著者
川島 英之
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.3_44-3_49, 2016-07-25 (Released:2016-09-25)

データ基盤システムを役割で大別すると,SQL問合せ処理システムとトランザクション処理システムという2つのサブシステムに分けられる.従来型のデータベース管理システム(DBMS)はこれらを兼ね備えている.一方,性能向上のために,近年はサブシステム毎の高度化が行われている.本論文ではこれらに関する近年の動向を解説する.
著者
木村 広希 川島 英之 日下 博幸 北川 博之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.323-331, 2009-07-01 (Released:2011-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

気候学研究においては,特定の気圧配置を示す事例を選ぶ必要から,過去の気圧配置を分類することがある.気圧配置の分類は多くの場合,目視で行われており,長期間かけて行うことや複数人で行うことがある.これらの場合,判断にぶれが生じたり,分類結果が研究者の主観に左右されたりする可能性がある.本稿では,この気圧配置の分類に,パターン認識手法であるサポートベクターマシンを用いて,分類を自動化することを提案する.本研究では,日々の気圧配置からの西高東低冬型の検出を目的とし,実験により提案手法の有用性を検討した.JRA-25のデータを用い,1981~1990年を学習期間,1991~2000年を検証期間として実験を行った結果,最良で90%以上の適中率で西高東低冬型を検出できることがわかった.これより,学習データの与え方に主観が影響するものの,分類の際の負担を軽減でき,判断基準が変わることなく,ある程度の精度で気圧配置を分類できると考えられる.
著者
髙田 陽一郎 川島 英之
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2023-OS-161, no.7, pp.1-6, 2023-09-12

Amazon Redshift のデータベースにも活用される serial safety net(SSN) は,スキャンといった大量の読み込み操作を多く含む一般的ではないワークロードで高性能を出すことが期待されている.しかしこのようなトランザクションは並列性が上がるほど中断しやすくなり,再実行に大きなコストがかかる.SSN は safe retry 特性と呼ばれる,トランザクションが中断した際にその原因が解消され,同じ原因によって再び中断することがないという特性を保有する.本研究ではこの特性を応用し,ロック機構を用いて対象となるトランザクションの中断回数を高々 1 回に抑える手法を提案する.Snapshot isolation と SSN を実装し,read only トランザクションの挙動を分析した.その結果,コミットまでに最大 29 回リトライするトランザクションが発生し,提案手法が原理的に有効であることが示された.
著者
神谷 孝明 川島 英之 建部 修見
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-215, no.18, pp.1-10, 2015-05-19

本研究では ioDrive をストレージデバイスとする時にふさわしい WAL プロトコルとして P-WAL を提案する.まず,ioDrive においては並列ランダムライト時の I/O アクセス性能がシーケンシャルライトよりも高速になることを示す.そのような状況において,I/O アクセスと排他制御処理による性能劣化の問題に対処するために,P-WAL はそれぞれのログライタが専用の領域にログを書き込む,並列ログ書き込み方式を採用する.P-WAL の評価を行うため,数種類のモジュールからなるプロトタイプのトランザクションマネージャを設計する.これを用いて,スレッド数やグループコミットのパラメータを変化させ,従来方式の WAL と P-WAL の性能比較を行う.スレッド数を 16,グループコミットのパラメータを 16 にした時,P-WAL は 172,018 tps の性能を発揮し,従来方式と比べて,3.23 倍の性能向上を達成することを示す.
著者
神谷 孝明 川島 英之 星野 喬 建部 修見
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.24-39, 2017-03-22

