著者
太田 修
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.1-11, 2006-03-01

2005年1月17日、韓国外交通商部は、日韓国交正常化交渉の財産請求権関連文書を初めて公開した。それらの文書は、財産請求権関連文書57件のうちの5件約1150頁で、主に1964、65年の資料である。韓国政府は、1994年から外交文書を公開し始め、97年には日韓交渉関連文書の一部を公開する方針だったが、日本の外務省が「日朝交渉や日韓の信頼関係への影響を強く懸念する」と、事実上の「非公開要請」を行ったことを受けて、日韓交渉関連文書は公開してこなかった。そのような経緯を考えれば、今回の資料公開は画期的なものである。本稿は、この新資料をもとに、財産請求権問題とは何だったのかを、脱植民地主義の視角から再考しようとするものである。
著者
太田 修
出版者
佛教大学
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.83-110, 2015-03-01

本資料は、日韓会談文書全面公開(「日韓会談文書開示決定処分取消等請求控訴事件」)について東京高等裁判所で行われた裁判のために書いた陳述書である。最初に、日韓国交正常化交渉の歴史をふり返り、植民地支配・戦争被害が清算されなかったことを論じた。次に、この植民地支配・戦争被害を不問にする枠組みは、その後もそのまま維持されたわけではなく、1990年前後の東西冷戦の崩壊後には、日本政府の立場は、植民地支配不当論へと変化したことを明らかにし、その上で、今日の日韓間、および日朝間の植民地支配・戦争被害の問題における現状と課題について述べた。最後に、日韓会談文書非開示の問題点とその公開の公益性および必要性について論じ、日韓間、および日朝間にある植民地支配・戦争被害の問題を真に解決するためにも、日韓会談文書の全面公開が必要であることを訴えた。
著者
太田 修 宮本 正明 板垣 竜太 福岡 正章
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

(1)日韓会談文書検索システムの構築2016年度に引き続き、「日韓会談文書全面公開を求める会」(以下、「求める会」)HP上で公開されている日韓会談文書の書誌情報のデータベース化(文書の表題、作成年月日、キーワードなど)を行った。日韓会談文書1916ファイルのうち文書番号601から文書番号1500までの作業を進めた。また、研究代表者と「求める会」メンバーとの打ち合わせ会議を持ち(2017年11月24日、大阪経済法科大学東京麻布セミナーハウス)、データベース作業済ファイルの点検作業、および分担者の調整、検索システムの立ち上げと公開の方法と時期について協議した。検索システムについては、2016年3月に「求める会」HP上に「テスト用検索システム」を構築した状態となっている。データベース化作業が完了した後に検索システムを公開する予定である。(2)戦後日韓関係史研究の深化2017年度は、第5・6回研究会(2017年9月12日、民族問題研究所、ソウル)および第7・8回研究会(2018年3月13日、民族問題研究所、ソウル)をもち、本研究の趣旨・内容、研究範囲、研究方法・研究体制、研究計画などについて再確認し、各分担研究者および研究協力者が研究報告を行った。第5・6回研究会では、宋炳巻(研究協力者)が「崔虎鎮の国経済史研究と東洋社会論」、沈載謙が「国交正常化以前の韓日経済協力論の3つの脈絡と合意」というテーマで報告した。また、第7・8回研究会では、板垣竜太(研究分担者)が「映画「朝鮮の子」(1955年)の製作過程をめぐって」、金丞銀(研究協力者)が「植民地歴史博物館の基本概念と展示の構成」というテーマで報告した。その後、各自の研究の進捗状況を確認し、文献調査の結果について情報を共有し、次回研究会の予定を立てた。
著者
板垣 竜太 太田 修 高 榮珍 水野 直樹 喜多 恵美子 谷川 竜一 森 類臣 呉 永鎬
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、冷戦期(1945年~1980年代)の北朝鮮において、国内外での人口や情報の流動性を背景として、いかに文化の諸領域が歴史的に形成され変化を遂げてきたのかを学際的に明らかにすることを目的とする。研究に際しては、社会の流動性、北朝鮮外の人口の相互影響、個人の能動性、文化の諸領域の相互関係(収斂)という4つの視点を一貫して導入する。その遂行のために学際的な研究体制を組織し、海外に散在する豊富な北朝鮮資料を共同で調査・分析するとともに、インタビュー調査も併用する。
著者
浅野 豊美 池田 慎太郎 金 敬黙 李 鍾元 木宮 正史 磯崎 典世 山内 康英 太田 修 林 夏生 吉澤 文寿 西野 純也 金 敬黙 小林 玲子 藤井 賢二 長澤 裕子
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

