著者
平野 隆
出版者
慶應義塾福澤研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.6, pp.185-212, 1989

一 プロローグ : 財界の形成二 新興企業家による財界イニシアティプの模索 : 東京商法会議所の生成(一八七八 - 八一年)三 新興企業家と政府、在来商人の対立(一八八一 - 八三年)四 諸勢力の妥協 : 東京商工会への改組(一八八三 - 九一年)五 エピローグ : 近代経営者団体への胎動
著者
奥田 佑子 平野 隆之
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.101-116, 2017-09-30

本論文は,地域福祉権利擁護事業の再評価が生活困窮者自立支援事業や社会福祉協議会における総合相談体制の充実につながるのではないかという仮説から出発している.本論文の目的は,1)地域福祉権利擁護事業が本来持っていた地域福祉的要素の再確認,2)総合相談体制の形成のプロセスとその中での地域福祉権利擁護事業の役割の明確化,3)生活困窮者自立支援事業との関係から,今日的に地域福祉権利擁護事業が果たす機能の明確化の3 点である.方法として,文献研究,滋賀県内3 市社協を対象とした体制整備に関する事例研究,相談実績分析を行っている.研究の結果,幅広い相談を受け止め制度利用につなげる「前さばき」の機能を地域福祉権利擁護事業が持っており,それが総合相談や生活困窮者自立相談の基盤となっていることが明らかとなった.また,社会的孤立や権利侵害の状態に置かれた人への相談への対応が,地域や他機関・多職種との連携・ネットワークづくりにつながっていることが分かった.
著者
朴 兪美 細井 洋海 寺本 愼兒 平野 隆之
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.140, pp.111-124, 2019-03-31

本研究では,制度福祉中心の行政システムの機能不全に対応する地域福祉推進の組織整備に注目し,それが機能するメカニズムとして職員のリーダーシップに着目する.制度福祉の制約を乗り越える,新システムの形成において,その実質的担い手となる自治体職員のリーダーシップは重要な要素となる.本研究では,芦屋市の中間マネジャーの取り組みを取り上げ,リーダーシップが発揮される局面と,その展開に潜んでいるリーダーシップ発揮の環境的条件について探る. 分析方法としては,主に振り返りの手法を用いるが,2 人の中間マネジャーの振り返りを2 人の研究者が促進する形をとる.振り返りを通じて,トータルサポート体制をはじめ,独自の地域福祉推進体制を構築してきた芦屋市地域福祉課の時間的展開を探る.その展開においてリーダーシップが発揮された4 局面を取り上げ分析する. 4 局面は,困難事例からの権利擁護支援の展開,困難事例の支援を通じたトータルサポート体制の実体化,モデル事業を活用した庁内横断的な体制の整備,庁内連携を越えた地域内連携への挑戦,である.分析の結果,リーダーシップによる新規体制づくりと新規体制の運用に求められるリーダーシップとが好循環することと,中間マネジャーのリーダーシップによる人材育成の環境整備が行われることを示す.
著者
平野 隆之 奥田 佑子
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
no.134, pp.91-106, 2016-03

生活困窮者自立支援制度の「自由な運用」を推進する方法として,東近江市でのモデル事業の研究で明確となった「実施体制」と「体制整備」との相互関連性を,大津市と高島市のなかにも見出すという研究方法を用いて,かかる推進枠組みの有用性と運用面での活用方法を検討した.その結果,実施体制のなかでも入口の相談強化や出口のプログラム創出には,体制整備として,①庁内・庁外を問わず連携会議の場の創出に加え,その場のマネジメントが重要であること.また,通常の会議とは異なった場の設定も有用であり,②手引きの作成や地域福祉計画等の委員会が相当すること.国のマニュアルにある「資源の開発」は各自治体においてハードルが高いことから,民間組織が先行する取り組みを評価し制度運用に活用することが有効な方法であり,そのための体制整備としては,③資源の開発における公民協働の方式が有効である.実施体制とその体制整備の概念化は,運用上の指針として,また比較分析の枠組みとして有用である.
著者
勝海 東一郎 河手 典彦 平野 隆 高橋 秀暢 木下 孔明 平栗 俊介 田口 雅彦 梶原 直央 安富 文典 小中 千守 加藤 治文
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.638-642, 1994
被引用文献数
1