本研究はフラッシュストレージをログ用のストレージデバイスとするときにふさわしいWALプロトコルとしてP-WALを提案する.フラッシュストレージは複数のメモリチップに対して並列にアクセスすることで高い性能を発揮する.P-WALはフラッシュストレージの特性を活用し,各ワーカが専用の領域にログを書き込む並列ログ書き込み方式を用いる.この方式により従来の直列WAL方式で発生する,排他制御処理とストレージI/Oにともなう性能低下問題を解決する.P-WALをトランザクションシステム上で実装し,性能評価を行った.その結果,P-WALは直列WAL方式に対してマイクロベンチマークで10.0倍,TPC-Cベンチマークにおいて2.3倍の性能向上を示した.This paper proposes a new WAL protocol, P-WAL. We first demonstrate that parallel write operations well perform on a flash storage. P-WAL exploits the features of the flash storage. P-WAL lets each worker writes log records to its dedicated storage space. This design eliminates both the contentions on WAL buffer and the inefficient I/O operations where the conventional sequential WAL method suffers from. We design and implement P-WAL on a prototype transaction manager, and evaluate it with benchmarks. The result of experiments showed that P-WAL outperformed the conventional WAL. The improvement factors were 10.0 on micro-benchmark and 2.3 on TPC-C benchmark respectively.
著者
村田 直郁 川島 英之 建部 修見
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-137, no.8, pp.1-11, 2016-05-23

分散データベース管理システムにおいて外部キー制約や二次索引,実体化ビューの管理を行うための高性能な処理方式として Read Atomic Multi-Partition(RAMP) トランザクションがある.RAMP トランザクションは隔離性を緩和することで高性能化を実現した研究であるが,それを先進的デバイスによって高性能化する技法は未開拓である.そこで,本研究では高性能インターコネクトである InfiniBand を利用し,Remote Direct Memory Access(RDMA) の機能を用いて RAMP トランザクションを高速化する手法を提案する.まず,RDMA-Write による GET/PUT オペレーションの高速化手法として GET+/PUT+方式を提案する.続いて,RDMA-Read による更なる GET オペレーションの高速化手法として GET*方式を提案する.提案手法の評価のため,プロトタイプ In-Memory Key-Value Store を実装する.Yahoo! Cloud Serving Benchmark を用いた実験において,従来方式と比べて最大 2.67 倍の高速化を達成することを示す.
著者
荻野 良太 福山 将英 川島 英之
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2023-OS-158, no.20, pp.1-6, 2023-02-14

本研究では高性能ハッシュ索引である Optimistic Cuckoo Hashing(OCH)をセキュアに実行するために Intel SGX 内部で動作する OCH を提案する.提案手法を設計,実装し,SGX で評価した.その結果,提案手法は 1 スレッド時に 80 万 ops,4 スレッド時に 220 万 ops の性能を示した.しかし,256 スレッド時にはその性能が 40 万opsに低下した.比較のために Enclave を使用しない Optimistic Cuckoo Hashing を評価したところ,1 スレッド時には 50 万 ops,4 スレッド時で 170 万 ops,256 スレッド時で 3300 万 ops だった.この性能劣化の原因を追究すべく mutex,memory access 速度,Enclave へのデータ受け渡し速度等を調査し,Enclave 内での並列メモリアロケーションがボトルネックであることを突き止めた.
著者
荻原 湧志 萬 礼応 大矢 晃久 川島 英之
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2023-OS-158, no.3, pp.1-8, 2023-02-14

ロボット用ミドルウェアの代表格である ROS (Robot Operating System) において,Transform Library (TF) ライブラリは各座標系間の変換情報を有向森構造で管理し,効率的な座標変換情報の登録,座標変換の計算を可能にした.ROS の中核的なパッケージであるにも関わらず,TF ライブラリには次の三つの問題があることがわかった.まず,非効率な並行性制御により,TF の有向森構造へのアクセスが完全に逐次化され,アクセスするスレッドが増えるに従ってパフォーマンスが低下する問題がある (P1).次に,データの鮮度よりも時間的整合性を優先するため,座標変換を計算する際に最新のデータを参照しないという問題がある (P2).最後に,有向森構造の変更によって座標変換の計算時に意図しないエラーが生じるという問題がある (P3).本論文では,データベースの並行性制御法における 2PL 及び Silo を応用することにより,P1 と P2 を解決した.これらの手法は,読み取りのみのワークロードにおいて従来手法の最大 429 倍のスループットを示し,読み書きを組み合わせたワークロードにおいて従来手法の最大 1276 倍のデータ鮮度となることを示した.
著者
神谷 孝明 川島 英之 星野 喬 建部 修見
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.24-39, 2017-03-22