日韓米三国の資料からなる『日韓国交正常化問題資料集』を刊行し、また新規公開資料を利用した最初の本格的な実証研究を、法政大学出版局から『歴史としての日韓国交正常化』上・下、2分冊として、日本学術振興会の出版助成により刊行することが確定した。さらに、研究成果の社会的還元のため、「日韓国交正常化の現代的意味」と題した公開シンポジウムを、東京大学において朝日新聞・東亜日報の後援を得て開催した。また、2008年日本国際政治学会年次大会日韓合同部会の正式企画を担当・運営し、新たな問題提起と専門研究者との討論を行った。国外の国際学会であるアメリカアジア学会(AAS)では韓国の研究協力者と合同しパネルを組織し、日韓米三国の研究者による討論の場を作って報告した。
著者
太田 修司 吉川 衛 庄司 和広 谷藤 泰正
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.360-364, 2006-12-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23

鼻内処置ならびに経鼻挿管治療において, 出血予防目的でエピネフリンが一般的に用いられている。しかしながら, 現在までに鼻内塗布血管収縮薬について有効濃度についての報告は少ない。今回我々は, 出血予防で鼻内処置に使用するエピネフリンおよびフェニレフリンの使用至適濃度について比較検討したので報告する。対象は鼻, 副鼻腔疾患の既往がなく, 1週間以内に上気道炎を罹患していない24-32歳 (平均 : 26.3±3歳) の健常成人ボランティア9名 (男性5名, 女性4名) 。測定は0.02%-0.001%エピネフリン, 0.5%および0.1%塩酸フェニレフリン, 及び対照用生理的食塩水を用い, 各濃度別薬剤2mlを染みこませたガーゼを被験者の右鼻腔内に3分間挿入した。その後内視鏡による貼付処置前後の色調及び粘膜収縮の観察と, 通気度計による通気度 (圧・流量曲線) 測定を行った。結果は, 内視鏡による粘膜色調, 収縮変化観察において, 対照を除く各群において収縮および下鼻甲介粘膜に貧血様の蒼白色調変化を認めた。通気度改善率の検討では対照群 (生食) との比較において0.02%, 0.01%エピネフリン群及び, 0.5%フェニレフリン群問に有意な通気改善を認めた。経鼻挿管に使用する出血予防血管収縮薬至適濃度は0.01%エピネフリンおよび0.5%フェニレフリンで効果があると考えられる。
著者
小花 光夫 花田 徹野 太田 修二 松岡 康夫 入交 昭一郎 福田 純也
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.349-354, 1993-04-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
19

A 62-year-old woman, who had been diagnosed as having rheumatoid arthritis (RA) with systemic amyloidosis and diabetes mellitus, was admitted to our hospital because of polyarthralgia on October 1, 1987. She had some subcutaneous nodules and rheumatic pleural effusion. Therefore she was treated with 20 milligrams of prednisolone (PSL) daily. On the ninth day after the beginning of steroid therapy, she complained of severe pain and a new swelling in her right knee joint. The knee joint aspirate on arthrocentesis yielded a pure growth of group B Streptococcus (GBS). Blood culture was also positive for GBS. Her suppurative arthritis gradually improved by treatment with penicillin G. However, after the discontinuance of PSL, her pleural effusion deteriorated and she died on January 10, 1988.To our knowledge, there have been no prior reports of group B streptococcal suppurative arthritis complicating RA in Japan.
著者
高木 昌美 高橋 敏雄 平山 紀夫 Istiyananingsi Mariana Siti Zarkasie Kamaluddin Sumadi 緒方 宗雄 太田 修一
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
The Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.637-642, 1991
被引用文献数
5

1987年から1988年にかけて, インドネシア共和国西部ジャワのワクチン未接種の在来鶏(12農場, 196羽)および採卵鶏(8農場, 197羽)を用いて, Haemophilus paragallinarumに対する赤血球凝集抑制抗体の測定を行うと共に, 野外病鶏からの本菌の分離を試み, これらの地域における鶏伝染性コリーザの調査を行った. 本菌に対する抗体は, 地域に関係なく, 在来鶏および産卵鶏から検出された. 供試した農場の70%(14/20), 供試鶏の19%(73/393)に抗体が検出された. A型抗体は, 計11農場(55%)で検出され, 11%(45/393羽)の鶏が陽性を示した. C型抗体は, 計5農場(25%)で検出され, 8%(30/393羽)の鶏が陽性を示した. また, コリーザ様症状を呈する鶏からA型菌2株, C型菌1株の計3株が分離された. これらの成績から, インドネシア国西部ジャワでの, 両血清型による本病の発生が明らかとなった.
著者
高木 昌美 高橋 敏雄 平山 紀夫 Istiyananingsi Mariana Siti Zarkasie Kamaluddin Sumadi 緒方 宗雄 太田 修一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.637-642, 1991-08-15

