著者
小林 盾
出版者
成蹊大学文学部学会
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
no.47, pp.157-164, 2012-03

この論文では、人びとが恋愛をどのようにはじめて、それを結婚にどう結びつけているのかを、ソーシャル・キャピタルの視点から検討する。そうした恋愛の壁と結婚の壁における社会的格差を分析することで、家族形成プロセスを解明し、少子化防止にどのような支援が必要かをかんがえる。そこで、ランダムサンプリング調査によって恋愛経験を計量的に測定した。その結果、恋愛の壁をこえて恋人と交際するのに教育や職業といった社会階層は影響をもたず、恋愛はすべての人に平等にひらかれていた。それよりむしろ、成人前の友人関係、部活動、恋人といったソーシャル・キャピタルがその後の交際人数を増加させた。さらに、交際人数が多ければ、とりわけ1人とでも付きあったことがあれば、結婚の壁を乗りこえるチャンスがふえた。これらの結果は、ソーシャル・キャピタルを蓄積することが、恋愛経験や家族形成に役だつことを示唆する。
著者
小林 盾 能智 千恵子
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.70-83, 2016 (Released:2016-08-06)
参考文献数
19
被引用文献数
3

この論文は,人びとが婚活(結婚のための活動)をするとき,どのような要因が結婚を促進したり阻害したりするのかを検討する.これまで,婚活について事例分析は豊富にあるが,計量分析がなかった.そこで,愛媛県の事業であるえひめ結婚支援センターを対象として,約4年間における登録者全員4,779人の推移をデータとした.結婚による退会のハザード率を従属変数としたイベント・ヒストリー分析をおこなった.その結果,(1)男性では,教育・正規雇用・収入という社会経済的地位が高いほど,結婚のチャンスが上昇した.女性では,これら社会経済的地位の効果がなかった.(2)年齢が若いほど,また結婚経験があるほど,男女ともに結婚チャンスが上昇した.(3)他に男性では,身長が高いほど結婚チャンスが上昇した.したがって,男性では働き方を中心とした地位(いわばスペック)が,女性では年齢が,結婚のおもな規定要因となっていた.実践的には,男女とも婚活をすこしでもはやくスタートさせることが重要であろう.
著者
小林 盾
出版者
成蹊大学大学院文学研究科
雑誌
成蹊人文研究 (ISSN:09191488)
巻号頁・発行日
no.27, pp.57-79, 2019-03

この論文は、キャバクラにおける女性サービス提供者(キャバクラ嬢)が、仕事からなにを獲得しているのかを描く。先行研究では(収入にくわえ)承認感を得るとされるが、それ以外の可能性や多様性については未解明であった。そこで、合理的選択理論の立場にたって、キャバクラ嬢が仕事から人的資本や社会関係資本を獲得し、転職や収入増といったその後の地位達成に活用すると仮定する。データとして現役または元キャバクラ嬢8 人を対象に、インタビュー調査を実施した。語りを分析した結果、(1)対象者のすべてのキャバクラ嬢が、(コミュニケーション力、美意識、飲酒、忍耐力などの)人的資本と(情報、人脈、恋人などの)社会関係資本を得ていると語った。(2)ただし、承認感は獲得したと語る人とそうでないという人がいて、もともと自信のある人は承認感を必要とせず、自信のない人は必要としていた。したがって、キャバクラ嬢という仕事に、承認感といういわばロマンチックな報酬だけでなく、資本獲得というしたたかな合理性も潜むことが明らかになった。これらは、この研究ではじめて明らかにされた。先行研究では、あたかもキャバクラ嬢なら一様に承認感をもつように描かれてきたが、実際には多様なことがわかった。
著者
小林 盾 谷本 奈穂
出版者
成蹊大学文学部学会
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
no.51, pp.99-113, 2016-03

この論文では、人びとの容姿がキャリア形成、家族形成、心理にどう影響するのかを分析することで、社会的不平等における容姿(ルックス、身体的魅力)の役割を解明する。そこで、人びとは美容資本に時間や労力を人的資本として自分に投資し、地位達成の向上などで回収すると仮定した。エビデンスとして、ランダムサンプリング調査を実施してデータ収集した(有効回収数297人、有効回収率60.9%)。20 歳時の容姿(とくに顔)について、1下から10上の10段階で、主観的評価を測定した。分析の結果、以下が分かった。(1)容姿の分布は、男女ともにランク5と7~8の二山をもった。男女で分布に違いはなかった。(2)容姿の規定要因では、性別による違いはなかった。(3)容姿の帰結では、容姿がよいと、役職につきやすく、所得が増えた(所得は男性のみ)。多くの人から告白され、交際人数や結婚のチャンスや子どもの数が増えた。さらに、高い階層にいると感じ、自信があり、幸福だった(幸福は男性のみ)。(4)このように、男性ほど容姿の影響が強かった。これは、男性のほうが美容資本への投資が不均等なため、容姿が社会的不平等につながりやすいからかもしれない。以上から、容姿はライフチャンスを拡大させたり制約しうる。この点で、容姿は社会的不平等の一要因といえよう。
著者
小林 盾 大﨑 裕子
出版者
成蹊大学大学院文学研究科
雑誌
成蹊人文研究 (ISSN:09191488)
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-15, 2016-03