本研究はフラッシュストレージをログ用のストレージデバイスとするときにふさわしいWALプロトコルとしてP-WALを提案する.フラッシュストレージは複数のメモリチップに対して並列にアクセスすることで高い性能を発揮する.P-WALはフラッシュストレージの特性を活用し,各ワーカが専用の領域にログを書き込む並列ログ書き込み方式を用いる.この方式により従来の直列WAL方式で発生する,排他制御処理とストレージI/Oにともなう性能低下問題を解決する.P-WALをトランザクションシステム上で実装し,性能評価を行った.その結果,P-WALは直列WAL方式に対してマイクロベンチマークで10.0倍,TPC-Cベンチマークにおいて2.3倍の性能向上を示した.
著者
石田 慎一 原島 真吾 鯉渕 道紘 川島 英之 西 宏章
出版者
Japan Society for Software Science and Technology
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.59-73, 2012-10-25

近年,ルータやゲートウエイが取得可能な情報を使って新たなサービスを提供する試みが提案,検討されている.従来,NIDS (Network Intrusion Detection System)構築のため,ゲートウェイ上でレイヤ7での情報検出を可能とするソフトウェア実装は存在したが,アプリケーションプロトコルのHTTP/1.1のgzip encodeやchunk encodeに対応し,情報の検索と抽出を主目的とした実装は公開されていない.そこで本論文ではlibpcapを利用してLinuxゲートウェイのethデバイスやpcapファイルのトラヒックからTCPストリーム再構築と前記HTTPのデコードを行い,文字列抽出を実現するオープンソース・ソフトウエアSLIM (Smart Linux Interface Monitor)を実装,評価した.SLIMにおいて使用メモリ量を削減するため,コンテキストスイッチを利用したパケット単位のTCPストリーム再構築を独自に実装した.評価結果より,SLIMはオンライン解析を行った場合,ゲートウェイ上で21.3Mbpsの処理が可能であり,pcapファイルを直接処理した上でPostgreSQLに保存した場合86.8Mbps, ファイルとして保存した場合1.12Gbpsを達成した.また,オフライン解析を行った場合,1.5TB・最大73万コネクションを含むコアネットワークの仮想トラヒックを解析可能であることを示した.この時,使用メモリ量は5.87GBであった.また,SLIMは研究室ゲートウェイで3ヶ月以上安定して連続動作に成功した.
著者
石田 慎一 原島 真吾 鯉渕 道紘 川島 英之 西 宏章
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.59-73, 2012-10-25
参考文献数
15

近年,ルータやゲートウエイが取得可能な情報を使って新たなサービスを提供する試みが提案,検討されている.従来,NIDS (Network Intrusion Detection System)構築のため,ゲートウェイ上でレイヤ7での情報検出を可能とするソフトウェア実装は存在したが,アプリケーションプロトコルのHTTP/1.1のgzip encodeやchunk encodeに対応し,情報の検索と抽出を主目的とした実装は公開されていない.そこで本論文ではlibpcapを利用してLinuxゲートウェイのethデバイスやpcapファイルのトラヒックからTCPストリーム再構築と前記HTTPのデコードを行い,文字列抽出を実現するオープンソース・ソフトウエアSLIM (Smart Linux Interface Monitor)を実装,評価した.SLIMにおいて使用メモリ量を削減するため,コンテキストスイッチを利用したパケット単位のTCPストリーム再構築を独自に実装した.評価結果より,SLIMはオンライン解析を行った場合,ゲートウェイ上で21.3Mbpsの処理が可能であり,pcapファイルを直接処理した上でPostgreSQLに保存した場合86.8Mbps, ファイルとして保存した場合1.12Gbpsを達成した.また,オフライン解析を行った場合,1.5TB・最大73万コネクションを含むコアネットワークの仮想トラヒックを解析可能であることを示した.この時,使用メモリ量は5.87GBであった.また,SLIMは研究室ゲートウェイで3ヶ月以上安定して連続動作に成功した.
著者
三好 健文 寺田 祐太 川島 英之 吉永 努
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.35-51, 2011-07-01

