著者
宮原 勇 MIYAHARA Isamu
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集. 哲学 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.45-73, 2015-03-31

It has been widely admitted that the main text of Husserliana Bd. X is very difficult to interpret consistently because of its compilation. The first version of the main text appeared in one of the Jahrbuch (1928) collected from various Husserl's manuscripts written in a comparatively wide period, and edited by Edith Stein and Martin Heiddeger in an arbitrary way. At last in the year 2013, the PhB version of Husserliana Bd. X was published by Rudolf Bernet with a long introduction, in which he confirms the date of each manuscript. So we investigate the textual genesis of it and the whole structure and relations of the problems concerning the time-consciousness on the basis of such a textual criticism. Especially we propose a new interpretation of the diagram of time-consciousness of §10 and its text, namely; Husserl's famous diagram originated in the diagram drawn by Franz Brentano, which we can know through the report by Carl Stumpf. We conclude that it is impossible to understand the phrase 'die stetige Reihe der Ordinaten' in the text of §10 without knowing Brentano's diagram.
著者
宮浦 國江 宮原 勇
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

認知語用論の理論構築と実証的研究を進める中で、知識構造としてのストーリー、言語使用場面では、複数解釈可能性を示すマルチ・ストーリー・モデルの有効性が明らかになった。記号体系の一部としてストーリーを捉えることで、形態論、統語論との連続性が確認された。接辞-ish,-likeなどの分析をベースに、メタファ、メトニミ研究の陰に隠れがちなシミリに注目し、参照点構造によるレトリック戦略について論ずると共に、形容詞に見られる主観性、客観性を考察した。
著者
瀧口 徹 カンダウダヘワ ギターニ ギニゲ サミタ 宮原 勇治 平田 幸夫 深井 穫博
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.513-523, 2008-10-30
被引用文献数
1

本研究の目的は,発展途上にあって多宗教,多民族国家の一つであるスリランカにおける社会経済的要因と糖分摂取,歯磨き習慣,フッ化物歯磨剤および定期的歯科受診の4つの歯科保健行動との関連を分析することである.対象の西プロビンスは同国の9省(プロビンス)のうち管内の市町村間で最も社会経済的多様性がある.スリランカ国のうち最も都市化した西省の21小学校の12歳児男女949名が無作為抽出され,無記名自記式質問票を担任の監督のもと各家庭に配布し回収した.性別,地域差,民族,父母学歴,職業,収入,児童数,因子分析による社会経済的6因子,歯科保健情報源,および定期的歯科受診の10分類の要因系と前述の4種類の歯科保健行動との関連を多重ロジスティック回帰分析により分析し4つの歯科保健行動の要因系の違いを比較した.その結果,オッズ比が2.0以上を示した要因はタミール族がショ糖含有食品を制限していることが最大オッズ比(exp(-B)=5.44)を示し,次いでオッズ比が大きいものは最多民族であるシンハラ族のフッ化物歯磨剤使用(2.34)および歯科保健情報源としてのテレビ(2.32),生活必需品充足度(因子分析第1因子)と食間でのショ糖添加(2.16),シンハラ族の定期的歯科受診(2.11)であった.高有意性(p<0.001)を示す関係は6つあり,女性の歯磨き励行,生活必需品充足度と食間でのショ糖添加,ショ糖添加紅茶飲用およびフッ化物歯磨剤使用,定期的歯科受診と食事時・食間のショ糖追加摂取および歯磨き励行との関係であった.また2つ以上の歯科保健行動にかかわる指標は,民族,父親の学歴,生活必需品充足度および定期的歯科受診の4つであった.以上,本研究により性差,民族,父の学歴,生活必需品充足度および定期的歯科受診の5つが歯科保健計画策定,キャンペーンや活動に際して注目すべき要因であることが示された.
著者
瀧口 徹 カンダウダヘワ ギターニ ギニゲ サミタ 宮原 勇治 平田 幸夫 深井 穫博
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.524-533, 2008-10-30
参考文献数
13
被引用文献数
2

本研究の目的はスリランカの12歳児DMFTの多寡に有意な歯科保健行動要因と社会経済的要因を確定し,重要な少数の予測要因に絞ることである.データはスリランカ国の西プロビンスの949名の学童からなる.3名の歯科医師がWHOの基準によって歯科健康診査を行った.DMFTを0と1以上の2区分にした指標を多重ロジスティック回帰分析(MLRA)の従属変数として用いた.MLRAの独立変数は4種類の歯科保健行動(4-DHBs),すなわちショ糖含有の食品もしくは飲料,歯磨き習慣,フッ化物歯磨剤使用,定期的歯科医療機関受診等,10種類の社会経済的要因からなっている.その結果,変数減少法によるMLRAで最終モデルと各変数のオッズ比が得られた.DMFTの分布は指数関数的な減少傾向を示した.男女間および3民族間のDMFTの違いは有意でなかった.フッ化物歯磨剤がDMFTに関連した最も影響力の強い保健行動であり,一方,最も重要な社会経済的要因は民族の違いであった.4-DHBsの組合せの違いは伝統的な宗教的な慣習や嗜好に由来するように思われ,う蝕に対して時に相加的効果,時に相殺的効果を及ぼすと考えられる.対象プロビンスとスリランカ全体の経済的発展に伴って将来のう蝕が増加する可能性は関連データの不足のため否定できない.それゆえ,今回明らかになったう蝕の要因をモニタリングし,西プロビンスの非常に低いDMFTの原因を解明するための疫学的研究が必要である.
著者
宮原 勇
出版者
京都大学哲学論叢刊行会
雑誌
哲学論叢 (ISSN:0914143X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.55-64, 1984-07-01
著者
宮原 勇 宮浦 国江
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

研究代表者宮原は分担者宮浦と共同で「認知言語学」(Cognitive Linguistics)と現象学的言語論の統合の試みを行い、言語カテゴリー生成の一般理論の構築が目指された。そこでは、<カテゴリー生成の過程にとって具体的な身体的経験が根底において機能し、特に抽象的概念の形成やその理解にはメタファが深く関与している>ことが明らかとなった。また、その成果を承けて具体的に基本的な「哲学概念」を事例として、概念形成を最新の認知言語学のアナロジーやメタファに関する理論によって解明し、それぞれの基本的な哲学概念の根底に秘められている「根本的経験」の解明をするとともに、最終的にはアナロジーやメタファに関わる人間の根源的認知能力を現象学的観点から解明した