著者
山野 哲夫 清水 充 野田 勉
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.15-21, 1998-01-30 (Released:2010-03-11)
参考文献数
11

The effects of ten so-called health teas on mice and isolated rat hepatocytes were examined. After seven oral treatments of mice with 1000mg/kg/day of lyophilisates of each sample, thymus and spleen weights, respectively were significantly decreased by tencha and banabacha. Histological examination revealed no adverse effects on these organs. However, red and white blood cell counts were significantly decreased by treatment with these two teas.With respect to the effects on isolated rat hepatocytes, lyophilisates of all samples caused dose-dependent decreases in cellular glutathione content, and, with two of them (tencha and banabacha), cell viability decreased substantially (to less than 60% of control value) at the highest dose tested (5000ppm).
著者
清水 充 野田 勉 山野 哲夫 山田 明男 森田 茂
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.215-220, 1993-09-10 (Released:2010-03-11)
参考文献数
20

化学的合成品以外の食品添加物31種36品目についてマウスおよびラットにおける急性経口毒性試験を実施し、以下の結果を得た。1) 投与量が5.0g/kg以下の用量で動物の死亡が認められた試料はパルマローザ、ボアドローズ、茶抽出物、キラヤ抽出物、ヒノキチオールの5品目であった。これらのうちキラヤ抽出物およびヒノキチオールのLD50値はいずれも2.0g/kg以下であった。2) キラヤ抽出物を経口投与したマウスでは腺胃および小腸粘膜に浮腫、出血がみられた。3) ヒノキチオールを経口投与したマウスでは間代性および強直性痙攣がみられた。4) 上記以外の試料では動物の死亡は認められなかったが、観察期間終了の剖検ではクチナシ黄色素投与による肝臓の肉眼的変化が観察された。
著者
油谷 藍子 仲谷 正 尾崎 麻子 山口 之彦 山野 哲夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.85-91, 2022-04-25 (Released:2022-06-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

2013年から2018年に大阪市内で購入した魚介加工品112検体について,加熱気化水銀計を用いて総水銀を測定した.その結果,マグロ加工品の総水銀濃度は平均0.115 µg/g(中央値0.070 µg/g)であった.中でもビンナガマグロを原材料とした加工品の総水銀濃度は高く,平均0.301 µg/g(中央値0.296 µg/g)であった.今回調査した魚介加工品の総水銀濃度はマグロ類を原材料とした加工品および混合削り節(サバ,イワシおよびアジの削り節)を除いて概ね低く,0.1 µg/g未満であった.今回の調査結果と日本人の平均的な食生活での魚介加工品摂取量から推定した体重50 kgの人の総水銀摂取量は0.13 µg/kg体重/週であり, FAO/WHO合同食品添加物専門家会議が評価した総水銀の暫定的耐容週間摂取量4.0 µg/kg体重/週の3.3%に相当する量であった.以上より魚介加工品の摂取は通常の摂食では問題ないが,妊婦が総水銀濃度の比較的高いビンナガマグロを原材料としたツナ缶を日常的に摂食した場合には食品安全委員会が評価した妊婦に対するメチル水銀の耐容週間摂取量(2 µg/kg体重/週)を超過する可能性が示唆された.
著者
清田 恭平 吉光 真人 梶村 計志 山野 哲夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.17-21, 2020-02-25 (Released:2020-04-24)
参考文献数
16

オレンジは,健康に有益な栄養成分を含む一方で,アレルギーの発症原因となるアレルゲンも含んでいる.オレンジアレルギーの発症を予防するためには,アレルゲンの摂取リスクを抑えることが重要である.そこで本研究では,果物ミックスジュースにおいて,オレンジとの組合せで嗜好性のよいパイナップルに含まれるタンパク質分解酵素ブロメラインの利用に着目した.パイナップル由来酵素を利用して,オレンジの主要アレルゲンであるCit s 2の濃度減少が可能かどうか,Cit s 2定量ELISAにより評価を行った.生鮮オレンジ果汁に対して生鮮パイナップル果汁を添加したところ,Cit s 2濃度は反応の時間や温度に依存して減少する傾向が見られた.特に,オレンジ果汁に対し1/40量のパイナップル果汁を添加して37℃30分間処理した場合,Cit s 2濃度が15%未満(定量下限値未満)に減少した.今後,慎重な臨床的検証が必要であるものの,オレンジアレルゲン低含有量の果物ミックスジュースの調理・製造方法として,本研究の応用が期待される.
著者
仲谷 正 清水 充 山野 哲夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.51-56, 2016-04-25 (Released:2016-05-20)
参考文献数
17
被引用文献数
3

和歌山県紀州灘沿岸部で採取されたキタマクラ2試料を,皮,筋肉,内臓に分割し,各組織におけるテトロドトキシン(TTX),および麻痺性貝毒(PSTs)の含有量について調査した.TTXおよびPSTsが,定量下限以上で検出された部位は,皮のみであり,筋肉および内臓では,検出限界未満(ND)または検出限界以上定量下限界未満(tr)であった.定量下限以上で検出されたPSTsは,サキシトキシン,およびデカルバモイルサキシトキシンの2成分のみであった.両試料における皮中TTXの含有量は11,000および13,000 ng/g (35および41 nmol/g)で,PSTsの含有量は168および460 ng/g (0.63および1.72 nmol/g)であった.また全毒量(TTX+PSTs)に対するTTXおよびPSTsのモル比(mol%)は,TTXで98.2および96.0%あり,PSTsで1.8および4.0%であった.キタマクラの毒の主成分は,TTXであるが,微量のPSTsも含有していることが,今回の調査結果よりわかった.