動的再構成可能ストリーム処理エンジンDR-SPEのプロセッサアーキテクチャを提案する.ストリーム処理エンジンは,ときどき刻々と変化するデータの流れであるストリームデータに対して,SQLライクな宣言的クエリ言語を用いて,関係演算や算術演算を適用できる.DR-SPEは並列処理による高い処理性能を実現すると同時に,高速なクエリ登録や演算子実行順序切換えをサポートする専用ハードウェアによるストリーム処理エンジンである.DR-SPEが提供する演算子は,Streams on Wiresと同等である.本論文では,提案するアーキテクチャをFPGA XC6VLX240T-1上に実装し,クエリの構成時間および処理性能を評価する.評価の結果は,DR-SPEはStreams on Wiresと同等のスループットを実現しながら,85μ秒でクエリを構成できることを示す.
著者
川島 英之
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:若手研究(B)2010-2011
著者
川島 英之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.37, pp.25-28, 2009-03-27

本稿ではDEIM'09 BoF セッション 「e-Science に関する 30 の質問」 の様子を簡単に報告する.同セッションでは国内から気鋭の若手研究者ならびに学生らを招き,e-Science という新しい分野について忌憚のない議論を交わすことでその本質を明らかにしようと試みた.議論の結果,e-Sciece がエキサイティングであり幅広い分野の既存科学と結びついている反面,いまだその核となる技術が不明確であるため今後深く考えられる必要があろう,という結論が得られた.This paper reports the result of discussion in the BoF session "30 questions about e-Science" which was held on DEIM'09. In that session, brilliant young researchers and students were invited, and they discussed about a new research field e-Science. The result of discussion acquired the following clear conclusions. (1) The e-Science is an exciting research field, and it is related to wide range of conventional scientific fields. (2) Unfortunately core academic topics are still unclear, and should be deeply considered.
著者
本田 喜久 川島 英之 今井 倫太 安西 祐一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.207, pp.49-54, 2002-07-10

近年,キャッシュを意識して探索を高速化するメモリ索引構造が提案されている.中でも,1999年に提案されたFull Cache Sensitive Search Tree(CSS-tree)は,探索時間がデータサイズによってはハッシュよりも短く,また索引構造のために必要なメモリ空間使用量がB-treeよりも少ない点で優れている.他方,更新処理が遅いため,CSS-treeが有用であるのはオンライン解析処理のように更新処理が極めて少ない状況に限られると言われている.しかし,更新処理を追加処理のみに限定すれば,索引構造の再構築時間を減らすことができる.そこで本研究では,追加処理のみが発生する状況において,CSS-treeへの挿入処理を高速化する手法を提案する.提案手法は,(1)配列とCSS-treeのノードの拡張に要するコストを減らすために,あらかじめ余分な索引構造領域を獲得しておき,(2)配列とCSS-treeの葉ノードの再マップに要するコストを減らすために,CSS-treeの葉ノードの領域をなくし,CSS-treeの内部ノードのスロットに,配列のキー値を格納する.提案手法の有効性を評価するために,C言語とアセンブラを用いて,SunOS 5.6上に実験用データベースシステムを実装し,挿入処理時間を測定した.実験の結果,提案手法は,更新処理を追加処理に限定しない再構築手法と比べて,最大で7.18倍速くなることがわかった.
著者
川島 英之
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では高機能演算子を有する分散実時間ストリーム処理基盤の研究開発に取り組んだ.高機能演算子としてはベイジアンネットワーク,そしてメディアデータ管理を実現した.その他に高速永続化機構,高信頼化機構,暗号化ストリーム処理,そしてストリーム結合処理に関する研究を行った.
著者
広瀬 健志郎 佐竹 聡 川島 英之 今井 倫太
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.47-52, 2004-09-10