この論文では、「結婚まえの恋愛経験が、結婚のための前提条件であるのか」というリサーチ・クエスチョンを検討した。これまで、恋愛経験が量的に測定されることが、ほとんどなかった。そこで、「2015年家族形成とキャリア形成についての全国調査」を実施し、全国の20~69 歳の個人1万2007人から、初婚までの恋人人数、デート人数、キス人数、性関係人数をデータ収集した。結婚経験の有無を従属変数とし、ロジスティック回帰分析をおこなった。その結果、(1)恋愛人数が1人以上いることの効果を調べたら、男女とも恋人やキスが1人以上いると、結婚のチャンスがあがった。(2)恋愛人数の量の効果を調べたら、男性はデート人数とキス人数が、女性は恋人人数とキス人数がふえるほど、結婚のチャンスがあがった。したがって、結婚まえの恋愛経験のうちとくに恋人とキスが、結婚のための前提条件とはいえないまでも、促進要因となっていることがわかった。
著者
小林 盾
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.81-93, 2010

この論文では,社会階層の違いがどのように食生活の違いとして現れているのかを,健康への影響に着目して調べた.食生活として野菜と海藻を事例とした.分析の結果,高階層の人ほど野菜と海藻をよく食べ,そうした人たちほど健康と感じていた.野菜と海藻は,バランスのとれた食生活を象徴していると考えられる.これまで,社会階層が食生活にどう影響するのかは分かっていなかった.そこで,東京都西東京市在住の35~59歳女性を対象として,郵送調査を実施してデータを得た(回収人数822人,回収率68.7%).分析の結果,以下のことが明らかになった.第一に,高階層の人ほど野菜と海藻を毎日食べていた.たとえば,高校卒のうち15.4%が毎日海藻を摂っていたのにたいして,大卒だと27.5%,大学院卒だと50.0%であった.第二に,野菜や海藻を毎日食べる人ほど,健康と感じていた.野菜と海藻のどちらも毎日は食べない人のうち,健康に幸せまたはやや幸せと感じるのは81.2%,両方を毎日食べる人のうちでは91.1%だった.第三に,教育から健康への影響を調べた結果,野菜と海藻の摂取が媒介変数となっていた.第四に,みそ汁摂取と朝食摂取が効果をもたなかったので,伝統的な食生活や規則正しい食生活が,健康を促すわけではなかった.
著者
金井 雅之 小林 盾 大浦 宏邦
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.205-225, 2007-10-31 (Released:2008-01-08)
参考文献数
50
被引用文献数
2

近現代社会においては、個人の自由意志によって加入や退出が可能な、企業やNPO のようなアソシエーション型組織が、人びとの生活に重要な役割を果たしている。こうした組織において、組織目標の達成のために十分な貢献をせず他の成員の貢献にただ乗りするフリーライダーを抑制するためのメカニズムを、進化ゲーム理論的に分析した。具体的には、これらの組織が社会の中で十分多く存在し、個人はそうした組織間を自由に移動することができ、ただし移動には一定のコストがかかる、と仮定した場合に、フリーライダーが増加するのを防ぐための条件を探った。 理論的知見は以下の4 つである。第一に、このモデルでフリーライダーを抑制するためには、組織間の移動すなわち対戦相手の変更にコストがかかるという仮定が不可欠である。第二に、相互作用が十分多い回数おこなわれるという仮定も必要である。第三に、成員の貢献が組織全体で十分大きな相乗効果をもつような組織構造になっていることが重要である。第四に、一般に組織の人数は小さいほうが協力を達成しやすいが、人数が十分多いと仮定した場合でもコストのかかる移動が可能であればフリーライダーの侵入を阻止できる。 さらに、このモデルの妥当性を検証するために、労働市場における転職に着目して、職場のフリーライダーとの関係を分析した。その結果、もっとも主要な第一の理論的知見は、おおむね支持された。
著者
小林 盾
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.81-93, 2010-03-31 (Released:2010-10-03)
参考文献数
24

