著者
中澤 達哉 近藤 和彦 森原 隆 小山 哲 小森 宏美 池田 嘉郎 古谷 大輔 小原 淳 阿南 大
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、「王のいる共和政」の国際比較を通じて、近代ヨーロッパ共和主義の再検討を行った。この結果、ハンガリー、ドイツ、ポーランド、スウェーデン、オーストリアにおいて、「王のいる共和政」というジャコバン思想と運動が存在したことを解明した。さらに、これらの地域における「王のいる共和政」論の源流を、16世紀の政治的人文主義(political humanism)による古代ローマ共和政の近世的再解釈に見出した。加えて、この思想が啓蒙絶対王政を正当化するための主導的原理として機能したことを実証した。このようにして、この原理が1790年代の中・東欧において広範に拡大することになったのである。

23 0 0 0 OA 第2回 論理構成

著者
小山 哲男
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.449-455, 2020-05-18 (Released:2020-06-13)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
小山 哲
出版者
日本スラヴ・東欧学会
雑誌
Japanese Slavic and East European studies (ISSN:03891186)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.1-20, 2008-03-30

現在、ラテン語は日常生活で用いられる言語ではない。にもかかわらず、ポーランドでは、「ラテン語文化」(latinitas)を基盤とする文化圏に帰属しているという感覚は、今日なお根強いものがある。この帰属意識は、近世(16〜18世紀)のポーランド・リトアニア共和国の文化的な遺産に深く根ざしたものである。本稿では、近年の社会史・政治文化史研究の成果をふまえながら、16・17世紀のポーランド・リトアニアにおける「生きた言語」としてのラテン語の文化的・社会的機能について再考した。近世のポーランド・リトアニアに滞在した外国人は、ポーランドの貴族層(シュラフタ)が幼少時からラテン語を熱心に学んでいると記している。じっさい、17世紀初頭のある少年貴族の肖像画には、彼が学んだラテン語の書物(キケロ、セネカ、ウェルギリウス、オウイデイウスなど)が描きこまれている。貴族層のラテン語熱は、16世紀の人文主義の興隆を背景とする比較的新しい現象であった。16世紀から17世紀前半にかけて、シュラフタは子弟を西欧に留学させ、古典語と修辞学を学ばせた。また、16世紀後半から共和国各地に創設されたイエズス会の学校は、ラテン語の実践的な運用能力を高める教育を行ない、人気を博した。多様な言語集団からなるポーランド・リトアニア共和国では、ラテン語はポーランド語と並ぶ重要な公用語であった。ラテン語の知識は、共和国の支配身分であるシュラフタにとって、宮廷・議会・法廷などで活動するために不可欠の教養であった。また、古代ローマの共和政を理想とするシュラフタの国家観も、ラテン語文化との一体感を強める要因となった。シュラフタは、演説や書簡でしばしばラテン語とポーランド語を混用する独特な文体を用いた。ラテン語の挿入は、彼らの発言の「貴族らしさ」を高める効果をもっていた。当時の史料には下位身分のあいたでもラテン語が通用したという証言があるが、彼らのラテン語は一種の「ピジン語」であったと考えられる。また、ラテン語は、女性にはふさわしくない言語であるとみなされていた。このように、多民族・多言語国家としての共和国において、ラテン語の知識は、支配身分であるシュラフタを文化的に統合する要素の1つであった。他方で、ラテン語は、貴族男性を女性や下位身分の人びとから区分する差異化のコードとしても機能した。ラテン語はまた、共和国の対外的なコミュニケーション言語として重要な役割をはたすと同時に、東方正教圏に人文主義が波及するさいの媒介語ともなった。近世ヨーロッパの東部辺境においてラテン語が担っている多様な機能は、近代的な国民言語が成立する以前の社会における古典語の役割、ヴァナキュラーな言語と古典語の関係、等の問題について、より広範な比較史的検討を促している。
著者
倉地 卓将 村瀬 香織 西出 雄大 小山 哲史 佐藤 俊幸
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.122-127, 2013