本研究の目的は、コミュニケーションロボットのソフトウェアアーキテクチャに詳しくない一般ユーザが、ロボットを情報提供の手段として容易に利用できる手法を提案することである。ロボットの動作をプログラミングする手法は多数あるが、本研究の目的と照らし合わせると、それらは多種類のロボット間でのコンテンツ共有が不可、一般ユーザにとって使いにくい、センサ情報を反映したコンテンツ提示が不可のいずれかの問題を抱えている。よって本研究では、上記の3条件を満たすために、ロボットのコンテンツを直感的に記述できるエディタを開発と、そのコンテンツを多種類のヒューマノイドロボットで実行できるように、抽象的なモーションを具体的な関節情報に置き換える言語仕様を定義し、それらをロボットに実行させるシステムを開発した。
著者
塩川 浩昭 北川 博之 川島 英之 渡辺 陽介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.767-780, 2010-06-01
被引用文献数
2

近年,実世界から得られるストリームデータに対する問合せ要求が増大し,それらを実現するストリーム処理システムが研究開発されてきた.そして,地理的に離れた情報源の統合や負荷分散を実現させるために,ストリーム処理システムを分散配置させて利用する分散ストリーム処理システムが注目されている.分散ストリーム処理システムでは,複数のストリーム処理システムの入力と出力をつなぎ合わせることにより分散環境を構築するため,分散配置されたノートが一つでも停止してしまうと,システム全体が停止してしまうという問題がある.この問題を解決するため,本論文では,分散環境において高信頼化を実現するSemi-Active Standby方式を提案する.本方式は,既存方式であるActive Standby方式,Upstream Backup方式を統一化した方式であり,高信頼化におけるリカバリ時間とバンド幅使用率の調整を可能にする.本論文では,Semi-Active Standby方式の動作特性の詳細について述べる.また,我々が開発したプロトタイプシステムで行った評価実験について述べる.
著者
広田 裕 川島 英之 梅澤 猛 今井 倫太
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J89-A, no.12, pp.1090-1103, 2006-12-01

本論文は,複数のアプリケーションが共通参照可能なセンサネットワークの設計モ デルとしてセマンティックセンサネットワークを提案する.センサからのデー タは単なる数値の時系列であり,数値のみから意味のある情報を引き出せない. センサと物体の取付け関係のもとで解釈して初めてデータが意味のある単位と なる.セマンティックセンサネットワークは,センサと物体の取付け関係 を管理し,メタデータとセンサデータの対を環境記述の最小単位とする.また, 論理表現に基づく推論規則をもち,物体同士や物体と環境との関係を記述する. 環境記述は時系列データとして蓄えられ,アプリケーションに提供される.特 徴的な点は,物体に関するクラス定義をもち,センサと物体の取付け関係を インスタンスとすることで,物体を中心とした世界モデルをセンサネットワー ク上に構築できることである.実装例として,実世界指向メタデータ管理シス テムMeTを構築した.RFIDタグを用いて物体とセンサの取付け関係を拾得し, クラスからインスタンスの生成を可能にした.更に,アプリケーションとし て知能ロボットとGUIを用意しMeTの動作を検証した.
著者
川島 英之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.53, pp.9-12, 2007-05-17
被引用文献数
2

ユビキタス・センサネットワークにおけるアプリケーションは,自然環境,都市環境,あるいは人間を監視するものまで幅広く存在する.これらのアプリケーションを支援するデータベース技術は,網内データ処理とデータストリーム処理に大きく分けられる.網内データ処理はセンサネットワークの内部で演算を実行することで,電力消費量を削減しながら性能と品質を向上させる技術である.データストリーム処理は,センサネットワークから得られた膨大なデータを効率的にフィルタリングする技術である.同技術は性能を向上させるためにディスクには触れず,従来のDBMSとは全く異なるアーキテクチャを持つ.本論文ではこれらの技術の最新動向について述べる.