著者
鈴木 恵子 岡本 牧人 鈴木 牧彦 佐野 肇 原 由紀 井上 理絵 大沼 幸恵
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.226-233, 2013-06-30 (Released:2013-12-05)
参考文献数
14

要旨: 『きこえについての質問紙2002』 の 「コミュニケーションストラテジー」 尺度への難聴者482例 (補聴前) の回答を分析した結果; 1. 因子分析により 「要請型ストラテジー」 と 「自助型ストラテジー」 の2因子が抽出された。2. 高齢群では重症度が軽いとストラテジーを活用しにくいが, 若年群では重症度による差がなかった。3. 年齢群間, 群内の比較ともに, 概して高齢群は 「要請型ストラテジー」 に, 若年群は 「自助型ストラテジー」 に頼る傾向が強かった。4. 主観的な 「聞こえにくさ」 が強い例 (スコア3.5以上) が, ストラテジーをより頻繁に用いていた。5. 高齢群で 「心理社会的影響」 が大きい程, 「自助型ストラテジー」 を頻繁に用いていた。これらの結果をもとにライフステージとストラテジー活用の関係を考察し, 若年者におけるより意識的なストラテジーの活用, および軽度・軽中等度高齢者における 「自助型ストラテジー」 の活用を促す介入の重要性を指摘した。
著者
徳増 厚二 長沼 英明 橋本 晋一郎 伊藤 昭彦 和田 昌興 岡本 牧人 山根 雅昭
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.64-72, 2007 (Released:2008-10-10)
参考文献数
17

Hyperosmotic solution of isosorbide has been used for treatment of Meniere's disease since Kitahara et al., Larsen et al. and Nozawa et al.. In recent studies reported that ADH is acting to open water channels, AQP-2 at the endlymphatic membrane and may act worse for labyrinthine hydrops. It is important the serum concentration of isosorbide after administration because ADH should be released if the serum osmotic pressure is elevated by isosorbide above more than 2% of normal serum osmotic pressure. In this study the equation predicting isosrbide serum concentration after oral administration was proposed on the basis of the data by Wakiya's report. It was confirmed the serum osmotic pressure remains below the threshold level for increasing ADH secretion by the routine method of 30 ml/once, 3 times every day. However, the method of 30 ml/once, single or two times every day should be recommended when the serum osmotic pressure before the medication is above 289 mOsm/kg.
著者
鈴木 恵子 岡本 牧人 鈴木 牧彦 佐野 肇 原 由紀 井上 理絵 大沼 幸恵 上條 貴裕 猪 健志
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
Audiology Japan (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.588-595, 2009-12-28
参考文献数
10
被引用文献数
2 4

『きこえについての質問紙2002』のうち “聞こえにくさ” に関わる10項目を, 補聴器適合のための主観評価法として応用することを目指し, 補聴器装用者232例 (軽~高度難聴), および補聴器適合を行った軽中等度難聴82例 (補聴器装用前・装用後ともに資料あり) の回答を解析した。解析結果をもとに, 軽中等度, 高度の群別に得た各項目の回答スコアの中央値, および装用前からの1以上のスコア軽減を評価基準とする補聴器適合のための評価表を試作した。中央値以下のスコアを得た項目数が, 補聴器に対する全体としての満足度, および装用時の語音明瞭度と有意な正の相関を示し, スコアの中央値を評価基準とすることの妥当性が示唆された。以上から, “聞こえにくさ” 10項目と評価表を, 適合評価のために応用できると結論した。
著者
岡本 牧人 設楽 哲也 籾山 安弘 平山 方俊 石井 豊太
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.81-86, 1989-02-28 (Released:2010-04-30)
参考文献数
11
被引用文献数
6 5

JIS改訂後の人間ドック受診者の聴力を年齢別に検討した。男女とも平均値, モード値, 中央値のいずれも年齢とともに聴力は悪化した。 この傾向は高音域に著しい。 会話領域の聴力は平均値, モード値ともに高齢になってもよく保たれており, 90%値でみても平均40dBであった。年齢を代表する値として平均値が最もポピュラーであるが, 正常範囲の大まかな目安としては90%値の方が有用と思われた。男女差は4000Hzで男性の方が悪く, 250Hzで女性の方が悪かった。旧JISと新JISとの差は換算値の約70%であった。
著者
屋宜 晃 設楽 哲也 岡本 牧人 佐野 肇 樋口 彰宏
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.955-959, 1987-11-20

