著者
家近 早苗
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.122-136, 2017-03-30 (Released:2017-09-29)
参考文献数
75
被引用文献数
2

本稿は, 2015年7月から2016年6月までに日本で発表された論文や著書等における学校心理学に関する研究を中心にその動向を概観した。その結果, 今年度の学校心理学分野の研究は, 学校生活で困難さを持つ子どもへの支援である二次的・三次的援助サービス(いじめ・不登校・学校適応)に関する研究が多く見られたが, その他にも一次的援助サービスである「授業づくり・心理教育」, 「援助サービスの担い手の連携」, 「教師の成長」などが研究されていることが理解できた。そして, これらの研究は, 「チーム学校」の3つの提案を支え, 促進する可能性があることが見出された。一次的援助サービス「授業づくり・心理教育」の研究は, アクティブ・ラーニングなどの概念の明確化や指導方法, それを支える子どものコミュニケーション力などに貢献し, 二次的・三次的援助サービス(いじめ・不登校・学校適応)の研究は困難さを持つ子どもの学校生活への適応に貢献する。「援助サービスの担い手の連携」の研究は, 教師と専門スタッフの連携・役割を示すことで体制づくりに貢献する。さらに「教師の成長」の研究は, 「チーム学校」における人材育成に貢献する可能性がある。
著者
家近 早苗 石隈 利紀
出版者
日本学校心理学会
雑誌
学校心理学研究 (ISSN:13465732)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.57-68, 2011-12-20 (Released:2020-03-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本研究の目的は,コーディネーション委員会の機能尺度(中学校版)を作成し,その構造と信頼性及び妥当性を検討することであった。教師5名への半構造化面接の回答と特別支援教育コーディネーター44名に対する自由記述調査の結果から,コーディネーション委員会の機能に関する41項目を収集,選定した。これらの項目について調査を実施し,中学校教師432名の回答から,コーディネーション委員会の機能尺度は,①個別のチーム援助の促進機能,②コンサルテーションおよび相互コンサルテーション機能,③マネジメントの促進機能,④学校・学年レベルの連絡・調整機能の4つの下位尺度で構成されていることが示された。さらに,尺度の信頼性と妥当性の検討を行った結果,各下位尺度についてある程度の信頼性と妥当性があることが確認された。