46年間無症状で経過したのち血痰, 喀血にて発見された肺内異物 (焼夷弾破片) の一症例を経験したので報告する.肺内異物のうち, 特に本症例の如き鉱物性肺内異物では肺内における異物の移動とそれに伴う臨床症状の発現あるいは異物近傍からの発癌の報告例もあり, たとえ無症状で経過している場合でもその発見機会や症状発現時には可及的に外科的摘出を考慮すべきと思われた.
著者
木戸 利秋 平野 隆之 伊藤 文人 丹羽 啓子 丹波 史紀 谷口 由希子
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

社会的排除への政策対応が課題になっていることをふまえ、イギリスと日本の政策プログラムの評価研究を行った。その結果、イギリスでは社会的排除対策の進展もみられるが、同時に現代社会において貧困や排除に対応すべきソーシャルワークが岐路にたっていることも明らかになった。他方、日本では都市部での貧困調査、子どもの貧困調査、そして過疎地域の高齢者実態調査から貧困・社会的排除対策の現状と課題を明らかにした。
著者
張 蘇平 平野 隆雄 村島 直哉 廣瀬 俊一 北川 龍一 奥村 康
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.300-306, 1991-06-30 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10

肝硬変症患者血清中の免疫複合体(IC),とくにC3ネオアンチゲンに結合するC3b結合免疫複合体(C 3b-IC)とiC 3b/C 3dg結合免疫複合体(iC 3b/C 3dg-IC)の産生,およびそのクリアランスに重要な役割を担っている補体リセプター(CR 1), factor Iおよびfactor Hの動態について検討した.肝硬変症患者血漿中において,高率にC 3b-ICが検出されたがiC 3b/C 3dg-lcは正常人,慢性肝炎患者との間に有意な差は認めなかった.また,肝硬変患者において,補体リセプター(CR 1)と血漿factor Hは高値を示したが, factor I値はコントロール群と比較して低値を示した(p<0.01).このことは,肝硬変患者において免疫複合体(IC)の異常産生,そのクリアランスに重要な補体C3カスケードのメカニズムの異常の存在が推測された.すなわち, factor I値の低値による機能不全のためC 3b〓C 3dgへの変換が障害され,それを補うためCR 1, factor Hの産生充進として働いていることが推察される.このように肝硬変患者におけるC3カスケードの異常評価の検討をすすめることは,肝障害時における補体系動態の解析に重要であることが示唆された.
著者
宮内 輝幸 奥村 康 平野 隆雄 片山 仁
出版者
順天堂大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

近年、医療の分野における診断器機はめざましい発展をとげており、とりわけX線CTやDSAなどの開発・改良は著しく、もはやこれらなくしては高度医療が成り立たなくなっているといっても過言ではない。その結果として必然的に水溶性ヨード造影剤の使用頻度が増し、それにつれて多彩な副作用の発生が臨床上重視されている。しかしながらその発生機序についてはすべてが解明されているわけではなく、一部の症状では明らかに何らかのアレルギー反応の関与が疑われるものの、良好な実験モデルが作成できないことなどの理由から、とくに免疫学的機序の研究が遅れている。そこで我々は、今後の研究の展開の一助となることを期待して、実験系の確立すなわち動物(マウス)の免疫方法、抗体産生系の確立および免疫学的検出法の確立をめざし、以下の実験方法を試みた。抗マウス抗体であるDNP-KLHをBALB/cマウスに免疫し、血清中のIgEを増加させる抗体産生系を確立させ本研究に応用した。DNP-KLHを免疫した群と水溶性ヨード造影剤だけで免疫した群、さらに両者を同時に免疫した群にわけて、各群のIgE抗体産生の程度を比較した。抗体検出方法としてはELISA、PCA、FACSを用いた。その結果、1.水溶性ヨード造影剤は免疫反応に直接的には関与しない。少なくとも抗造影剤抗体の存在は否定的であると考えられた。2.しかしながら、水溶性ヨード造影剤の存在下で本来のIgE抗体産生が増強する可能性がある。3.この反応・変化にはインターロイキン(IL-4)が関与していると考えられた。4.現在までのところ造影剤の種類(イオン系と非イオン系、モノマー型とダイマー型)によって免疫反応への影響の仕方に有意差があるかどうかについては断定的な結論は出せない。遅発アレルギーの検討とあわせて今後に残された研究課題と考える。

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著者
平野 隆之 朴 兪美
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.191-204, 2019-11-30 (Released:2020-06-16)
参考文献数
62
著者
岩田 正美 平野 隆之
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-50, 1986-05-25 (Released:2018-07-20)