I.はじめに インフルエンザワクチンは広範な接種が行われているにもかかわらず副作用の報告は少なく,とくにHAワクチンに変更してからは安全なワクチンといわれている。しかし稀ながら神経系の副作用の報告は散見され,とくに米国で多発したGuillain-Barré症候群の例は有名である1〜3)。最近われわれはインフルエンザワクチン接種後に生じた興味ある突発性難聴2症例を経験したので,若干の文献的考察も加え報告する。
著者
岡本 牧人
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
Audiology Japan (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.50-58, 2013-02-28
参考文献数
23

日本では2007年より超高齢社会となった。2060年には高齢者は人口の40%を占めると予測される。<br>加齢とともに難聴が進行することは良く知られているが, 数十年前の高齢者に比べ, 現代の高齢者の方が加齢変化は遅く出現しているようにみえる。<br>超高齢社会では, 高齢者は生活の質の維持とともに社会人として役割を分担する必要があるが, 会話域純音聴力は60歳代までは若年者と同様に保たれていると考えられる。加齢による難聴に対して補聴器による聴覚補償は有効である。さらに難聴が高度になると人工内耳による聴覚補償も有効である。<br>高齢化社会では生活の質の維持に聴覚的コミュニケーションが欠かせないが, 補聴器や人工内耳の公的補助は, 医療経済的, 医療倫理的観点からも合わせて考えて行く必要がある。
著者
馬越 智浩 高橋 廣臣 八尾 和雄 稲木 勝英 中山 明仁 永井 浩巳 岡本 牧人
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.65-69, 2001-01-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
18

Between June 1988 and December 1996, 57 patients with non-Hodgkin's lymphomas of the head and neck were treated at our department. The primary lesion was located in Waldeyer's ring in 31 patients and cervical lymph nodes in 26 patients. These patients, who were diagnosed as Stage I or II, were treated with chemotherapy and radiation. The chemotherapy regimen consisted of pirarubicin (45mg/m2; day 1), cyclophosphamide (750mg/m2; dayl), vindesine (1.5mg/m2; day 1) and predonisolone (100mg/body; days 1-5). The complete and partial response rates were 79% and 82% respectively. The five-year estimated overall survival rate calculated by Kaplan-Meier method was 75%. We concluded that the combination of chemotherapy regimen (THP-CVP) and radiation were useful and safe for treating non-Hodgkin's lymphomas of the head and neck.
著者
樋口 彰宏 斉藤 大 新井 基洋 岡本 牧人 八尾 和雄
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.438-443, 1997

1996年6月より我々は整形外科関節手術用シェーバーシステムである, SE5, ペースセッター (ラージハンドピース) をESSに使用し始めた。56例 (99側) にSE5 (あるいはペースセッター), ハマー, 通常手術器具でESSを行い, その有用性の検討を行ったところ, SE5 (あるいはペースセッター) 使用症例 (あるいは側) はハマー, 通常器具使用症例 (あるいは側) に比して, 手術時間, 出血量, 術中副損傷, 創傷治癒など全てにおいて優れていた。シェーバーの安全性, 有用性はそのままで, ハマーの欠点を克服できた。SE5, ペースセッターは整形外科で広く普及していて, すでに所有している施設も多いため, 多くの耳鼻咽喉科医が, すぐにでもESSにシェーバーを使用できるという利点もある。
著者
堅田 親利 田辺 聡 正來 隆 中山 明仁 岡本 牧人 小泉 和三郎
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.2038-2048, 2011 (Released:2011-09-15)
参考文献数
17
被引用文献数
2

近年の内視鏡技術の進歩により,表在性の病変の視認性が向上する画像強調法が日常診療に導入された.これに伴い,上部消化管内視鏡検査の際に通過する頭頸部領域から,消化器内視鏡医が数多くの頭頸部表在癌を発見するようになった.本稿では,頭頸部表在癌の拾い上げ診断に関する知識を整理し,中下咽頭のルーチン観察法について解説する.
著者
平川 仁 鈴木 基之 西野 宏 佐藤 雄一郎 石木 寛人 篠崎 剛 海老原 充 新橋 渉 上條 朋之 岡本 牧人 別府 武 大堀 純一郎 松浦 一登
出版者
日本頭頸部癌学会
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.75-81, 2018