この論文では,社会階層の違いがどのように食生活の違いとして現れているのかを,健康への影響に着目して調べた.食生活として野菜と海藻を事例とした.分析の結果,高階層の人ほど野菜と海藻をよく食べ,そうした人たちほど健康と感じていた.野菜と海藻は,バランスのとれた食生活を象徴していると考えられる.これまで,社会階層が食生活にどう影響するのかは分かっていなかった.そこで,東京都西東京市在住の35~59歳女性を対象として,郵送調査を実施してデータを得た(回収人数822人,回収率68.7%).分析の結果,以下のことが明らかになった.第一に,高階層の人ほど野菜と海藻を毎日食べていた.たとえば,高校卒のうち15.4%が毎日海藻を摂っていたのにたいして,大卒だと27.5%,大学院卒だと50.0%であった.第二に,野菜や海藻を毎日食べる人ほど,健康と感じていた.野菜と海藻のどちらも毎日は食べない人のうち,健康に幸せまたはやや幸せと感じるのは81.2%,両方を毎日食べる人のうちでは91.1%だった.第三に,教育から健康への影響を調べた結果,野菜と海藻の摂取が媒介変数となっていた.第四に,みそ汁摂取と朝食摂取が効果をもたなかったので,伝統的な食生活や規則正しい食生活が,健康を促すわけではなかった.
著者
小林 盾
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.163-176, 2017 (Released:2017-07-19)
参考文献数
39

この講座は,合理的選択理論がどのような理論構造をもち,どのように社会現象へと応用できるのかを考える.もともと合理的選択理論は人びとの行動を「個人が合理的に選択したもの」と仮定する.しかし,現在の合理的選択理論は,狭い利己的個人像に限定されず,ネットワークや文化を考慮するなど,より多様で豊かな人間像を想定するようになってきた.そこで,この講座ではまず合理的選択理論の理論構造を整理し,人的資本,社会関係資本(ソーシャル・キャピタル),文化資本という3つの資本投資メカニズムを取りあげる.つぎに,どうすれば合理的選択理論を用いて,実証的な仮説を立てられるかを考える.合理的選択理論は理論構造が明確で体系的なため,シャープな仮説を検証可能な形で導出できる.そのため,じつはこの理論は計量分析と相性がよい.
著者
小林 盾 内藤 準
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.179-189, 2016 (Released:2016-08-06)
参考文献数
7
被引用文献数
4
著者
小林 盾
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.187-202, 2013 (Released:2014-09-01)
参考文献数
18

This paper sheds light on the role of mobility on cyclic processes in mobile social dilemmas. Olson argues that large groups will allow free-riders. Erhart and Keser's experiment revealed that people formed clockwise cycles of group size and cooperation when they can change groups. But they did not compare various levels of mobility. Thus, our research question is how mobility affects the cycle and the cooperative behaviors. We conducted a laboratory experiment (with 168 participants in 40 groups in 10 sessions). Three conditions (treatments) were introduced (immobile, high mobility costs, and low mobility costs conditions). We show the following findings. (i) Mobility did not change effects of size on cooperation (N=339 group-rounds). (ii) Still, mobility accelerated effects of cooperation on size (N=360 group-rounds). As people moved more easily, cooperative groups were more likely to expand. (iii) As a result, intergroup mobility accelerated the cycle (N=40 groups). Groups rotated faster when people moved more easily. (iv) However, mobility did not raise nor decline cooperation levels (N=40 groups). Therefore, to foster cooperation, first increase mobility to free cooperators. Then, restrict mobility to exclude free-riders.
著者
小林 盾
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.250-252, 1999-01
著者
小林 盾 ホメリヒ カローラ
出版者
成蹊大学文学部学会
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
no.49, pp.229-237, 2014-03

この論文では、生活満足度が主観的幸福感と一致しているのかを検討する。ともすれば、生活に満足している人は、幸福であるとみなされがちである。しかし、このことは自明ではない。満足していても不幸とかんじるかもしれないし、不満があっても幸福かもしれない。そこで、2013年社会と暮らしに関する意識調査(SSP-W2013-2nd)をデータとしてもちいて、分析をおこなった。その結果、以下がわかった。(1)満足と幸福が一致しない人は、全体で23.4%いた。そのうち「生活に不満があるのに幸福」というポジティブな不一致の人は、不満な人のうち3割いた。とくに60代で45.9%と多かった。逆に「満足しながら不幸」というネガティブな不一致は、1.5 割いた。とくに未婚者で27.9%と多かった。(2)女性ほど、年配者ほど、既婚者ほど、世帯収入が多いほど、「不満だが幸福」というポジティブな不一致がふえ、「満足だが不幸」というネガティブな不一致がへった。ただし、学歴や従業上の地位による違いはほとんどなかった。以上から、生活満足度と主観的幸福感はたしかに似た概念であるが、同一視するには慎重であるべきだろう。
著者
小林 盾 能智 千恵子
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.70-83, 2016

