著者
小泉 洋一
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

特定宗教が社会において圧倒的な支配力を持つフランスおよびトルコでは、公的領域から宗教を排除することによって政教分離を憲法原則とした。両国ともその際国家による宗教統制を伴いながらそれが行われた。フランスでは宗教の自由が尊重されるとともに社会における宗教的多様性が進むとともに国家の宗教的中立性が重視されたが、トルコでは国家による宗教統制を伴う国家の非宗教性に重点が置かれ、今日でも国家の宗教的中立性は軽視されている。わが国の神道指令と日本国憲法における政教分離を分析する際には、国家の非宗教性および宗教的中立性に注目することが有益である。
著者
長谷川 憲 山元 一 大津 浩 小澤 隆一 小泉 洋一 村田 尚紀
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、冷戦終了後の国際関係が、急速な国際化現象と地域化現象の中で進展している状況の中で、国家および国際機関の役割が変化する開題について検討してきた。具体的には、国際化現象の下での憲法および公法理論の変容(政府権限の国際機関または地方機関への委譲、国際機関の民主主義的コントロールなどの問題)、国家機関と国際機関との関係の変容(国際機関、とりわけ押収人権裁判所・国際司法裁判所・国際刑事裁判所など超国家的裁判機関による政府権限のコントロールの問題、欧州委員会・欧州議会などの権限の正当性の問題)、市民生活の変容(欧州市民権・亡命権・庇護権・経済的諸権利・発展の権利・人格権など基本的人権諸領域の担手・保障手段の変化の問題)、などに関して研究を進めた。本年度の成果としては、2004年8月30日より9月4日の日程で、「公共空間における裁判権(Le pouvoir juridictionnel dans l' espace public)」をテーマとする国際シンポジウムを、工学院大学・関東学院大学・東北大学・東北学院大学で開催した。本研究グループからは、長谷川憲が「Contentieux educatifs en milieu scolaire et droits des etudiants」、大藤紀子が「Professionali-sation et《non professionnalisation》des organes juridictionnels au Japon」などの報告を行った。また、上記のシンポジウムに関して、「公共空間における裁判権」との表題で、2006年度刊行を有信堂からめざしている。また、関東学院大学でのシンポジウムは、ジュリスコンサルタス15号に掲載された。