頭頸部癌終末期患者における症状について多施設調査を行った。根治不能頭頸部癌と診断され,癌の進行による状態悪化のために入院となった患者を対象とした。11施設から100人の患者が登録され,そのうち転院した患者などを除く72人が死亡まで観察可能であった。最終観察時における出血や滲出液を伴う自壊腫瘍を持つ症例は36.1%であった。またそれに伴う制御不能な出血を認めた症例は5例であった。1例は頸動脈破裂による急速な転機をたどった。残りの4例は出血および血圧低下による止血を繰り返し最終的に心肺停止となった。栄養経路に関して61.1%で経腸栄養摂取が可能であった。頭頸部浮腫は36.1%に認めた。喉頭発声による意思の伝達は50%で不可能であった。頭頸部癌の終末期症状は決して軽いものではない。しかしその症状・頻度,病態の理解が進み,適切な指針を今後作成できれば,患者は終末期の時間を自宅近くの医療施設もしくは自宅で過ごすことができるようになると期待される。
著者
鈴木 恵子 岡本 牧人 鈴木 牧彦 佐野 肇 原 由紀 井上 理絵 大沼 幸恵 上條 貴裕 猪 健志
出版者
一般社団法人 日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.588-595, 2009 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
2 4

『きこえについての質問紙2002』のうち “聞こえにくさ” に関わる10項目を, 補聴器適合のための主観評価法として応用することを目指し, 補聴器装用者232例 (軽~高度難聴), および補聴器適合を行った軽中等度難聴82例 (補聴器装用前・装用後ともに資料あり) の回答を解析した。解析結果をもとに, 軽中等度, 高度の群別に得た各項目の回答スコアの中央値, および装用前からの1以上のスコア軽減を評価基準とする補聴器適合のための評価表を試作した。中央値以下のスコアを得た項目数が, 補聴器に対する全体としての満足度, および装用時の語音明瞭度と有意な正の相関を示し, スコアの中央値を評価基準とすることの妥当性が示唆された。以上から, “聞こえにくさ” 10項目と評価表を, 適合評価のために応用できると結論した。
著者
稲木 勝英 設楽 哲也 岡本 牧人 徳増 厚二 藤野 明人 石井 豊太 鎌田 利彦
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.537-541, 1989-04-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

Aortitis syndrome is known to be an autoimmune disease, which has many symptoms of occulusive thromboaortopathy. It has recently been reported that the patients with systemic autoimmune diseases may have sensorineural hearing loss and that steroid therapy should be effective not only for the original disorder but also for the associated hearing disturbance.Eleven patients (3 males and 8 females) with aortitis syndrome and sensorineural hearing loss have been treated in Kitasato University Hospital during the 16 years since the opening of the hospital.The onset of hearing impairment was at 32 to 48 years of age, 10 years older than the mean age of onset of the aortitis syndrome reported in the literatures.Various types of hearing impairment were noted : slight hearing loss, total deafness of sudden onset and fluctuating type. Tinnitus was associated with hearing loss in many cases.Several patients also had vertigo and dysequilibrium, and in some of them the diagnosis was peripheral vestibular hearing loss, although in the cases of aortitis syndrome with hearing loss reported in the literature neither vertigo nor dizziness was mentioned.The usual treatment for acute stage sudden deafness was not effective in most of our patients. However, one female patient treated with long-term steroid therapy for systemic arteritis showed marked improvement of both her hearing and her general condition.We cannot conclude that the origin of sensorineural hearing loss is arteritis in the inner ear in all cases of aortitis syndrome with hearing loss. However, our cases of aortitis syndrome with steroid-dependant hearing loss indicate that the possibility remains of hearing loss due to arteritis of the labyrinthine artery in aortitis syndrome.
著者
長沼 英明 設楽 哲也 徳増 厚二 岡本 牧人 平山 方俊
出版者
日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.44-48, 1991-12-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
20

Frequently encountered are cases of perforated ear drum, for whom there is no opportunity of myringoplasty or operation to repair the perforation, owing to work or school. A new method of myringoplasty by intrameatal approach without skin incision and using a homograft of temporal fascia in an outpatient should thus be made available. The results of such myringoplasty in 15 ear cases, ranging in age from 21 to 75 years are presented in the following. The advantages of this treatment are summarized as follows;1) The operation can be done in an outpatient clinic.2) The surgical procedure is restricted to only the intrameatal region since obtaining the patients own temporal fascia is not necessary.3) Local anesthesia of the drum is sufficient for the operation.4) The patient may drink, eat, and return to work or school immediately following after surgery.5) The operation can be conducted on patients having general complications since general anesthesia is not required.However, the success rate of closure of the perforation was 67 per cent in this study. The reasons why the transplanted fascia was not “self” so to speak are considered. Attempts are being made to improve this rate such as by treatment of a homograft and application of fibronectin extracted from the patient's own serum to promote adherence of the graft.