注意欠陥多動性障害(ADHD)は多動性、不注意、衝動性により特徴づけられる主要な精神疾患である。この疾患は犬においても確認されている。この疾患に対して頻繁に使用されるメチルフェニデートは、ドーパミントランスポーターに作用して遊離ドーパミン量を増加させるため、ドーパミントランスポーターのADHD発症に対する影響が注目されている。ドーパミンはADHDにおいて重要な役割を担っているため、22頭のビーグル犬を対象にドーパミントランスポーターの遺伝子であるSLC6A3のDNA配列を決定した。ADHDの評価については、行動評価アンケートの記入を飼育者に依頼した。SLC6A3遺伝子の4ヶ所で多型が確認された。A157Tの遺伝子型がAAの犬、G762Aの遺伝子型がGGの犬、および2歳以下の犬は注意欠陥の点数が高かった。また、2歳以下の犬は自発的活動性と衝動性の点数も高かった。これらの結果は、犬のADHDとドーパミントランスポーターに関連があることを示唆する。しかし、どのような機序によるものかを明らかにするためには、さらなる研究が必要である。
著者
小山 哲央 永野 正行
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.22, no.50, pp.17-22, 2016-02-20 (Released:2016-02-20)
参考文献数
11

The permanent ground displacement adjacent to the seismic fault is of great interest to many earthquake and structural engineers. The thin layer method is one of the advantageous calculation methods for the dynamic Green’s function in layered soil, which can also be applied to the static problem in terms of a summation of the eigenmodes. Evaluation of ground displacement due to seismic faults requires stress component calculation, which is firstly verified. We use improved calculation method to calculate stress components using secondary elements. Finally, permanent ground displacements are verified to show the feasibility of the proposed calculation methods by comparing with rigorous solutions.
著者
飯泉 達夫 矢崎 恒忠 加納 勝利 小磯 謙吉 小山 哲夫 東條 静夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.878-885, 1986

ヒト腎細胞癌20症例よりえられた組織を対象としてその細胞骨格のうち,中間径フェラメソト蛋白質(サイトケラチン,ピメンチン)についてモノクローナル抗体を用いる蛍光抗体法,蛍光染色法により検討を行い以下の結果をえた.1)正常腎組織ではサイトケラチンは尿細管上皮細胞に,ビメンチンは間質細胞に認められた.2)ヒト腎細胞癌の中間径フィラメントではサイトケラチンは癌細胞に65%,ピメンチンは癌細胞に75%,間質細胞に65%証明された.3)サイトケラチンは腎癌細胞の異型度,浸潤度が進むにつれてその出現頻度が低下し統計学的に有意であった.4)以上より中間径フィラメントは腎癌細胞の分化と進展を推定する上で有力な指標であると考えられた.
著者
山縣 邦弘 小山 哲夫 小林 正貴 成田 光陽
出版者
Japanese Society of Nephrology
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.32, no.10, pp.1045-1052, 1990

This study was undertaken to analyze the mechanisms of immune complex formation in Heymann nephritis. We isolated two different RTE antigens by gel filtration and prepared rabbit antisera against these antigens. By the indirect immunoflurescence method using normal rat renal tissues, the 65, 000 molecular weight antigen (=β) was observed not only in RTE, but also in the glomerular epithelium, epithelium of the small intestine, liver and spleen. On the other hand, the 35, 000 molecular weight antigen (=γ) existed in RTE and epithelium of the small intestine. When rats were injected intravenously with rabbit antiserum against β, glomerular depositions were observed within two hours. In rats injected with rabbit antiserum against r, no glomerular deposition was seen with-in 2 days, but fine granular depositions were observed after 6 days. When rat kidneys were perfused with rabbit antiserum against γ in saline by a single pass method, no glomerular deposition was seen. However, in rat kidneys perfused with preformed soluble γ-anti γ IC, fine granular depositions along the capillary walls were seen soon after the perfusion. Further the antigen which was reacted with anti γ antiserum was isolated from normal rat serum by immuno-affinity chromatography. These facts suggest that the mechanisms of IC formation may be due to not only in situ immune complex formation but also circulating immune complex deposition in Heymann nephritis.
著者
澤木 幸子 蔡 〓 吉田 行輝 武田 徹 猪俣 公宏 小山 哲 石倉 忠夫
出版者
中京大学
雑誌
中京大学体育学論叢 (ISSN:02887339)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.53-58, 1996-10-31

The purpose of this study was to investigate the influence of an assisting mark, The a cross (a vertical line and a horizon line), which was put on the target to stabilize aiming in archery. Subjects in this study were nine male and one female university archers. They were required to aim at the center of the target for 5 sec. as in archery competition. Dependent valuables were frequency, angle of eye movement and eye fixation time. This study assumed that the presense of a cross on the target makes it easier to aim than under normal conditions. Hypotheses were as follows : (1) Frequency of eye movement for the cross condition is less than that for normal condition in aiming. (2) Eye fixation time for the cross condition is longer than that for normal condition in aiming. (3) Angle of eye movement on cross line condition is smaller than that for normal condition in aiming. The results of analysis indicated that the three hypothesizes were supported and that subjects focused attention on the center of the target when the cross was present on the target.