1987年から1988年にかけて, インドネシア共和国西部ジャワのワクチン未接種の在来鶏(12農場, 196羽)および採卵鶏(8農場, 197羽)を用いて, Haemophilus paragallinarumに対する赤血球凝集抑制抗体の測定を行うと共に, 野外病鶏からの本菌の分離を試み, これらの地域における鶏伝染性コリーザの調査を行った. 本菌に対する抗体は, 地域に関係なく, 在来鶏および産卵鶏から検出された. 供試した農場の70%(14/20), 供試鶏の19%(73/393)に抗体が検出された. A型抗体は, 計11農場(55%)で検出され, 11%(45/393羽)の鶏が陽性を示した. C型抗体は, 計5農場(25%)で検出され, 8%(30/393羽)の鶏が陽性を示した. また, コリーザ様症状を呈する鶏からA型菌2株, C型菌1株の計3株が分離された. これらの成績から, インドネシア国西部ジャワでの, 両血清型による本病の発生が明らかとなった.
著者
太田 修平 土屋 綱紀 木島 丈博 渡邉 英一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1003, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】成長期の野球肘の中で,上腕骨小頭障害(離断性骨軟骨炎;OCD)は永続的な障害となりうるため,早期発見の重要性が高く,近年,野球肘検診は全国で広まりつつある。当院にて行った野球肘検診に関し,その活動の報告とともに,上腕骨小頭障害と遠投距離との関連に関して検証を行ったので,ここに報告する。【方法】平成22年から25年に行われた野球肘検診に参加した小学1年生から6年生(平均年齢11歳3ヶ月±5歳)の少年野球団,及びリトルリーグに所属する男子544名,女子17名,計561名を対象とした。これらに対しアンケートによる問診,超音波検査,レントゲン撮影,理学検査を行い,その結果から上腕骨小頭障害群(以下O群)と,健常群(以下N群)528名に分類し,比較検討を行った。上腕骨小頭障害の判定は,両側の肘関節に対し超音波エコー(日立アロカメディカル社製ProSoundα7)と,3方向のレントゲン撮影を施行し,医師の診断により行った。遠投距離については,事前に各チームに依頼し,C級軟式ボールを使用し,助走制限のない条件下で距離の計測を行い,回答があったものを集計した。【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に沿って,事前に配布した検診内容の案内書に研究目的を明記し,各家庭に配布した上で同意に基づいて参加申し込みをいただき,倫理的配慮を行った。また当院倫理委員会の承認を得た。【結果】O群33名,N群528名であり,O群は全体の5.88%であった。遠投距離は,O群は20名,回答率60.6%,N群は309名,回答率58.5%の回答を得た。結果は,全体ではO群45.71±8.67m,N群43.35±10.25mであった。小学6年生ではO群56.52±9.80m,N群50.74±9.04m。小学5年生ではO群45.84±3.54m,N群44.13±7.41m。小学4年生ではO群41.62±6.80m,N群36.85±6.93m。小学3年生ではO群33.70±3.82m,N群30.61±6.79mであった。【考察】遠投距離は各学年ともO群で高く,O群の方が高い投球能力を示した。またアンケート結果から,野球経験年数もO群3年1ヶ月,N群2年11ヶ月と,O群でやや長い傾向にあった。さらに,投手経験においてもO群100%,N群では73.14%であった。今回の検討から,上腕骨小頭障害群は,早い段階から野球を始め,高い投球能力を有するものに生じる傾向があった。つまり,低学年から野球を開始し,繰り返しの動作により動作を習得してきたことや,投手や捕手といった投球する機会の多いポジションにつくことは,肩,肘関節に負荷がかかりやすいことが考えられた。【理学療法学研究としての意義】今回,主に上腕骨小頭障害と遠投距離との関連に関して検討を行ったが,上腕骨小頭障害と関連の大きい理学所見なども明らかにできれば,さらなる障害予防につながると考えられ,今後の検討課題としたい。
著者
吉澤 文寿 太田 修 浅野 豊美 長澤 裕子 李 東俊 金 鉉洙 薦田 真由美 金 慶南 金 恩貞 李 洋秀 山本 興生 ミン ジフン 成田 千尋 李 承宰 李 洸昊 金 崇培
出版者
新潟国際情報大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

この研究では、日韓国交正常化問題資料の整理及び刊行作業を行った。そして、日本、韓国、米国などの公文書館、資料館で収集した資料を用いて、韓国からの研究者の協力を得て、研究会、パネルディスカッション、シンポジウムを開催した。その結果、日韓国交正常化交渉で議論された請求権および歴史認識問題に関する論点について、国交正常化以後の時期を含めた展開を視野に入れつつ、日米韓三国それぞれの立場から、相応の責任が生じているという一定の見通しを提示することができた。
著者
太田 修司
出版者
日本基督教学会
雑誌
日本の神学 (ISSN:02854848)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.32, pp.68-88, 1993-10-05 (Released:2009-10-23)
参考文献数
23