The number of the recipients of public assistance living in public housing has recently increased. There is a tendency to construct public housing in outskirts of big cities. Naturally, the recipients of public assistance concentrate in those areas. In this study we tried to investigate the background of this phenomena through analyzing 2014 case records of the recipients of public assistance in one particular city area. We have found out that the recipients of public assistance living in public housing have some characteristics which differ them from the recipients living in non-public housing. Their families are bigger, their housing situation has been secure for a comparatively long period of time, and they are "multi-problem families". If these families had not been provided with public housing, they wouldn't be able to live together ; the family structure would probably break down. Public assistance and public housing help consolidate the family, but don't solve their problems. Such families remain to be "multiproblem families" and conseqeuently they continue to receive public assistance for a very long time, sometimes through the next generation. We belive that concentration of such families in a certain city area creates "new slums".
著者
平野 隆
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.173-189, 2008-02

本稿は,戦前期の日本におけるチェーンストアの出現と初期の発展過程を概観し,同時期の米欧との差異を生んだ要因について考察する。 1910年代から,民間の商店経営コンサルタントによって,当時の米欧で発達していたチェーンストアの実態が紹介され,1930年前後ころからは,アカデミックな商業学の研究者がチェーンストアの原理などを論じる文献を発表するようになった。これらに加えて,企業の経営幹部らの海外留学や商業視察旅行などによってチェーンストアの知識が直接取り入れられたケースもあった。 以上のような情報移入を受けて,1910年代から30年代にかけて日本にチェーンストアが相次いで出現した。1910~20年代には,主に製造業企業(メーカー)の前方統合としての直営支店の展開やフランチャイズ・チェーンの創設が見られた。1930年ころからは,独立の中小小売店による不況対策としてボランタリー・チェーンが登場した。一方,高島屋均一店チェーンが1931年から急速な展開を見せ,戦前期における日本最大のチェーン組織に成長した。 しかし,戦前期日本のチェーンストアは,米欧と比較して,未成熟な発展段階にとどまっていた。それは,以下の諸点から明らかである。①全小売業売上に占めるシェアが小さい,②大規模小売企業によるコーポレート・チェーンが未発達,③第2 次世界大戦後に連続する企業がほとんどない,④アメリカで見られた独立小売店による激しい反チェーンストア運動もなかった。 本稿は,戦前期日本におけるチェーンストア未発達の要因として,①チェーンストアのコアな顧客層となる大衆(労働者階層と新中間層)が未成熟であった,②戦間期における百貨店の「大衆化」戦略によって萌芽的な大衆市場をめぐってチェーンストアと百貨店が競合した,という2点を指摘する。商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty50周年記念論文
著者
平野 隆
出版者
慶應義塾福沢研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.37, pp.81-113, 2020

一 はじめに : 対象と課題二 慶應義塾出身百貨店経営者の企業家活動三 なぜ創成期百貨店に慶應義塾出身者が多かったのか?四 おわりに特集 : 慶應義塾出身の経営者たち
著者
平松 広司 平野 隆
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.293-301, 2017-10-15

本稿では,筆者らが取り組んだディジタル革新を実現するためのデザインアプローチHuman Centric Experience Designとそれに基づくファッション業界での共創事例の詳細を述べる.Human Centric Experience Designは,ユーザエクスペリエンスを重視した共創による新しい事業を創出するデザインアプローチである.そのプロセスとしては,ビジョンの策定,コンセプトの開発,ビジネスの検証の3つのフェーズを設定している.また,ディジタル革新を実現する上では,そのプロセスの中で,①人,②メソッドとツール,③テクノロジー,④場(スペース)という4つのリソースを目的に合わせて最適に組み合わせることが重要である.こうした観点から,このアプローチをファッション業界での新規事業創出の共創プロジェクトの事例としてまとめ,活用したリソースの評価とともに今後への課題を示した.
著者
小泉 仰 坂井 達朗 小室 正紀 米山 光儀 岩谷 十郎 平野 隆
出版者
慶應義塾福沢研究センター
雑誌
近代日本研究 (ISSN:09114181)
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-34, 2013

特集 : 慶應義塾福沢研究センター開設三十年#座談会センター草創期の頃没後百年事業とセンター創設二〇年を迎えたセンター : 専任教員体制の確立義塾一五〇年・生誕一七五年記念事業センターの「カルチャー」 : その総合性と自立性センターの果たす役割について : その"ウチ"と"ソト"ユニバーシティ・ミュージアムについてセンターの"これから"