著者
川端 正久
出版者
龍谷大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

第1に、中国におけるコミンテルン研究の成果を重点的に検討してきた。昭和62年2-3月、日本学術振興会特定国派遣研究者として中国を訪問し、中国におけるコミンテルン研究者との交流をもつことができた。そのなかで、コミンテルンと日本の政治関係史についての中国における研究の状況を知るに至った。同時に、中国で出されているコミンテルン関係研究文献資料を入手することができた。コミンテルンと日本を結ぶルートは、第1に、ヨーロッパ・アメリカを通じたもので、第2にアジア・中国を通じたものがあった。中国におけるコミンテルン研究文献を調査することにより、後者のルートについて研究を進める手がかりを得ることができた。主要文献資料のなかで、コミンテルンと中国・日本の国際政治関係史に関する部分のリストを作成し、重要箇所(たとえば『一大前後』(一)(三)、『上海地区建党活動研究資料』、黄修#『共産国際和第一次国共合作的形式』、朱成甲『中共党史研究論文誌』、『馬林在中国的有#資料』など)の翻訳を中国人研究者に依頼した。前年の翻訳文献とあわせて、現在分析作業を進めている。第2に、『インプレコール』(ドイツ語版、1921-26年)のマイクロフィシュ覆刻版を購入した。前年に購入した『共産主義インターナショナル』を含めて、とくにコミンテルン・中国・日本の関係史についての材料を中心に、資料の検索・読解を行っている。第3に、コミンテルンと日本の政治関係史年表を作成作業を進めている。これまで、コミンテルンと日本の出来事を中心に歴史年表を作成してきたが、これに中国の出来事を加え、全体としてコミンテルン・中国・日本の関係史年表を作成する必要がでてきた。第4に、全体としてコミンテルンと日本の政治関係史についての論文の作成にとりかかっている。ただし、中国語文献資料の読解が必須なことが、それなりの時間が必要とされている。
著者
川端 正久
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.57, pp.120-144,L6, 1977

From the outbreak of World War II to the present time, people in no fewer than 50 countries have resorted to guerrilla warfare or to other forms of popular armed struggle. The guerrilla liberation struggles were begun in Africa in the 1960's, which provide some of the best examples of national liberation movement. The people of &lsquo;Portuguese&rsquo; Guin&eacute; took up arms to free their country from colonial domination in 1963 under the leadership of the PAIGC (Partido Africano da Independ&ecirc;ncia da Guin&eacute; e Cabo Verde), led by Amilcar Cabral, its founder and secretary-general.<br>Amilcar Cabral is gradually gaining recognition as the most original and significant African revolutionary thinker to appear since the death of Franz Fanon and Kwame Nkrumah. This reputation is strengthened by the independence of Guin&eacute;-Bissau. Not only did he make notable theoretical contributions to analyzing the reality of his country in the context of national liberation movements, but he also did so in the area of revolutionary practice. The thought of Amilcar Cabral is of primary importance to the people of Africa in the struggles against colonialism and neo-colonialism now going on across the continent. And further, his theories have a great deal of significance for the people and revolutionaries of the three continents. This paper provides a brief assessment of the thought and behavior of Amilcar Cabral. The first part surveys books and articles on the study of Amilcar Cabral. The second part delineates the chronological summary of Amilcar Cabral. The third part traces in outline the thought and activities of Amilcar Cabral.
著者
大林 稔 落合 雄彦 松浦 さと子 遠藤 貢 武内 進一 牧野 久美子 戸田 真紀子 栗本 英世 船田クラーセン さやか 川端 正久 児玉谷 史朗 高橋 基樹
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、現代アフリカ社会のダイナミズムにおけるメディアの位置と機能を確定するための基礎的作業であり、90年代以降のアフリカの構造変化に、メディアの発展がどのような影響を及ぼしているかを検証するものである。上記の研究目標達成のため、サハラ以南アフリカ数カ国(フランス語圏二カ国を含む)で、現地研究者の協力を得て進められた。アフリカにおけるメディアの発展史の整理、政治・社会的発展、特に民主化・紛争・経済の自由化及び開発との相互関係を主なテーマとした。またメディアの種類として、新聞・ラジオ・テレビ・携帯電話を含むICTを対象としたが、伝統的な口誦(oral)および筆記(chirographic)メディアは扱わなかった。そこから次のような成果を得た:(1)1990年代の政治的自由化前後より、メディアは政治過程に大きな影響を及ぼすようになった。(2)メディア自由化は一直線には進まず、その速度と深度は政府と市民社会の力関係に依存する。(3)メディアの自由化が始まってから、旧メディア市場への新規参入と新メディアの発展により、メディアの数と種類の増加、到達範囲の拡大が著しい。(4)メディアの発展は情報アクセス量を増加させたが、都市と農村、貧富の格差は縮小していない。(5)自由化により政治以外の分野でもメディアの役割に関心が広がった。とりわけ開発におけるメディアの重要性が認識されるようになった。(6)メディアが社会と(エリートではなく)普通の人々の行動に影響を及ぼし始めている。(7)メディアの今後の発展には、自由化の徹底と人材育成および経営基盤の確立が重要だ。本研究は、メディア自由化の進展により、社会経済発展において情報とそれを伝達するメディアの重要性が増加していることに注意を向けた。今後、政治・経済・文化・社会・開発など全ての分野におけるアフリカ研究において、メディアと情報の役割はますます重要となると思われ、研究の提示した視角は今後の研究発展に貢献できるものと考える。メディアの多様化と情報アクセスの増加につれて、今後、人々とメディアが相互にどのように影響しあっていくのかが注目される。
著者
川端 正久 勝俣 誠 原口 武彦 大林 稔 落合 雄彦 望月 克哉
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

