,Mann WhitneyのU検定を行った。WLBの満足感の関連要因は,「所属部署」,「超過勤務時間」,「運動習慣の有無」,「家族とのコミュニケーションの有無」,「研修への参加の有無」,「ロールモデルの有無」,「目標の有無」,「キャリアプランの実施の有無」,「職業継続意思の有無」,「制度利用の有無」,「職務満足度」とその下位尺度(職業的地位,給料,看護管理,医師と看護師間の関係,看護師間相互の影響,専門職としての自律性,看護業務),「主観的幸福感」,職業性ストレス調査票の下位尺度「職場の社会的支援」とその構成要素(上司からの支援,同僚からの支援),「ソーシャルサポート」,「精神的健康度」であった。WLBの満足感は,「WLBに満足していますか」という質問で,「満足している」「満足していない」という回答で測定できることが明らかになった。これらの結果は,WLBに満足するためには,運動習慣をもつこと,家族とのコミュニケーションをとること,ロールモデルを持つこと,キャリアプランを実施すること,社会資源を利用することが必要であることが示唆された。また,看護管理者は,職場の社会的支援や職務満足度がWLBの満足感に影響していることを念頭におき,これらを支えていくことが必要であることが示唆された。
著者
土井 徹 匹田 篤 林 武広
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.41-52, 2015-05-31 (Released:2016-07-20)
参考文献数
19

小学校6年生を対象に,大気中の二酸化炭素濃度の日変化をどう考えるかについて調査した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)燃焼,生物の呼吸,植物の光合成による二酸化炭素の出入りについての学習を行う前は,「大気中の二酸化炭素が日中に濃く,夜は薄い」と考える児童が最も多く,学習後は「大気中の二酸化炭素が夜に濃く,日中は薄い」と考える児童が最も多くなる.(2)大気中の二酸化炭素濃度の日変化の仕方とその理由を考えさせる授業後は,多くの児童が二酸化炭素濃度の日変化の理由について既習内容と関係づけて理解するようになる.
著者
鈴木 康宏 土井 徹
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.114-129, 2015-07-31

未就学児の子どもがいる女性看護師と未就学児の子どもがいる一般就労女性のワーク・ファミリー・コンフリクト(以下:WFC)を比較するために,質問紙を用いて仕事と生活の実情ならびにコンフリクトの強さを調べた。未就学児の子どもがいる働く女性を対象とするため,子どもを保育施設に預けている働く女性に限定し,調査対象者を次のように設定した。女性看護師は病院付属の保育施設を利用する女性看護師6施設計236名,一般就労女性は一般保育園を利用する働く女性2施設計263名を対象に調査を行った。両群にWFCの強さを測定するWFCS日本語版を含めた自記式質問紙調査を行った。分析にあたり両群ともに夫と同居していない者を除外し,さらに一般就労女性では医療職の者を除外した。2群の属性とWFC得点の関連を,統計的手法を用い分析した。回収は女性看護師136名(回収率57.6%),一般就労女性170名(回収率64.6%)であり,そのうち分析には女性看護師125名,一般就労女性122名を使用した。WFC得点の中央値は女性看護師が52,一般就労女性が45であり,マン・ホイットニーのU検定の結果,p=0.000となり,2群のWFC得点に違いがあることが認められ,平均ランクは女性看護師の方が高く,女性看護師の方がWFC得点が高いことを示していた。また,WFC得点の中央値より低い値を1(コンフリクトが小),高い値を0(コンフリクトが大)としたロジスティック回帰分析の結果,p<0.05となり有意であることが認められた要因は女性看護師では正職員に比べパート勤務でオッズ比が3.8,時短勤務で6.8,また夫との会話時間が大の場合のオッズ比は1.6であった。看護師では負担の少ない勤務形態と,夫との会話時間の増大がWFC得点の低減に関連していた。一般就労女性では有意であることが認められた要因はみられなかった。女性看護師は一般就労女性に比べて残業時間が多く,夜勤もあり,WFCを生じやすい。そのため,パートタイムや時短勤務はWFCを回避する勤務形態と考えられる。また夫とのコミュニケーションの機会の増加がWFCの低減に関連していたことが注目された。
著者
土井 徹平
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.3-20, 2010-05-25

本稿では,足尾銅山と尾去沢(おさりざわ)鉱山を対象として,1900年代から1910年代における鉱業の労働市場と雇用の特質について考察した。近代の鉱山には,「坑夫」(採鉱夫・支柱夫)の同職集団である「友子(ともこ)」が存在しており,坑夫は友子を通じて同職者の「渡り」(鉱山間での移動)を保障するとともに就職の斡旋を行った。また友子は,内部で技能伝承を行うことで,市場に対し熟練労働力を供給する役割を果たしていた。したがって近代の鉱業の雇用あるいは労働市場の特質を明らかにするためには,友子を介した雇用の実態を解明する必要がある。しかし友子と雇用との関係については研究の蓄積がなく,友子の発達が労働市場に及ぼした影響についても,はっきりした結論が得られていない。このことをふまえ本稿では,友子の運営資料を用いることで,鉱山の雇用の実態を分析した。そして,友子を介した「渡り」や技能伝承の結果,近代の鉱山では労働力の需給バランスが保たれていたこと,そして市場構造に地域的な差異があったことを明らかにした。