著者
塚田 久恵 川島 和代 曽根 志穂 石垣 和子
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa Journal of Nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.125-134, 2018-03

地球規模の視野を持ち地域の課題を主体的に解決できる人材(グローカル人材)を育成するため,韓国を研修先とした新たな看護短期研修プログラムの開発を行った.3 年の準備期間を経て,平成27年度に8 日間の研修を実施した結果,様々な保健医療福祉施設の見学やフィールドワークを組み入れたこと,また,住民等との交流プログラムを積極的に導入したことが功を奏し,所期の研修目的と学習目標はほぼ達成できたと考える.一方,今後は,危機管理体制の整備や授業としての位置づけ,引率教員や現地スタッフの介在等についても考慮する必要がある.研修の円滑な実施には,研修先の選定や関係機関との調整について行政機関の協力を得ることも有効である.
著者
橋本 智江 川島 和代
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.115-122, 2018-08-01

<p> 利用者の重度化が進む介護保険施設において,入浴ケアは高温・多湿の環境下で行われる,介助者の負担が大きいケアのひとつである.本研究では,介護保険施設における入浴ケア体制の実態を明らかにし,介助者の負担に影響する課題を検討することを目的とした.方法は,介護保険施設計342施設に対し,質問紙を郵送し,入浴ケア体制に関する内容について,ケア管理者に回答を依頼した.その結果,156施設から回答が得られた(回収率45.6%).介護老人福祉施設では,1人用の浴槽を設置している施設が多く,マンツーマンでのケアを行っている施設が介護老人保健施設,介護療養型医療施設に比べて多い傾向がみられた.また,介助者が1勤務帯に入浴ケアに携わる時間は,200分以下が半数以上を占めていたが,300分以上の施設もみられ,3施設間で違いはみられなかった.これらのことから,介護保険施設における入浴ケアは,利用者の重度化に伴い長時間を要しており,介助者の負担の一因となっていることが考えられた.</p>
著者
石井 和美 中田 弘子 小林 宏光 川島 和代
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.17-25, 2019 (Released:2019-04-20)
参考文献数
14

本研究の目的は, ディスポーザブルタオル (以下, ディスポタオル) を用いた部分清拭が高齢者の皮膚に与える影響を明らかにすることである. 地域在住の65~74歳の高齢者27名を対象に, ディスポタオルと綿タオルを用いて左右の前腕の清拭を実施し, 清拭前後の清浄度, 水分量, pH, 皮膚温を測定した. これらの客観的測定に加えて, タオルの使用感について清拭後に主観的に評価を行った. 結果はディスポタオルによる清拭後の皮膚清浄度は綿タオルと同等で弱酸性を保持していた. ディスポタオルの清拭後15分までの皮膚水分量は高く (P<0.01) , 一方で, ディスポタオルの方が清拭後の皮膚温の低下が大きかった (P<0.01) . 主観的評価ではディスポタオルの「やわらかさ」と「肌触り」に差がみられた (P<0.05) . これらの結果からディスポタオルの清拭においても拭き取り後の気化による熱損失が大きいため, 皮膚上の水分を十分に拭き取る必要があることが示唆された.
著者
小林 宏光 津幡 美江 大泉 直子 表 絵美 林 悠佳 森下 道子 中田 弘子 川島 和代
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_131-1_136, 2009-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
15

橈骨動脈の触診によって得られた脈拍数の正確さについて検討した。脈拍数の測定時間は10, 15, 30 および 60秒間であった。被験者は看護学専攻の学部学生25名と臨床経験3年以上の看護師22名,計47名であった。各測定時間における脈拍数は重複する60秒間に測定された心電図より得た心拍数と比較され,その差を測定誤差とした。学生群では,どの測定時間でも実際よりも少なめに脈を数える傾向がみられた。看護師群ではこのような誤差の偏りはみられなかった。各測定時間での測定誤差の平均は,学生群で4.26(10秒), 2.46(15秒), 1.36(30秒), 1.42(60秒)であった。看護師群では2.86(10秒),2.44(15秒),0.97(30秒),0.82(60秒)であった。全体的に看護師群の方が学生群よりも誤差が小さい傾向がみられたが,両群の差は統計的有意とはならなかった。どちらの群でも30秒測定と60秒測定の間には有意差はなく,この結果から30秒測定の有効性が示唆された。
著者
川島 和代
出版者
金沢大学大学教育開放センター
雑誌
金沢大学サテライト・プラザ「ミニ講演」講演録集
巻号頁・発行日
vol.12, 2000-09-16

年月日:2000年9月16日(土)午後2時~3時,場所:石川県立社会教育センター
著者
松井 久美 上田 桃子 高本 奈瑠美 田村 幸恵 川島 和代
出版者
石川県公立大学法人 石川県立看護大学
雑誌
石川看護雑誌 = Ishikawa Journal of Nursing (ISSN:13490664)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.103-110, 2017-03

本研究の目的は,認知症高齢者のこれまでの人生や現在の思い,今後の希望について聴き取り,その結果を【メモリーブック】として媒体にまとめ,本人やケアを行うスタッフと共有し,生活に反映させ,その効果を明らかにすることである.2015 年8月から9月までの間,石川県内のグループホームに入所する6名の認知症高齢者を対象に,半構成的面接法により聴き取りを行い,【メモリーブック】を作成した.時系列に,実施前,聴き取り期間,【メモリーブック】完成時,2週間後の4段階に分け,メモリーブック作成過程における認知症高齢者の客観的な変化を記録し,認知機能や意欲の推移についてスケールを用いて測定した.この結果,【メモリーブック】を用いた関わりは,認知機能の向上,意欲の向上につながることが推察された.また,これまでの人生(過去),現在,未来に焦点を当てた関わりは,認知機能の低下を抑止し, 機能維持に効果的であることが示唆された.
著者
加藤 真由美 泉 キヨ子 川島 和代
出版者
金沢大学
雑誌
金沢大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13427318)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.111-115, 1999
被引用文献数
2 2

1)地域高齢者の筋力は,男が18~20kg,女が15~17kgで,75歳未満が17~18kg,75歳以上が14~17kgであった.骨量は男が25~27%,女が25~26%で,75歳未満が25~27%,75歳以上が25~26%であった.2)転倒経験者は年間30%で,転倒は屋外での発生が最も多く,天候など環境変化への適応が低下していた.3)筋力の2年間の推移は,男が15kgから16.5kg,女が14.5kgから17.5kgで,75歳未満が15kgから18kg,75歳以上が13kgから17kgと上がった.骨量は男が30%から23%,女が26%から24%,75歳未満及び75歳以上共に26%から24%と減少した.4)2年続けて転倒した6名のうち3名は降圧剤を使用,3名は白内障,3名は下肢筋力が同年代と比較して9~16kgと低値であった