著者
川島 京子 鈴木 晶
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、日本バレエ史上最大のメルクマールと位置付けられる「東京バレエ団」(1946年結成、1950年自然消滅)の実像を明らかにするとともに、その歴史的意義を考察することを目的としている。具体的には、(1)これまで明らかになっていなかった東京バレエ団の活動実態および上演作品を、現存資料、聞き取り調査から、その実像を浮かび上がらせること、(2)東京バレエ団の活動とその後「世界有数のバレエ大国」と称されることとなる日本バレエ界の発展との因果関係の考察、(3)東京バレエ団の結成、解散の原因ともいえる日本バレエ界の特殊性を、今日的視点から捉えなおすことである。
著者
川島 京子
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

エリアナ・パヴロバが日本で展開したパヴロバ・バレエスクールの実態研究に続き、本年度は、彼女によってもたらされた日本のバレエを、世界的なバレエ伝播の中で捉えるべく考察してきた。彼女の来日前経歴については、日本、グルジア、ウクライナ、ロシアの各関係機関に協力を要請し、調査を続けている。現在までにエリアナ・パヴロバの家系に関する資料は確認できたが、彼女が師事した教師については未だ確証を得ていない。彼女のロシアでの芸歴調査は、日本バレエの出自を知ることでもある為、本研究において引き続き最重要課題としてゆきたい。本年度の研究発表としては、彼女の日本での22年間に及ぶ活動のうち、彼女がまだバレエスクールを設立していない来日当初の活動(1919年亡命来目〜1924年関東大震災によって離日)に注目する事によって、上記テーマについて考察した。来日背景、活動内容、日本側のバレエ受容という観点から、彼女によって日本に移植されたバレエがロシア革命によって世界中に伝播したロシアバレエの一片であり、外国人居留地から生まれた西洋文化の一つに位置づけることが出来る。しかし、当時日本に於いて、バレエが学校教育からは除外され、逆に文化人を対象に女性の身体の西洋化の目的でもてはやされた中で、エリアナのバレエ活動は文化人・資産家の子女を対象にして生涯プライベートで行われることとなった。さらに、それが日本の伝統芸能の家元制度に自然に組み込まれる事によって、現在の日本バレエの特殊性を生む結果ともなったといえる。以上については、年度末に舞踊学会誌に投稿すべく準備中である。また、本研究において、エリアナ・パヴロバに関する第一次資料を収集してきた。これらを直弟子及び関係者からの証言と照合し、現在、100近くの公演の詳細と日本滞在中の足取りの大部分が明らかになった。収集した資料については、資料集としての発表を準備中である。