著者
松山 紘之 揚妻 直樹 岡田 あゆみ 鈴木 牧
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.153-158, 2019-09-25 (Released:2019-10-25)
参考文献数
45
被引用文献数
6

Instalment of deer fences around agricultural fields may, as a side benefit, reduce the risk of tick-borne diseases in humans. We examined tick (Haemaphysalis) density on the ground after two years of exclusion using three separate deer fences. Deer density in an exclosure (EX) had been kept as zero for 14 years, deer density in an enclosure (HD) had been kept constantly stocked for 14 years with around 20 deer km−2, and the second enclosure (OD) had been stocked for 11 years with around 20 deer km−2, after which time the deer were excluded for two years. Tick densities inside the three fences were monitored for two years after two years of deer exclusion from OD. In the first year, tick density in OD was as high as that in HD, and was significantly higher than that in EX. In the second year, however, tick density in OD decreased to a similar level to that in EX. These results suggest that tick density in the environment decreases after three years of exclusion. Our findings support the effectiveness of culling and fencing of deer with the aim of preventing the risk of tick-borne diseases.
著者
柿野 亘 竹内 基 伊藤 寿茂 成田 勝 中村 咲蓮 塩練 元輝 杉山 真言 岡田 あゆみ 筏井 宏実 眞家 永光 馬場 光久
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.23-35, 2023-02-28 (Released:2023-03-07)
参考文献数
109

In recent years, the classification system of Unionoida (Margaritiferidae, Unionidae) has undergone major changes from conventional methods by shell morphology, due to breakthroughs in approaches based on molecular phylogenetic analysis. We compared the classification system trends of the Margaritiferidae and Unionidae distributed in Japan, and pointed out that there is a time lag to the classification determinations of the latter. Although the scientific names have been changed, the existence, distribution, and ecological information (ex. host fish for glochidia) of two Japanese margaritiferids have been established, and conservation measures and regulations based on the Red List and laws can be expected. On the other hand, the Unionidae consisted of 3 subfamilies, 11 genera and 15 species has increased to 2 subfamilies, 13 genera and 26 species (excluding alien species) by the new classification system reported in 2020. Therefore, information on the distribution and ecology of many new species must be elucidated. A new classification system will be assumed the further revision, especially for the genus Sinanodonta, and the risk of some local populations extinction increase before clarifying the actual situation of species. We are now proceeding to clarify the early life stage of some Unionoida mussels (ex. parasitic stage, salinity tolerance), but insufficient knowledge of the life cycle of Unionoida has prevented the establishment of complete ex-situ conservation methods. Conversion project of numerous reservoirs are that the most important habitats for Unionidae species pressing forward in Japan. In light of this situation, it is hoped that the new classification system that can serve as a basis for on-site conservation will spread throughout as soon as possible to realize comprehensive conservation.
著者
岡田 あゆみ
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.217-226, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
17

発熱は小児科領域で頻度が高い症状で, さまざまな身体疾患が原因となるが, 心理社会的ストレスもその一因となることがある. 一般に, 発熱以外に随伴症状や炎症所見がなく, 特定の状況や誘因で発熱を認める場合や, 慢性の心理社会的ストレスの影響が推定される場合に 「心因性発熱」 と診断され, 10代や若年成人に多いといわれている. 小児では, 本人が心理社会的ストレス因に自覚のない場合やうまく言語化できない場合, 心因が明らかにならず診断に苦慮することもある. また, 親子が身体疾患を危惧している場合や診断を受け入れられない場合, ドクターショッピングに陥ることもあるので注意を要する. 治療は, 生活指導や心理療法, 薬物療法などが行われるが, 小児の場合は環境調整が重要となる. 学校などの集団生活では, 有熱時の対応の目安が求められるなど, 小児期特有の課題もある. また, 併存症への配慮も必要で, 神経発達症特に自閉スペクトラム症には注意する. 本稿では, 小児の心因性発熱の診療と対応上の注意点を述べる.
著者
藤井 智香子 岡田 あゆみ 重安 良恵 塚原 宏一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.57-63, 2021 (Released:2021-01-01)
参考文献数
22

過敏性腸症候群 (irritable bowel syndrome : IBS) は児童・思春期の代表的な機能性消化管疾患であるが, その実態については不明な点も多い. IBSは心理的ストレスの影響を受けやすく, 患者の心理社会的背景を理解することは適切な治療介入につながると考えられる. 児童・思春期のIBS患者の特徴を明らかにすることを目的に, 岡山大学病院小児科を受診したIBS患者のうち発症が18歳以下であった69例の性別や併存疾患などの特徴について検討を行った. 男性35例, 女性34例で, 59例は不登校状態にあり, 外出困難をきたしている症例もあった. 併存疾患として起立性調節障害やアレルギー性疾患を有する症例が多く, 24例が自閉スペクトラム症 (autism spectrum disorder : ASD) の診断を受けていた. ASDの感覚過敏やこだわりが強いという特性が, 症状の遷延や訴えの増加につながる可能性があり, 発達特性に留意して診療を行うことが必要であると考えられた. また男性に外出困難を伴う症例を多く認め, このような症例では特に, 環境調整や心理療法を含めた対応が有効だった.
著者
三村 春奈 伊藤 里恵 岡田 あゆみ 瀬戸 静恵 進藤 順治 杉浦 俊弘
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.125-128, 2013-12-19 (Released:2014-03-14)
参考文献数
12

