著者
小泉 義之
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.209-222, 2004-12-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
20

健康と病気の社会構築主義は, 生物医学モデルを批判し, 社会モデルを採用した.そして, 健康と病気を生命現象ではなく社会現象と見なした.そのためもあって, 社会構築主義において批判と臨床は乖離することになった.そこで, 健康と病気の社会構築主義は心身モデルを採用した.心身モデルとゲノム医学モデルは連携して, 心理・社会・身体の細部に介入する生政治を開いてきた.これに対して, 生権力と生命力がダイレクトに関係する場面を, 別の仕方で政治化する道が探求されるべきである.
著者
小泉 義之
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.82-94, 2013-06-30 (Released:2019-10-10)
参考文献数
5

社会(科)学の使命の一つは,システムや構造の分析であろう.システ ムや構造は,個人の意見や行動の集積以上のものである.そして,システ ムや構造は,各種の問題を作り出しては,個人の意見や行動を掻き立てる ものでもある. しかも,システムや構造は,個人の意見や行動を「民主主 義」によって掻き立て「熟議」を通して特定の解決へと縮減させるもの でもある. 本論考は, このようなシステムや構造に目を向けている三つの文献,す なわち,開沼博『フクシマの正義』,松本三和夫『知の失敗と社会』,宇野 重規・田村哲樹・山崎望『デモクラシーの擁護』を検討する. 本論考は,それら三つの文献が,再帰的近代化論とリスク社会論のフレー ムによって規定されることを示す.そして,そこにテクノクラシーとデモ クラシーの相補性があることを確認し,それは何らかの閉じた回路をなし ていることを示唆する. ただし,本論考はその閉じた回路を十分に記述してはいない.そもそ も,十分に記述することで閉じた回路を想像的に再現するべきか,それと も,その回路は実は閉じていないことを別の仕方で示すことに期待するべ きか,それがまさに開かれた問いとして残されるからである.
著者
小泉 義之
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.82-94, 2013

社会(科)学の使命の一つは,システムや構造の分析であろう.システムや構造は,個人の意見や行動の集積以上のものである.そして,システムや構造は,各種の問題を作り出しては,個人の意見や行動を掻き立てるものでもある. しかも,システムや構造は,個人の意見や行動を「民主主義」によって掻き立て「熟議」を通して特定の解決へと縮減させるものでもある.本論考は, このようなシステムや構造に目を向けている三つの文献,すなわち,開沼博『フクシマの正義』,松本三和夫『知の失敗と社会』,宇野重規・田村哲樹・山崎望『デモクラシーの擁護』を検討する.本論考は,それら三つの文献が,再帰的近代化論とリスク社会論のフレームによって規定されることを示す.そして,そこにテクノクラシーとデモクラシーの相補性があることを確認し,それは何らかの閉じた回路をなしていることを示唆する.ただし,本論考はその閉じた回路を十分に記述してはいない.そもそも,十分に記述することで閉じた回路を想像的に再現するべきか,それとも,その回路は実は閉じていないことを別の仕方で示すことに期待するべきか,それがまさに開かれた問いとして残されるからである.
著者
小泉 義之
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.209-222, 2004

健康と病気の社会構築主義は, 生物医学モデルを批判し, 社会モデルを採用した.そして, 健康と病気を生命現象ではなく社会現象と見なした.そのためもあって, 社会構築主義において批判と臨床は乖離することになった.そこで, 健康と病気の社会構築主義は心身モデルを採用した.心身モデルとゲノム医学モデルは連携して, 心理・社会・身体の細部に介入する生政治を開いてきた.<BR>これに対して, 生権力と生命力がダイレクトに関係する場面を, 別の仕方で政治化する道が探求されるべきである.
著者
村上 勝三 宮崎 隆 小泉 義之 香川 知晶 西村 哲一 安藤 正人 佐々木 周 持田 辰郎
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は、デカルト研究の世界的な仕事の一部を担い、その新しい質を提示するとともに、すべての哲学研究に新たな基礎を提供すべく、『省察』の「反論と答弁」について共同研究を行うことであった。このことを遂行するために、平成7年度から9年度までの三年間の研究の総纏めとして、今年度は、すべての個別研究を完成させるとともに、研究成果報告書を作成した。その概要は以下の通りである。1.「第一反論・答弁」および「第二反論・答弁」の校訂版を作成した。1641年の初版、AT版との異同を明らかにしながら1642年第二版を再現したものであり、世界的に見ても始めての試みである。これらは、TOKORO Takefumi, Les textes des 《Meditationes》, Chuo University Press, 1994に準拠している。2.『省察』「反論・答弁」をめぐる諸問題のテクスト的典拠を挙げ、諸家の伝統になっている、あるいはなりつつある解釈について論じる問題論的研究を完成させた。その目次的概要は次の通りである。(1)「順序・論証方式・叙述様式」(2)「デカルトの懐疑について」(3)「『省察』「反論・答弁」と「永遠真理創造」説」(4)「『省察』「反論と答弁」における「意志」を巡る議論」(5)「神に至るもう一つの道」(6)「デカルトにおける神学と哲学」(7)「反論と答弁」における「観念」について3.「第七反論・答弁」の翻訳を完成させた。これは本邦初訳である。夏の合宿への他領域の研究者、若手研究者の参加は、本研究の成果のいっそうの充実に寄与するところ大であった。
著者
小泉義之 [著]
出版者
河出書房新社
巻号頁・発行日
2003
著者
立岩 真也 天田 城介 小泉 義之 福島 智 星加 良司 上農 正剛
出版者
立命館大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2008

報告書『視覚障害学生支援技法 増補改訂版』を関係者・機関に配布。大学附属図書館と書籍のディジタル・データ化、そのデータの提供の仕組みについて協議。7月に開始されたその運用のあり方について提言すべく検証作業を行った。文字データのディジタル・データ化を巡る議論や実践の歴史を検証する研究を進めるとともに、電子書籍を巡る最近の動向を把握する作業を開始。電子書籍のアクセシビリティについて、その基本的な方向と社会的仕組みを検討し提言することを目的とする「電子書籍普及に伴う読書バリアフリー化の総合的研究」が2011年度から5年間の立命館大学グローバル・イノベーション研究機構研究プログラムに採択される(年間1000万円)。京都市内のALS等コミュニケーションの困難な人を支援する活動を継続的に行い、その記録および種々の技術に関わる情報をHPに掲載。大学院生が日本難病看護学会等で報告。2011年2月には「重度障害者コミュニケーション支援講座--難病者・重度障害者ITコミュニケーション支援技法を学ぶ」を開催。利用者・支援者が参加。全国手話通訳問題研究会、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、全日本ろうあ連盟、全国要約筆記問題研究会から参加を得た2010年3月のシンポジウム「聴覚障害者の情報保障を考える」の記録に新たな文章を加えた報告書を作成。2011年5月に刊行予定。以上の他、障害者のコミュニケーションに関わる技術・制度の歴史、関連文献、著作権に関する報道等をまとめ、ウェブサイトhttp://www.arsvi.com(→「異なる身体のもとでの更新」)に掲載、随時更新して提供している。