平成9年度は日本側研究者とナイジェリア側研究者との共同研究を主たる内容とした。研究項目は「変貌する西アフリカとナイジェリア」および「世界の中の西アフリカとナイジェリア」であった。日本側研究者とナイジェリア側研究者は共同研究シンポジウム(1997年12月、ナイジェリア国際問題研究所)を開催した。現地調査を実施し、大学の研究者と交流を実施した。西アフリカにおけるポスト構造調整への移行、ナイジェリアにおける民政移管の進行、ナイジェリアの状況(ビジョン2010、民政移管のプロセス、ナイジェリア経済の現状、日本・ナイジェリア経済関係、ナイジェリアの政治経済社会、市民社会の形成など)について分析した。平成10年度は日本側研究者とコートジボワール側研究者との共同研究を主たる内容とした。研究項目は「変貌する西アフリカとコートジボワール」および「世界の中の西アフリカとコートジボワール」であった。日本側研究者とコートジボワール側研究者は共同研究シンポジウム(1998年9月、社会経済研究センター)を開催した。現地調査を実施し、大学の研究者と交流を実施し、日本の援助案件のサイトを視察した。西アフリカの政治経済情勢、西アフリカにおける政治的民主化と民族・部族問題、CFA と非CFA、農業産品の生産と輸出、農業経済の状況、人民経済の可能性、アフリカ・アジア経済関係、日本のアフリカ外交などについて分析した。平成11年度は日本側研究者とアフリカ側研究者2人および研究協力者の共同研究を主たる内容とした。研究項目は研究課題全体の総括的研究であった。2回の共同研究シンポジウム(1999年9月と11月、アジア経済研究所)を開催した。西アフリカの持続的開発と金融制度、民族問題と民主化、人民経済の展望、宗教と社会、市民社会と新たなアクター、西アフリカの民主化、アフリカの民主化の成果と限界などについて分析した。研究分担者および研究協力者の論文12本で研究成果報告書を作成した。内容は西アフリカにおける政治的民主化、持続的経済開発、社会的変動などについて分析した論文から構成されている。