北海道千歳市周辺で捕獲され,う蝕様病変のみられた54頭のアライグマについて,歯種ごとの発生調査と年齢査定を行った。う蝕様病変は,臼歯に集中し,特に後臼歯が重篤な状態であった。また,歯石の付着は49頭で観察され,う蝕様病変と同様に臼歯に集中していた。病変のみられた年齢の個体は,1.5歳未満と5.5歳以上で少なく2.5歳から4.5歳が約60%を占めていた。さらに,う蝕様病変の病態は加齢に伴い重症化する傾向がみられた。
著者
井上 建 小坂 浩隆 岡崎 玲子 飯田 直子 磯部 昌憲 稲田 修士 岡田 あゆみ 岡本 百合 香山 雪彦 河合 啓介 河野 次郎 菊地 裕絵 木村 大 越野 由紀 小林 聡幸 清水 真理子 庄司 保子 髙倉 修 高宮 静男 竹林 淳和 林田 麻衣子 樋口 文宏 細木 瑞穂 水田 桂子 米良 貴嗣 山内 常生 山崎 允宏 和田 良久 北島 翼 大谷 良子 永田 利彦 作田 亮一
出版者
日本摂食障害学会
雑誌
日本摂食障害学会雑誌 (ISSN:24360139)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.3-12, 2023-10-05 (Released:2023-10-05)
参考文献数
19

COVID-19パンデミック下,摂⾷障害患者における社会からの孤立,受診控え,症状の悪化,さらに新規患者の増加などが報告された。そこで我々は,2019,2020,2021年の神経性やせ症(Anorexia Nervosa: AN)および回避/制限性食物摂取障害(Avoidant/Restrictive Food Intake Disorder: ARFID)の新規患者数,入院患者数,性別,年齢層,COVID-19の影響の有無について,国内で摂食障害を専門的に診療している医療機関に対して調査を依頼した。すべての項目に回答のあった28施設の結果について集計・解析した。ANの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は400人,266人,2020年は480人,300人,2021年は610人,309人であった。一方,ARFIDの新規・入院患者数はそれぞれ,2019年は70人,15人,2020年は97人,22人,2021年は112人,17人であった。AN,ARFIDともに2019年と比較して2020年,2021年は新規患者数,入院患者数ともに増加し,これは10代でより顕著であった。さらにANにおいては20代の患者も増加していた。COVID-19 パンデミック下にARFID 患者数の増加が示されたことは重要な知見であると考えた。
著者
酒井 治己 栗原 善宏 古内 友樹 岡田 あゆみ 竹内 基 柿野 亘 須田 友輔 後藤 晃
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3-4, pp.47-66, 2022-08-26 (Released:2022-08-26)
参考文献数
21

カムチャツカ・サハリン・千島・日本列島地域から記載されたカワシンジュガイ属 Margaritifera 担名タクサのタイプ標本を調査した結果,この地域を通して2種の存在が確認され,それぞれカワシンジュガイMargaritifera laevis(Haas, 1910)及びコガタカワシンジュガイM. kurilensis(Zatravkin & Starobogatov, 1984)に同定された。前種は前閉殻筋痕上縁が丸く擬主歯が比較的小さいこと,一方後種は前閉殻筋痕上縁が角張っており擬主歯が比較的大きく頑丈なことによって特徴づけられる。コガタカワシンジュガイにしばしば適用されてきたM. middendorffi (Rosén, 1926)は M. laevisの新参異名であると判断された。また,M. middendorffi の新参異名とされてきた M. togakushiensis Kondo & Kobayashi, 2005 は,M. kurilensis の新参異名と判断された。
著者
加藤 哲男 君塚 隆太 岡田 あゆみ
出版者
東京歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

歯周病は口腔の主要な感染症であり、その原因となっているのは口腔内バイオフィルムであるデンタル・プラーク中に存在する細菌である。本研究は、歯周病原性バイオフィルムの形成に関わる因子について解析するとともに、その形成を抑制あるいはバイオフィルム細菌に対して抗菌性を発揮するような機能性タンパク質について検索した。培養細胞やマウスを用いて、シスタチンやガレクチンなどの機能性タンパク質のバイオフィルム形成抑制作用や内毒素活性抑制作用などを解明した。