著者
小野 雅琴
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.68-75, 2024-01-10 (Released:2024-01-10)
参考文献数
45

広告音楽は,広告の非言語的手掛かりとして,消費者の反応に影響を与える重要な広告構成要素である。広告研究の分野では,1980年代から,広告音楽に関する研究が盛んに行われてきた。本論は,これらの膨大で多様な広告音楽研究を整序するに際して,依拠している理論基盤に着目し,広告音楽研究を,3つのカテゴリー,すなわち,(1)古典的条件付け理論を援用した研究,(2)精緻化見込みモデルを援用した研究,および,(3)処理流暢性を援用した研究に分けてレビューする。そして,レビューの結果として浮上する今後の研究の方向性として,(A)インターネット広告の音楽の効果に関する研究や,(B)消費者個人の要因やマーケティング情報の要因など,様々な要因の適合による処理流暢性の向上,すなわち,無意識的な情報処理に焦点を合わせた研究が,求められるということを指摘する。
著者
小野 晃典 小野 雅琴
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.90-100, 2023-09-29 (Released:2023-09-29)
参考文献数
12

日本全国9,000以上の駅を美少女キャラたちと周遊する位置情報連動型ゲーム「駅メモ! ―ステーションメモリーズ!―」は,最近,乗客減に悩む鉄道会社や自治体等のO2Oデスティネーション・マーケティング施策に加担するべく,当地を出身地とする美少女キャラを誕生させると共に,その美少女キャラを主人公とした短期デジタルスタンプラリーを開催することによって,このゲームに熱狂し多大な時間的・金銭的コストを喜んで旅に振り向けるゲームオタク,鉄道オタク,および美少女キャラオタクたちを,デジタルスタンプラリーの開催地に誘客し,周遊させることに成功している。本論は,「駅メモ!」による数多くの成功例のうちの数例を振り返った上で,そのO2Oデスティネーション・マーケティング・モデルとしてのポテンシャルについて議論する。
著者
小野 雅琴 清水 亮輔
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.68-78, 2018-09-30 (Released:2018-12-14)
参考文献数
28

制御焦点理論は本来,促進焦点を有する個人はポジティブな結果を重視した判断を行う一方で,予防焦点を有する個人はネガティブな結果を重視した判断を行うというテーゼを提唱する理論であるが,拡張の結果として,促進焦点を有する個人は感情的に結果を判断しようとする一方で,予防焦点を有する個人は認知的に結果を判断しようとするというテーゼも提唱されている。このテーゼを援用することによって,本論は,口コミ発信者に対する妬みが口コミ受信者による推奨製品の忌避に帰着すると説く最新の口コミ研究の主張を部分的に反駁し,促進焦点を有する個人はそうである一方で,予防焦点を有する個人はむしろ推奨製品を採用する傾向にあると主張する。消費者実験を行って収集されたデータを用いてANOVAを行ってテストしたところ,仮説は首尾よく支持された。
著者
小野 雅琴
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.65-70, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
21

「制御焦点理論」は,近年,マーケティング・消費者行動研究の分野において,多くの応用研究が行われている理論である。本論は,制御焦点理論基盤型の広告研究を,3種類に分けてレビューする。すなわち,(1)広告メッセージのフレーミングに関する制御焦点研究,(2)広告メッセージの解釈レベルに関する制御焦点研究,および,(3)広告の非言語的構成要素に関する制御焦点研究である。そして,レビューの結果として浮上する今後の研究の方向性として,立ち遅れている広告の非言語的構成要素に関する制御焦点研究の推進が必要であること,さらには,こうした広告の非言語的構成要素は,文化的背景の影響を受ける傾向が強いため,異なる文化的背景を持つ消費者を対象とした比較研究が求められることを指摘する。