この論文は,人びとが婚活(結婚のための活動)をするとき,どのような要因が結婚を促進したり阻害したりするのかを検討する.これまで,婚活について事例分析は豊富にあるが,計量分析がなかった.そこで,愛媛県の事業であるえひめ結婚支援センターを対象として,約4年間における登録者全員4,779人の推移をデータとした.結婚による退会のハザード率を従属変数としたイベント・ヒストリー分析をおこなった.その結果,(1)男性では,教育・正規雇用・収入という社会経済的地位が高いほど,結婚のチャンスが上昇した.女性では,これら社会経済的地位の効果がなかった.(2)年齢が若いほど,また結婚経験があるほど,男女ともに結婚チャンスが上昇した.(3)他に男性では,身長が高いほど結婚チャンスが上昇した.したがって,男性では働き方を中心とした地位(いわばスペック)が,女性では年齢が,結婚のおもな規定要因となっていた.実践的には,男女とも婚活をすこしでもはやくスタートさせることが重要であろう.
著者
森田 厚 小林 盾 川端 健嗣
出版者
成蹊大学文学部学会
雑誌
成蹊大学文学部紀要 (ISSN:05867797)
巻号頁・発行日
no.54, pp.1-10, 2019-03

この論文では、理美容師の志望者に着目し、理容師志望者と美容師志望者、男性と女性とで、志望動機に違いがあるのかを検討する。さらに、男性の理容師志望者、女性の理容師志望者、男性の美容師志望者、女性の美容師志望者の4 グループで、志望動機が異なるかを調べる。データは、首都圏にある理美容専門学校で、量的調査を実施して収集した(有効回収数は268 人、回収率は当日の出席者全員)。なぜ理容師(または美容師)になりたいと思ったかを、自由回答で記述してもらい、計量テキスト分析した。その結果、理容師志望者と美容師志望者、男性と女性、4 グループで、志望動機に違いがあった。とくに、男性の理容師志望者には家業が、女性の理容師志望者には技術修得が、男性の美容師志望者には憧れ・向いてることが、女性の美容師志望者には人を喜ばせることが、特徴的な志望動機となっていた。したがって、理美容師への動機は多様であり、グループごとに特徴があった。このことは、理美容師の入職や転職において、グループごとに異なるサポートが必要であることを示唆する。
著者
小林 盾 大林 真也
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.304-317, 2016

この論文は, 分析社会学を実証研究へと応用する. そのために, 美術展や小説などの文化活動を事例とし, 人びとはオムニボア(雑食)的で多趣味なのか, ユニボア(偏食)的で偏っているのかを検討することで, 文化の階層構造(文化格差)を解明する. 分析社会学のDBO理論によれば, 人びとは「~したい」という欲求(Desire)と「自分や世界は~だろう」という信念(Belief)を持ち, 客観的条件である機会(Opportunity)に制約される. そこで, 「自分は自由に文化活動できる」という信念を持ち, さらに等価所得が高く実行機会に恵まれた人ほど, 文化的オムニボアとなると仮説を立てた. データとして2015年階層と社会意識全国調査(第1回SSP調査)を用い, 文化的オムニボアを高級文化(クラシック音楽と美術展)と中間文化(小説)の頻度の幾何平均で測定した(分析対象2,769人). その結果, (1)分布から, オムニボアが52.5%いた. (2)回帰分析における教育, 等価所得の主効果から, 高い階層的地位が文化的オムニボアを促進した. (3)信念(主観的自由)と機会(等価所得)の交互作用効果から, 信念と機会の両立が文化的オムニボアを促進した. 以上より, 日本社会における文化活動は, ブルデューの主張するような排他的なものではなかった. 分析社会学を用いたことで, 人びとの合理性を仮定する必要がなく, どうじに信念という主観的心理的要因の役割が明確になった.
著者
小林 盾 七條 達弘
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.142-155, 2017 (Released:2017-07-19)
参考文献数
3
著者
小林 盾 山田 昌弘 金井 雅之 辻 竜平 千田 有紀 渡邉 大輔 今田 高俊 佐藤 倫 筒井 淳也 谷本 奈穂
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

この研究は,「人びとがどのように恋愛から結婚へ,さらに出産へと進むのか」を量的調査によってデータ収集し,家族形成における格差を解明することを目的としている.そのために,「人びとのつながりが強いほど,家族形成を促進するのではないか」という仮説をたてた.第一年度に「2013年家族形成とキャリア形成についての全国調査」をパイロット調査として(対象者は全国20~69歳4993人),第二年度に「2014年家族形成とキャリア形成についてのプリテスト」(対象者204人)を実施した.そのうえで,第三年度に本調査「2015年家族形成とキャリア形成についての全国調査」を実施した(対象者1万2007人).