著者
山田 恵美
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.263-275, 2012-12-25

幼稚園の絵本コーナー内の場所(家具配置),設定(絵本の表紙の見え方)と幼児の絵本の読み方の関係を検討した。場所と読み方の関係からは,絵本コーナーには2人が並んで絵本を広げられる大きさのテーブルと,姿勢や子ども同士の位置関係をフレキシブルに変えられるくつろげるスペースの両方が必要であることが示された。絵本を介した他児との相互作用が見られ,様々な絵本の共有の仕方に柔軟に対応できる空間を用意しておくことが重要であるといえる。設定としての表紙の見えの効果については,実際に読まれる本の多くは表紙が見えるように置かれている本であり,特にコーナーが居場所として定着していない子にとってはディスプレイに飾られた絵本があることがコーナーの利用に効果を持つことが示された。