著者
安原 宏 小山 法孝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.1449-1455, 1995-06-15

近年、計算機を用いた文書整形技術は格段に進歩してきた。TEXと呼ばれる自動組版システムやPOSTSCRIPTと呼ばれる文字図形の記述言語の出現で電子出版が容易にできるようになった。これらの技術を利用すると従来の日本語行組版を変えるような新しい試みが可能となる。本論文では、日本語のべた詰め表記に対して欧米言語で取られているような単語分かち書きに近い手法の文書整形を提案し、実験システムの概要を述べる。整形処理は整形規則に基づいて実行しており、文書の種類によって異なる整形を施すことが可能となる。整形規則は単語や文字のサイズ、単語や文字の間隔を単語の見出しや品詞、構文構造などを用いて記述するため自然言語処理技術が必須となる。これらの規則を組み合わせると特定の単語を大きくしたり、助詞を小さくしたり、平仮名の続く文節の間には少し隙間を入れたりすることが可能になる。実験の結果、従来のモノスペース組版と比較してプロポーショナル組版の持つ読みやすさや自然さを出すことが可能になった。